第一章 完結
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「…なんか、舌打ちされたし。
あれがピッコロ大魔王か…なんかイメージしてたのと全然違うなぁ」
『…だが、あやつ、前とは比べのにならんほどにパワーアップしている…!!』
「そうなの?」
焦る神とは反対に、レギはマイペースだ。
「本当に悟空を殺しに来たのか…。あたしはその前のピッコロ大魔王ってのは知らないけどもさ。
そんなに、悪いやつかな?あいつ」
『な、何を言うか!!』
神はレギの言葉に弾かれたように声を荒げた。
『それこそお前はやつの邪悪さを知らんからそんなことが言えるのだ!』
「うーん、でもなぁ…」
「バカ!!!!」
「…は?」
それは、少し離れた所から響いたものだった。
「なんだ?喧嘩か~?」
完全に野次馬気分で覗きに行くと、長い黒髪の女の子がプリプリと立ち去るところだった。
その背を、驚きと戸惑いと混ぜたような顔で見送る青年。
「…あの蟹頭は…!?」
『孫悟空だ』
「ごっぶふっ!?」
思わず叫びそうになったレギの口を、寸での所で神が塞いだ。
…端から見たら、いきなり自分の口を自分の手で、アッパーな勢いで塞いだように、見えただろう。
「…いたい…また鼻打った」
『すまん。お前が大きな声を出しそうになったから』
「だって!あれが悟空って、あの時はまだあたしよりちっこかったのに……」
いくないくなと駄々をこねていた姿からは想像も付かない成長ぶり。
「本当……」
山吹色の胴着に身を包んだその後ろ姿が、ふと誰かと重なった。
「あ…」
〔っは!てめえはいっつも口ばっか達者だな〕
「……誰、だっけ…」
――〔おい、レギ〕――
あたし、名前を呼ばれたことがある…。
――〔…レギ、お前は…〕――
『レ…っ、…レギ!!』
頭に直接響いた声に現実に引き戻される。
「あ…何神様?」
『……どうした?』
「いや、なんでも、ない」
幻聴か幻か…。
それはもう、なくなっていた。
(…あたしの記憶…?凄く、忘れちゃいけないような…)
『選手のみなさんお待たせしました!!』
予選会場に拡声器で声が響いた。
『それではこれより、予選を始めます!選手の皆さんはそれぞれのブロックに集まって下さい!!』
あらかじめ引いていた予選番号に従い選手たちがそれぞれに散っていく。
「あたしは70番、4ブロックか」
『くれぐれも手加減を忘れるな』
「分かってるって!」
それなりの策は考えてあるのだ。
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