第三章 前編 (編集中)
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「なにすんのさ急に!!!」
十分に離れた所でベジータはようやくレギを解放した。
「貴様には保証人として一緒に来てもらわんとならんからな」
「保証人?何の?」
「ドラゴンボールで願いを叶えるためのだ。三つあっても貴様らがオレを出し抜こうとしない保証はないからな。お前の仲間が先にドラゴンボールの所へ行ったのなら尚更だ」
「……クリリン達が先にドラゴンボールを使ったら、あたしを殺すのか」
「あいつらでも良いんだぞ。何、てめえの仲間が妙な真似さえしなければ余計な手間もかけずに済むだけの話だ」
「信用ないなぁ(…最長老様の所にも行くのは難しそうだな)………て言うか、なんかそうやって勝手に物事決められてばっかりなんだけど」
地球でさらわれた時とか、ナメック星に連れてこられたこととか…。
あ、しかも二回目だこれ!!
しかし、腕を組んで不満を露わにすれば当然だと言うようにベジータもふんぞり返る。
「お前が言ったんだろう。『ドラゴンボールのことは好きにしろ』と」
「いやあれ、あたし自暴自棄(ヤケ)になってたから無効で」
「それに」
ベジータの目がレギの心を見透かすように細められた。
「お前はまだ、あの星での何らかの繋がりを断ち切れんでいるな」
「………」
ベジータはさっき、急に黙り込んだ時のレギを見ていた。
レギが悟空の背中に、確かに誰かを見ていたのを。
「カカロットに誰を重ねているか知らんが、私情を抱えたままでは戦場で不利になることくらいお前も知っているはずだ。そんなままで行って、フリーザとまともに戦えるのか?」
もっともな質問だった。レギとてそれなりに経験があるから、ベジータの言いたいところも分かる。
その私情で、足手纏いになるのではないか、と。
だけどレギはゆっくりと一呼吸置いて、口を開いた。
「あんたは本当に一人きりなんだね」
「何…?」
「その忠告傷み入るよ。確かに怒りや恨みだけで太刀打ちできる相手じゃないけどね、今のあたしには、今の仲間がいる。そう諭してくれた人がいたんだ。その想いには答えたい」
憎しみに駆られて何も見えなくなっていた。そこから救い出してくれた最長老の言葉が、レギの中にずっと暖かく留まっていた。
「同じ事を繰り返させないための、その覚悟も出来てるよ。あたしはね、何があっても前に進むって決めたんだ」
「くだらん……!」
面白くもなさそうにベジータは吐き捨てる。
ベジータには、レギの言わんとする真意が分からなかった。少なくとも同情で言ったのではなかったようだったが。
……一人だからなんだというんだ。
一人ではない、というのはつまり仲間とやらがいると言うことか?
それを守るためだと、力が増すとか言うのか?
それこそくだらない、とベジータは本気で思った。
今まで自分と行動を共にしてきた連中を、一度でも仲間として見たことはない。
戦いでヤバくなったら、それは自己責任だし、助けてやろうなんて論外だ。
いらなくなれば、簡単に切って捨ててきた。
いらないから、捨てたんだ。
自分は、間違ったことはしていないと疑いもしなかった、それなのに…。
リクームと戦った時、悟飯達に助けられたことを思い出した。
………あれは、単にやつらが、甘いからだろう…?
なのになぜ、今こんなに動揺しているんだ…?
「…まぁ、少なくとも、今はあたし達も仲間だよね?」
差し出されてきた手を、ベジータはほぼ反射的にはたき落としていた。
少しびっくりして見ているレギに、内心の動揺を誤魔化すようにベジータは早口でまくしたてた。
「き、…貴様は昔からわけが分からん奴だったが、ここに来てから更にヒドくなっているぞ!本当に頭でも打ったか!?」
「そうかもね」
軽く吹き出して即答したレギのその笑顔に、また舌打ちする。
(こいつといると、どうも調子が狂うぜ…!)
「さっさとドラゴンボールの所へ行くぞ!このオレを出し抜きやがったら本当にフリーザより先に貴様らを殺してやるからな!!」
「はいはい」と言いながら先だって飛び始めたベジータにレギも付いて行くも。
「……でも悟空、やつらに一人で大丈夫かな?」
「ふん、言うほど心配もしていないくせに、よく言うぜ…」
「あ、バレた?」
「…………」
ヘラっと言ってのけた。ジース達との戦いでレギも悟空の強さに気付いている。
恐らく、あの薬(仙豆)を使って、死にかけては復活を繰り返してきたのだろう。と、ベジータも大体の予想はしていた。
まあ、そんな方法がもし当時のサイヤ人の間で横行していたとしたら戦闘力上げ放題だったが……。誰も自らを死ぬ寸前まで追い込んでまで強くなろうとはしていなかった。無論、ベジータ自身も。
戦闘訓練や仕事(星の殲滅)で嫌でも戦闘は経験するし負傷もする。それで帰って来てからメディカルマシンに入って回復すれば事足りた。ただそれだけのことだったからだ。
ただ、その方法で地球での負傷からの復活を含めても、あそこまでの戦闘力の向上は異常だった。
仙豆での回復以上に、何かを悟空は極めてきている。
………そして、数日前とは別人の様なこのレギも。
あのリクームを、レギは掌波で倒した。それもたったの一撃で。
掌波の改良型『一空』。
昔の、そして地球で見たレギに、あれ程の強さはなかった。
一時は納得したものの、現状、やはりベジータにとって腑に落ちない点は多々ある。
(………気に食わん)
「…………ん?…なんか怒ってる?」
「…………」
「あ!ちょっと、急にスピード上げるなーー!!」
突然猛スピードで飛んでいくその後をレギは慌てて追いかけた。結局、フリーザの宇宙船に着くまで、ベジータはレギに何を言われても無言を貫いた。
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