第一章 完結
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
悟空がいなくなって、困ったのは神だった。
せっかく後継者に相応しいと思っていたのににべもなく断られ、悟空はそのまま姿を眩ましてしまった。
まさに、愛の逃避行…!!
(…などと言ってる場合ではない。孫悟空が駄目なら…)
現実に戻った神がもう一人の後継者候補に声をかけようと振り向いた時、
「…ぇええ!?」
その人物、レギが大声を上げた。
「…か、カプセルコーポレーションって言ったら、あのホイポイカプセルを発明したブリーフ博士の、お嬢さん!?」
「そんなかしこまったものじゃないわよ~」
いつの間にかレギはブルマと話し込んでいた。
自分の事を言われて、ブルマはまんざらでもなさそうにパタパタと手を振る。
「あれ本当にすごいよ、初めて見た時感激した!!」
「そうでしょそうでしょ」
「レ、レギ、ちょっと私の話を…」
「あの悟空がそんな凄い人と知り合いだったなんて…」
「確かに、改めて言われると複雑だわ…」
何か意気投合している二人に神の入る余地はなかった。
「ね、レギ、これからどうするの?」
「え?」
これからのことなんて特に考えていなかったレギがすぐに答えられずにいると、ブルマは名案を思いついたようにその手を取った。
「よかったらさ、うちに来ない?」
「…へ?」
「世界中を旅してたんでしょ?話もいろいろ聞きたいし、もちろんレギが良ければだけど」
思ってもみなかった誘いに、しばし考えてからレギはブルマの手を握り返した。
「そんじゃ、お言葉に甘えてお世話になろうかな」
「やったあ!それじゃあ決まりね!」
「じゃ、そういうことだから神様」
「……あぁもう、好きにするといい…」
全てを諦めて神は深ぁ~いため息をついたのだった。
あの日はあいにくの空模様で、灰色の雲が空を覆い遠くでは雷鳴が轟いていた。
もうすぐ、バケツをひっくり返したような大雨が降るだろう。
生ぬるい風が吹く中、神は対面していた。
十五年前にこの星へとやってきた、人物と…。
『目覚めたのなら、答えろ』
『……』
木の幹に背を預けていた少女は、わずかに目を開けた。
『なぜこの星に来た?尻尾の生えた赤ん坊と、何か関わりがあるのか?』
『……し…ぽ…』
――…あの子が、生きてるのか……。
ひどく安堵した心の声が聞こえた。
その途端、一気に生命力が弱くなっていって神は肝を冷やした。
何故か、死なせてはいけないと思った。
疑う余地もなく、直感的に。
――…ならもういい…あたしは…。
『お、おい!!』
…そのまま瞼が降りる。この世との繋がり全てを断ち切るように…。
(…死んでは駄目だ…!!)
その時だった。
──…ひゅるるるる……
『…な、なんの音…』
──どごぉ!!
『っどへう!!?』
神にあるまじき声を上げさせたのは、一抱えもある大きな卵だった。
.