第一章 完結
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≪平和は微睡みの中に≫
~始まりの森~
少し、昔の話し。
近い未来この星の運命を大きく変える、
小さな出会いがあった…。
深い森の中。
鬱蒼と生い茂る木々の一部が不自然に開けた所があった。
もう随分前のことのようで、なぎ倒された木々は朽ち果て新しい芽をいくつも伸ばしていた。
木々の倒れている向きに沿って進んでいくと、やがてそこに行き着いた。
そこだけが妙に落ち窪んだ地面。その中心に、半ば土に埋もれるようにそれがあった。
長いこと、雨風に晒され砂埃を被った丸い機体。
『…宇宙船、か』
男は呟いて、宇宙船に近付く。
宇宙船は出口部分がすっかり地面に埋まっていた。
転がして出口を見つけ出す。
錆びた宇宙船の扉らしき部分に手をかけた。
中からは確かに何かの気配はあったが反応はなく。
構わず力任せに引っ張ると、いくつものコードが引きちぎれる音と、金属の割れる音を立てて扉が開く。
中にいたのは、一人の少女。
厳かに、男は問うた。
『お前か?わしを呼んでいたのは…』
長い髪に埋もれるように、ぐったりとして生きているのかも分からない様子だったが、その瞼がゆっくりと開けられた。
『………』
眩しそうに細く開いた目は今は恐らくこれ以上開けられないのだろう。
定まらなかった視線が、ふと目の前にいる自分を瞳に映した。
『…ぁ……っ』
震える手が、伸ばされた。それが自分に向けられているもので、男は少なからず驚いた。
…このわしに、何を求める…。
今にも泣きそうに歪められた少女の顔。
わななく口が、声の代わりに空気を漏らす。
言葉としては発せられなかったが、心の声は聞こえていた。
――…行ったら…ダメ…
――…一人は…嫌だ…
『……』
それをただ見ているだけの男の前で、やがて力尽きたように、瞼も腕もゆっくりと降ろされていく。
時間が流れた。
ー……さま、大魔王様!!
頭に響いた声に、ハッとして男は空を見上げた。
そこには、一機の飛行機。
自分を待つよう待機させていたものだ。
少女に目を戻すと、最初に見たままの姿で眠っているようだった。
その首根っこを掴んで手近な木の根本に移動させても、ぴくりともしなかった。
『……まるで使い物にならんな』
木の幹に背を預け眠り続ける少女に吐き捨て、男は飛び立った。
『大魔王様、お探しのものは見つかりましたか?』
『いや…、無駄足だった。行くぞ』
男、ピッコロ大魔王を乗せて飛行機はその場を後にした。
あの時より大分朽ち果てて、遺跡のようになった宇宙船の前に、ピッコロは佇んでいた。
あの時、神が連れ出したのが、天下一武道会で会った人物だと気が付くのには少し時間がかかった。
ここに来てはっきりと思い出した。
――『よ、マジュニア』――
あれが、初めてではなかったのだ。
ここから始まっていた。
「……一体何者だ…」
…ふーー…っ
「ΣΣっ!?」
突然生暖かいものが耳元に吹きかけられてピッコロは飛び上がった。
「思いの外いい反応するねぇ」
「…きっ、さま…!?」
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