第三章 前編 (編集中)
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『ふはははは!!ついに手に入れたぞ!こうなれば、もう貴様等も手出しは出来まい!!』
心地良いくらいに自分の高笑いが響く。
気味が良いくらいに愕然とするベジータ達。
この肉体さえ手に入れられれば、掌波も斬気も手に入ったも同然。慣れなければその力が扱えないなら、慣れれば良いだけの話だ。
裏切り者の中身などいらん。オレ自身がこの肉体に入りこの力を扱えるようになれば、フリーザ様に存分にふるって差し上げられる。
そうこれで、これから何もかも上手く事が運べる。
これで全て元通りだ。特戦隊のメンバーもまた新しく集めれば良い。
その時には、フリーザ様にも誇りを持って喜びのダンスを披露できるだろう!
…と
ギニューの妄想ではそうなる予定だった。
実際は、
──どぼふ…っ
「…あれ?」
奇妙な音がして、それっきりだった。
見れば、飛び出したギニューの中身は、レギの前に現れた白い霧のようなものに受け止められその中で完全に勢いを止められていた。
「な、なんだそれ…?」
みんなを代表しておずおずと訊ねたクリリンに、レギは何でもないように説明をした。
「ああこれ?斬気の改良型『如意気力』。斬気を粒子状にして気で繋いでみたんだ」
うーんと……?
いや……よく分からない…。
「……えーっと…つまり?」
「どんな形状にもできるから、『帳』みたいに弾くだけじゃなく、こういう風に取り込んだり衝撃を受け止めたり出来るようになったんだよ。更に…」
レギは漂わせていた如意気力を操り、手のひらをきつく握りしめた。
すると、
『Σギュッ!?…ぐえっ…』
「力を加えると如意気力自体も強度を増すんだ。面白いでしょ?」
「あ、あぁ…、で、でも今なんか苦しそうな声が聞こえたような」
「捕らえただけで死んでないからねぇ…さあ~て、どうしよっかなあ~♪」
(た、楽しんでる…なんかめちゃくちゃ楽しんでる…)
レギはルンタッタ♪とスキップしながら歩きだし、やがて目標物を見つけると、がばちょ!と屈み込んだ。
「カエルっぽいの発見♪」
躊躇することなくそれを背中から鷲掴みにすると、また足取り軽く戻ってきた。
空っぽになったギニューの肉体の所へ行き見下ろす。
「…これはこれで気持ち悪いな…よし」
ギニューの肉体へカエルと如意気力に入れたままのギニューの中身をセット。
大きく息を吸って念を込めて、
唱えた。
「チェンジ・リバース『キャッチ&リリース』!!」
「「「Σそれ技名!!?」」」
──カッ
一同が(色々と)驚く中光が迸りそれが収まると、ギニューの肉体は四つん這いになって跳ねて丘の彼方へ消えていった。
そして、
『ッゲロ!ゲロゲロ!?』
さっきのカエルがレギの足元でけたたましく鳴いていた。
「新しい体の居心地はいかがですか、ギニュー隊長様?」
してやったり。
鬼の首でも取ったような、もう誰がどう見ても大満足な表情でレギはカエル、もとい、ギニューを見下ろした。
「…な、何が、どうなったんだ?」
「もう大丈夫だよ。悟空の中にはギニューはいない。さっき跳んでったギニューがカエルで、」
レギは足下のカエルを指した。
「今これが、ギニューだ」
『ゲ……ゲロロォ!?』
ギニュー自身もその事実にがっぱりと口を開け、今にも顎が外れそうな程驚愕した様子だった。
「なるほどな。こんな面白いものが見られるんなら、てめえがさっき言ってた『なんでもかんでも殺すもんじゃねえ』ってのも理解できるぜ」
「……そういう意味で言ったんじゃないんだけどな…」
ベジータの言葉にはちょっと複雑な心境になるレギ。ギニューが自分に向けてあのチェンジを仕掛けてこなければ成し得なかった決着だ。実際、如意気力で中身を捕らえられるかどうかも確証がなく、土壇場の一発勝負だった。
まあ、通り抜けられたらそれはそれで、エネルギー波か何かで抹消するだけだったが。
「どれ、一思いに踏み潰してやる」
「よしなよベジータ、こうなりゃもう何も出来ないよ。喋れなきゃあのチェンジもできないだろうしね」
『ゲ…ゲロォ…!』
「レギ!お前はなんて優しいんだ!」とでも言っているかのように見上げるギニューに対し、レギの笑顔にずどん、と闇が降りる。
「ふ。ミジンコにしなかっただけありがたく思いなさい」
『Σゲコ!?』
「これからの貴様の生涯を思うと同情するぜ」
「何食べて生きていくか知らないけど、ギニュー隊長ごきげんよう~」(キラキラ)
レギとベジータに見送られ、涙を流しながらギニューは去っていった。
「はー、スッとした!」
本当に心から清々しい笑顔になっているのを見て、こいつだけは敵に回さんでおこうと思ったベジータだった。
それからふと、宇宙船の方へ手をかざし、言い放った。
「それからそこの貴様。いつまでもコソコソしてないでいい加減出てきやがれ。さもないと…」
「待ったベジータ!あたしもさっきから気になってたんだ。敵意はないみたいだけど」
今にもエネルギー弾をぶち込みそうだったベジータを止めたのはレギだった。
悟飯とクリリンも、言われて初めて宇宙船の中の人物の存在に気付いた。
こんな状況の中で二人がそこまで気を配っていたことに改めて驚くと同時に、宇宙船に意識を向ける。
敵意はない、とはいえ敵ではないとも限らないからだ。
クリリンの中である考えがよぎる。
(もしかして、あの双子達が…!)
さっきベジータが言っていた、空間を移動する能力でまた現れるかもしれない、と。
抜けていた緊張が僅かに戻った。
ボロボロの悟空に肩を貸しながらレギも宇宙船にいる人物へ呼びかける。
「出てきて。素直に応じてくれれば悪いようにはしないから」
すると、宇宙船からかすかな反応があり、やがて出てきた人物を見て、驚きに小さく息を呑む音が聞こえた。
レギが、金縛りにあったように立ち尽くしていた。
「ふん、誰かと思えば貴様か」
「お久しぶりでございます、ベジータ王子」
ベジータに向けて一礼したのは、予想していた双子ではなかった。
戦闘服は身に付けていないが、同じ様な肩当てと白い簡素な服装をした老人で、疲れきって生気のない目がレギを映し、やはり、と言うように見開かれた。
そして、すぐに柔和な笑みになる。
それにつられてベジータもレギへ目をやる。
知り合いか?と、問いただすような視線にも、未だ呆けたように突っ立ったままのレギに、老人は心から懐かしそうに声をかけた。
「レギ、元気そうでなによりだ」
皆の視線が集まる中、まるで何かにとりつかれたように硬直したままのレギはすぐには返事を返せず。
やがて、かけられた言葉を一句一句飲み込むようにして、ようやく口を開く。
長く言葉を忘れていたような、震える声で言った。
「………元気そうでって、こっちのセリフだよ…、
………ドクター」
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