第一章 完結
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居候のヤジロベーは落ち着かない様子であたふたしていた。
『な、何者なんだよヤツは!?ここを三十分で登って来るなんてバケモンか!?』
『バケモンは傷つくなぁ。ヤジロベー、だよね?』
『っうぎゃあ!!?』
いきなり背後からの声に、ヤジロベーは文字通り飛び上がって驚いた。
『…お主、一体どこから入ってきた?』
『いやぁ、こんだけオープンならどっからでも』
『普通に階段使えばいーでしょーが!!!!』
雨の日とかどうするの?とにこやかに訊ねるレギに、ヤジロベーが噛みつかんばかりに怒鳴った。
『面白いねやっくん』
『誰が!?それオレのことか!?』
『あ、そういえば、初めましてカリン様』
ぺこり、と礼儀正しくお辞儀をする。
その態度に、カリンは少しばかり面食らった。
『悟空から話は伺ってます』
『う、うむ。悟空の奴は元気かな?』
『いやぁ、何分ここ二年ばかし会ってないもんだから』
『そ、そうであったな…(…なんと、全く普通の娘ではないか…、何故神様はこの者を…)』
『な、なあおい!オレは!?オレのことは何か言ってたか!?』
カリンの思考を妨げたのは、レギへ期待の眼差しで迫るヤジロベー。
『さっき名前呼んだじゃん』
『Σそれだけか!!?』
『あ、そういや…』
『うんうん!』
『やたらとタフで何でも食う変な奴だったって言ってたよ』
『Σ何でも食うのはあいつも同じだろ!!しかもなんで過去形っ!?』
『それよりもレギ、お主神様に呼ばれておるのだろう。早く行きなさい』
『あ、そうだった』
言われてレギは、ぽんっと手を打った。
『…忘れておったのか』
『カリンてめぇ!それよりもってなんだ!?それよりもって!!』
『黙れ!タダ飯食らいの居候の分際で細かいことをグダグダ言うでないわ!!』
『…じゃ、神様んとこ行って来まーす…』
『老体に響くからって家事仕事とかやらせてんでしょーが!!』
『それくらい働いて当然じゃっ、たわけめがっ!!』
『お邪魔しました~』
二人の喧嘩を後目に、レギはそっとカリン塔を後にしたのだった。
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「…くっそ~、あいつが来てるなんて聞いてねえぞ!カリンの奴図りやがったな!!」
覆面を外しながら悪態を吐くのはやはりヤジロベーであった。
レギがどういう経緯であんな格好をしているかは勿論知るはずもないが、レギともう一人、誰かがいることをうっすらと感じていた。
エスパーかこいつ。
「全く、覆面しててよかったぜ!いきなりあんな奴に当たっちまうなんてよ、やっぱ来なきゃよかったなあ…」
ぶつくさ言いながら一人着替えをするのであった。
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