第一章 完結
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「大丈夫け?顔色あんまりよくねえだよ」
「…あ、大丈夫、ありがとう」
それは、さっき悟空に『バカ』と怒鳴ったあの女の子だった。
「おめぇさも選手なのけ?具合悪いならおら言ってきてあげるだよ」
面倒見の良い彼女に安心させるためにレギは笑って言った。
「ありがと。でももう本当に大丈夫だから」
「ならいいだが、それにしても驚きだな。おめぇみてぇなちっせえ子も大会に出るだか」
「う…」
ごん!と重石が乗っかった錯覚を覚えた。
「気にしてるのに…」
気にしてる……あれ?と、違和感があった。
今までそんなこと思ったことなかったのに…。
「70番の選手ー!いませんかー!!」
「あ!」
自分のブロックの方から自分の番号を呼ぶ声が聞こえてレギは声を上げた。
試合のことをすっかり忘れていたのだ。
「まずいっ、ごめん!試合あるから!!」
それだけ言って慌てて駆け出す。
残された少女はぽかんと見送った。
「70番ー…」
「はいはいいます!」
滑り込みセーフで競技台に駆け込む。
その登場に試合待ちの選手達からどよめきが起こる。
「おいおい、まだガキじゃねえか!」
「ははは!デパートのイベントか何かと間違えちまったかな!?」
「ここはボクちゃんの来る所じゃないぞ~!」
「…あんなこと言われてますが神様」
『気にするな』
少なからずチクチクと刺さる野次の言葉に、神は抗議を受け入れる余地なし。
「っち、オレの初戦相手がこんなガキんちょじゃ様にならねぇぜ!!」
相手の言葉にレギの心の中に冷めた風が吹いた。
「よろしくお願いしますぅ、お・ぢ・さん」
「何!?」
「では試合はじめ!!」
タイミングよく審判の声が上がった。
「大人をからかうと痛い目見るぞ!!」
ついさっきも、似たようなセリフを聞いた気がするなぁ…。
そう思いながら男が突進してきたのを、寸での所でしゃがみ込んだ。
「うわあぁぁ」なんて棒読みの悲鳴を上げてみながら。
「おう!?」
当然、男は対象を失い勢いそのままレギに蹴つまづき、そのまま飛び越えて派手に転んだ。
落ちた先は、競技台の外。
「あ…じ、場外。70番の勝ち」
「よし」
レギは小さくガッツポーズ。
「題して、『弱いフリしてサクサク予選突破しちゃおう大作戦』大成功!」
『…何かもっといい方法はなかったのか?』
「怪我人も出ないし予選も進められる。おまけに強すぎて悟空に気付かれるという心配もない。これ以上の方法ないでしょ!」
『むぅ…』
えへんぷい!と胸を張るレギに、神はいつまでも納得がいかないようだった。
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