2章『結局のところすべては自分次第。』
笑顔を張り付けて周りに気を遣って、お調子者を演じている。人の輪に入って行って自ら関りに行く。
本当は家族と誠一郎以外の人間のことなんて信じてもいなくて、人と関わっていくのも怖い癖に俺は1人でいることが嫌いだから、笑顔張り付けて人の輪にい続けようとする。
そんな自分が吐きそうなぐらい大っ嫌いなのに俺は俺だから何も変われない。
叶うことなら昔のように無遠慮に他人を信じて心の底から笑い合えていたときに戻りたい。
嫌い嫌い、とんでもなく自分が嫌なやつだ。
誠一郎はなにも言わず俺の隣にいてくれるのは唯一の救いだけど、このままで良いとは到底思えない。それでも逃げ出すことも乗り越えることも出来なくて、息がしにくくて仕方がない。
割り切ってしまえばいっそ楽なのかもしれない、誠一郎がとなりにいてくれるのであれば、鷲尾くんや伊藤くんのように他人の目を気にせずにいられるのかもしれないけれど、自分を通せるほど自分に自信もなく好きでもない。
何にしても、俺は中途半端な人間なんだ。
なにも言わず一緒にいてくれる人がいるだけでもいいのに、それなのに1人でいることを苦に思わない様子の鷲尾くんや伊藤くんに話しかけてしまうし、人にまぎれようとする。ほどほどの距離を置いていると言えばいいんだろうか、よく言えば確かにそうかもしれない。
でもそうじゃない、ただ単に1人でいる人を置いて行けやしないのに自分は安全なところにいようとする、両方とも取ろうとするただの卑怯者だ。
いつからこうなったか、答えは明確だった。
中学のときから、そうずっと……。いくら『もうあのころと違うんだから、大丈夫だ』と言い聞かせてもそう言ってくれても、未だに恐怖から抜け出せていない。
臆病者、弱虫、自分を何度もそう罵ってみても状況は変わらない。
行き場のない感情だとか気持ちだとか、どうしたって理想は理想のままで現実はなにも変わってくれない、そんな焦燥感がずっと胸に滞っている。
どうすれば、この迷路のようなジレンマから抜け出せるだろう。
未だ答えは分からない。