第一章 完結
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その名の通り操る気弾。
避けたはずの光球はヤムチャの操作でシェンの周りを飛び交う。
「おっと!」
真上からの追撃にシェンは素早く避けた。
「ちいっ!さすがに動きが早い!!」
「今のは凄かったよ!気にこんな使い方があったなんて」
しかし構えを解かないヤムチャは不適に笑う。
「ふふふ、褒めるのがちょっとばかり早いんじゃないか?
せいっ!!!」
──ドガッ!!
「あ!!」
地面から飛び出した繰気弾がシェンを捉えた。
その勢いで被っていたキャスケット帽が吹き飛ぶ。
「ざまあみろ!!……え?」
帽子の中から流れるように現れた、長い黒髪。
緩く編み込まれた三つ編みが、ぱさりと落ちた。
「あー、びっくりした」
こともなげに、シェンは顎の所で繰気弾を掴み取っていた。
「…な…あ、…え……!?」
ずっと少年だと思っていたシェンは、今やどこから見ても女の子。
とっておきの技も、あっさりと捕まえられている。
ダブルパンチの衝撃に、ヤムチャはうまく言葉が出てこない。
『え…、な、なんと!?シェン選手は女性でした!!驚きです!!今まで帽子に隠れて私も気付きませんでした!!』
「…シェン…」
審判の言葉を悟空は繰り返す。
「シェン選手……シェン、神龍……あ!」
シェン(神)!!
悟空の中で、ようやく全ての合点がいったのだった。
(そうか!!あいつやっぱりレギと神様!!)
「はい、これ返す」
「えっ!?」
繰気弾を無造作に投げ返す。
自分に向かってきたそれをヤムチャが上へと慌てて操作した時、もう目の前にはシェンがいた。
第四試合は、最後の手刀でヤムチャが場外へ敗れ、シェンの勝利で終わった。
「最後のは油断大敵って奴だね」
「いや、まさか君が女の子だったなんてな。繰気弾もあっけなく取られちまうし、完敗だったよ。
是非、君が何者なのか教えてくれないか?」
「なーいしょ」
レギはおどけて先に武舞台を出た。
その時、出口にいた悟空と目が合う。
もう全部分かってるぜ、って笑う悟空に、レギもいたずらっぽく笑って見せた。
『おめぇ、名前はなんてぇんだ?』
問われて、うまく働かない頭を巡らせる。
霧がかったように霞む思考の中、ようやく導き出した。
『……………レギ…』
それ以上は、分からなかった。
悟空はレギの答えを聞いて嬉しそうに笑った。
『そっか!おめぇはレギって言うんだな!』
その笑顔を見て、レギは何故か、胸が苦しくなった。
『…レギ、どうしたんだ?どっか痛いんか?』
とめどなく流れる涙を、小さな手が優しく拭ってくれた。
…あたしは、この手を知っている……。
………遠くで、
…赤ん坊の声が聞こえる…。
――『…笑って、レギ』――
――『…お前は生きろよ…』――
…この人達は、
…誰……
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