3章『やらない善意よりやる偽善。』


悪意を与えない笑顔。
決して作っている訳ではないけれど、意識した笑顔ではある。
たまに、こう……舐められるって言って良いのかな……あきらかなに僕より年下の子に絡まれたりすることもあるけどね。
今回受け持っているクラスの子たちも15歳や16歳とかで、年も身長もそこまで変わらない……身長や体重に至っては僕よりある子も結構いるね。
僕と彼らと違うことと言えばせいぜい年齢ぐらいなものだ。
人生の経験値も僕はまだまだそこまで積んでいる訳でもなくて、年齢だけ見れば確かに20歳を超えて今24歳なのだから世間一般で見れば僕は大人の部類なんだけれど。
かといって彼らの前に立ってふんぞり返れるほどのものではない。
ただ僕は彼らより年上で先生なだけで、特に偉い訳じゃない。
僕が先生になったのは、社会経験もまだ無い年下の彼らに僕の持論を押し付けたいと言うわけではなくて……いや、ある意味自己満足でありみる人によっては偽善でしかないのかもしれないけれどね。
きっと僕の言うことは人生経験が無いからそういうことが言えるんだと思う人もいるのも分かってる。

どんなことがあっても、何を言われても生徒の言うことを信じようって。

まぁ……前の学校はそれで少し問題になっちゃったんだけれどね。
要領が悪いとか古い考えだとか、大人になれとかよく言われたりしちゃうんだけどね。
それでも、僕は……僕のことを助けてくれた先生のようになりたい。

だから、教師になった。
上に媚びへつらうような、嘘を吐くことを良しとするような、生徒の話聞かないような、そんな教師になんてなりたくない。
そんな教師のせいで一生の傷になってしまう生徒もいる。

僕は、生徒の味方でいられるような先生になりたい。

そんな理想を抱えながら僕は今日も生きている。
1/58ページ
スキ