第1部
1話 お化け達の憂鬱
深夜2時。
丑三つ時になった時に、彼女らは動き出す───
「は~あ。何よもう毎日毎日、『花子さん遊びましょ』なんて。子供と遊ぶ暇なんて無いのよ花子は。」
「何ならこっちだって『私綺麗?』って聞いただけで逃げられるのよ?
“遊びましょ”ならまだマシじゃないの。あと貴女も子供じゃなくて?」
「引き摺る引き摺る引き摺る…人間たちを引き摺る引き摺る⋯」
「気をしっかり持って、ヒキ子ちゃん。」
某小学校内に集まった都市伝説の対象なる有名なお化けたち。
トイレに居座るトイレの花子さん。
「私、綺麗?」で有名な口裂け女。
見つかったら死ぬまで引き摺られるヒキ子さん。
足を探し求めるテケテケ。
毎晩、学校に集まっては日々の不満をぶつけ合う。俗に言う女子会と言う名の愚痴大会だ。
花「⋯てかさ、何が悲しくて『トイレの花子さん』にされた訳?花子、たまたまトイレで殺されただけなのに。」
口「あら?私は姉さんたちに妬まれて口裂かれたのよ?それこそ最悪じゃなくて?」
テ「そう言えば口裂けさん三姉妹だったんだよね?」
口「ええ。上の姉さんは事故で口裂けて、下の姉さんは整形手術ミスされて。」
───そう。口裂け女は三姉妹だったと言う説もある。
唯一無事だった三女を妬んだ姉たちが三女の口を裂いたのだ。その三姉妹は大層な美人だったとか。
テ「あーあ、私も事故らなかったら足無くさないで済んだのに。二手歩行って楽じゃないんだ。」
そこへテケテケが両腕をぶらぶら揺らしながら溜め息を吐く。
花「確かにね。『テケテケ』ってネーミングセンスの無さにも同情するわ。北海道からわざわざご苦労だったわね。」
花子さんがテケテケの肩に手を置き慰める。因みにテケテケは北海道室蘭市から流出された都市伝説だと言われている。
口「いっその事『テケ子』で良くなくて?花子にヒキ子にテケ子で⋯ねぇ、ヒキ子⋯」
ヒ「引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る⋯あいつもこいつも引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る………」
「「「⋯⋯⋯⋯」」」
テ「⋯まあ、仕方ないよね。普通に渡ってたら電車に轢かれないで済んでたし。自業自得だね。」
口「貴女性格良いわよね。⋯ま、私の美しさが分からない奴らは皆性格悪いでしょうけどっ。」
花「口裂け女のその性格が一番悪いと思うわ⋯」
口「あら私とやる気?」
花「上等じゃないの⋯」
花子さんはデッキブラシを、口裂け女は鎌を構えゴゴゴゴ⋯と威圧感を醸し出しながら睨み合う。
テ「ああ、もう!何でそんなに仲が悪いのー!口裂けさん!小さい子相手に大人気ないよ!花子ちゃんもいちいち本気にしないのっ!」
「「足無し女は黙ってなさい!!」」
テ「ねえ、ヒキ子ちゃんも止めてあげ⋯」
ヒ「⋯そう言えば…毎日汚いモップを顔に押し付けられた⋯引き摺る引き摺る⋯あいつを引き摺りに行かなくちゃ⋯」
テ「もー!皆ぁ〜!!」
こうして、お化けたちの夜は静かに過ぎていくのであった⋯⋯
END
深夜2時。
丑三つ時になった時に、彼女らは動き出す───
「は~あ。何よもう毎日毎日、『花子さん遊びましょ』なんて。子供と遊ぶ暇なんて無いのよ花子は。」
「何ならこっちだって『私綺麗?』って聞いただけで逃げられるのよ?
“遊びましょ”ならまだマシじゃないの。あと貴女も子供じゃなくて?」
「引き摺る引き摺る引き摺る…人間たちを引き摺る引き摺る⋯」
「気をしっかり持って、ヒキ子ちゃん。」
某小学校内に集まった都市伝説の対象なる有名なお化けたち。
トイレに居座るトイレの花子さん。
「私、綺麗?」で有名な口裂け女。
見つかったら死ぬまで引き摺られるヒキ子さん。
足を探し求めるテケテケ。
毎晩、学校に集まっては日々の不満をぶつけ合う。俗に言う女子会と言う名の愚痴大会だ。
花「⋯てかさ、何が悲しくて『トイレの花子さん』にされた訳?花子、たまたまトイレで殺されただけなのに。」
口「あら?私は姉さんたちに妬まれて口裂かれたのよ?それこそ最悪じゃなくて?」
テ「そう言えば口裂けさん三姉妹だったんだよね?」
口「ええ。上の姉さんは事故で口裂けて、下の姉さんは整形手術ミスされて。」
───そう。口裂け女は三姉妹だったと言う説もある。
唯一無事だった三女を妬んだ姉たちが三女の口を裂いたのだ。その三姉妹は大層な美人だったとか。
テ「あーあ、私も事故らなかったら足無くさないで済んだのに。二手歩行って楽じゃないんだ。」
そこへテケテケが両腕をぶらぶら揺らしながら溜め息を吐く。
花「確かにね。『テケテケ』ってネーミングセンスの無さにも同情するわ。北海道からわざわざご苦労だったわね。」
花子さんがテケテケの肩に手を置き慰める。因みにテケテケは北海道室蘭市から流出された都市伝説だと言われている。
口「いっその事『テケ子』で良くなくて?花子にヒキ子にテケ子で⋯ねぇ、ヒキ子⋯」
ヒ「引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る⋯あいつもこいつも引き摺る引き摺る引き摺る引き摺る………」
「「「⋯⋯⋯⋯」」」
テ「⋯まあ、仕方ないよね。普通に渡ってたら電車に轢かれないで済んでたし。自業自得だね。」
口「貴女性格良いわよね。⋯ま、私の美しさが分からない奴らは皆性格悪いでしょうけどっ。」
花「口裂け女のその性格が一番悪いと思うわ⋯」
口「あら私とやる気?」
花「上等じゃないの⋯」
花子さんはデッキブラシを、口裂け女は鎌を構えゴゴゴゴ⋯と威圧感を醸し出しながら睨み合う。
テ「ああ、もう!何でそんなに仲が悪いのー!口裂けさん!小さい子相手に大人気ないよ!花子ちゃんもいちいち本気にしないのっ!」
「「足無し女は黙ってなさい!!」」
テ「ねえ、ヒキ子ちゃんも止めてあげ⋯」
ヒ「⋯そう言えば…毎日汚いモップを顔に押し付けられた⋯引き摺る引き摺る⋯あいつを引き摺りに行かなくちゃ⋯」
テ「もー!皆ぁ〜!!」
こうして、お化けたちの夜は静かに過ぎていくのであった⋯⋯
END
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