第一章
夢小説設定
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城の大広間の隣には、木製の丸テーブルと六脚の椅子が置かれた小ぢんまりとした茶会部屋があった。
テーブルの中央のランプは薄い光を放ち、壁に掛かっている大小様々の絵を照らしている。
王女ブロッサムは一人、時計を見つめていた。
「まだかな・・・」
丁度その時、一人の少年が部屋に入ってきた。
「遅れてごめん」
そう言いながらも、口元には笑みが浮かんでいる。重なったティーカップをひとつはブロッサムの前に、もうひとつは自分の前に置き、紅茶を注いだ。中を覗くと、透き通った紫色の液体がある。
「何これ、すごい!これが紅茶?」
ブロッサムは声を上げた。
「アサガオの花で染色したんだ。うちの庭に咲いてたから」
少年、セシリオはブロッサムの前の席に腰を下ろした。
ブロッサムは紅茶に口を付けた。
「味はいつもと同じだ。こんなに綺麗で不思議な色なのに」
セシリオは自らも紅茶を啜りながら、嬉しそうに微笑む。
セシリオの母はシェフで、この城で住み込みで働いていた。共に13歳、兄弟のように育ってきた、幼馴染みの一人である。
しかし、セシリオにとってブロッサムはただの幼馴染みではなかった。
数日に一回、茶会部屋で雑談をすることを、セシリオはいつも楽しみにしていた。
「今日はセシリオに大事な話があるの」
「大事な話?」
「うん。来週・・・家出しようと思って」
「家出!?」
セシリオはぽかんと口をあけた。
「いやいや、無理だよ。一国の王女が家出なんて、許されることじゃないし・・・それに、ブロッサムは昔からあまり外出しなかっただろう。免疫が付いていないから、すぐ帰ってくることになるよ」
「旅の目的は、海の向こうにあるマイマイ大陸にいる伝説のドラゴン、トゥルー・カリビアンを討ち取ること。セシリオも一緒に来てほしい」
「僕の話聞いてる?というか、何でそんな危険な旅に連れていかれそうになってるの・・・」
「トゥルー・カリビアンだけじゃなく、ドラゴンは人間を見たら即襲ってくる恐ろしい生物。私は世界中を旅して回って、全てのドラゴンを倒したいと思ってる。そうしたら、今よりずっと平和な人間の世界が生まれるよ」
「君にその力が無いとは言わない。僕も君のドラゴン退治の様子は間近で見てきたから。でも・・・危険すぎる。国王両陛下も心配する」
「ノワーリアにも来てもらおう」
「うーん・・・三人なら出来るかもしれない・・・わかった、やってみよう。でも、ピンチになったらいつでも帰れるように、時空のペンダントを持ち歩こう。あと、絶対に僕から離れないでね」
「やったー、ありがとう!」
ブロッサムは子供のような満面の笑みをセシリオに向けた。彼女は自分の言ったことをよく聞いているのだろうか。セシリオは不安になると同時に、少し顔を赤らめた。
友人のノワーリアを説得し、参加してくれることになった。
今は出発の日を待つばかりである。
テーブルの中央のランプは薄い光を放ち、壁に掛かっている大小様々の絵を照らしている。
王女ブロッサムは一人、時計を見つめていた。
「まだかな・・・」
丁度その時、一人の少年が部屋に入ってきた。
「遅れてごめん」
そう言いながらも、口元には笑みが浮かんでいる。重なったティーカップをひとつはブロッサムの前に、もうひとつは自分の前に置き、紅茶を注いだ。中を覗くと、透き通った紫色の液体がある。
「何これ、すごい!これが紅茶?」
ブロッサムは声を上げた。
「アサガオの花で染色したんだ。うちの庭に咲いてたから」
少年、セシリオはブロッサムの前の席に腰を下ろした。
ブロッサムは紅茶に口を付けた。
「味はいつもと同じだ。こんなに綺麗で不思議な色なのに」
セシリオは自らも紅茶を啜りながら、嬉しそうに微笑む。
セシリオの母はシェフで、この城で住み込みで働いていた。共に13歳、兄弟のように育ってきた、幼馴染みの一人である。
しかし、セシリオにとってブロッサムはただの幼馴染みではなかった。
数日に一回、茶会部屋で雑談をすることを、セシリオはいつも楽しみにしていた。
「今日はセシリオに大事な話があるの」
「大事な話?」
「うん。来週・・・家出しようと思って」
「家出!?」
セシリオはぽかんと口をあけた。
「いやいや、無理だよ。一国の王女が家出なんて、許されることじゃないし・・・それに、ブロッサムは昔からあまり外出しなかっただろう。免疫が付いていないから、すぐ帰ってくることになるよ」
「旅の目的は、海の向こうにあるマイマイ大陸にいる伝説のドラゴン、トゥルー・カリビアンを討ち取ること。セシリオも一緒に来てほしい」
「僕の話聞いてる?というか、何でそんな危険な旅に連れていかれそうになってるの・・・」
「トゥルー・カリビアンだけじゃなく、ドラゴンは人間を見たら即襲ってくる恐ろしい生物。私は世界中を旅して回って、全てのドラゴンを倒したいと思ってる。そうしたら、今よりずっと平和な人間の世界が生まれるよ」
「君にその力が無いとは言わない。僕も君のドラゴン退治の様子は間近で見てきたから。でも・・・危険すぎる。国王両陛下も心配する」
「ノワーリアにも来てもらおう」
「うーん・・・三人なら出来るかもしれない・・・わかった、やってみよう。でも、ピンチになったらいつでも帰れるように、時空のペンダントを持ち歩こう。あと、絶対に僕から離れないでね」
「やったー、ありがとう!」
ブロッサムは子供のような満面の笑みをセシリオに向けた。彼女は自分の言ったことをよく聞いているのだろうか。セシリオは不安になると同時に、少し顔を赤らめた。
友人のノワーリアを説得し、参加してくれることになった。
今は出発の日を待つばかりである。