第一章 完結
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**《プロローグ》**
第一話
≪【大食い世にはばかる】≫
焼きそば10杯。
フランクフルト30本。
お好み焼き20枚。
それらは全て瞬く間に小柄な人物の胃袋へと収められていった。
「おっちゃん!あと豚まん十個ほど」
『まだ食べるのか』
呆れた声は店主のものではなかった。
頭の中に直接響いたそれに、言われた当の本人は驚くこともなく出された豚まんに手を着ける。
「腹が減っては戦は出来んってね。
突然呼び出されたと思ったらいきなり人の体の中入ってきて説明も何もなしにここに飛ばされたんだもん。お陰でポポが用意してくれてた(はずの)ご飯食べ損なったし」
食べる手は止めずに不満を漏らす。
中からはため息が聞こえた。
『なら何故呼びかけにすぐ応じなかった』
「人助けしてた。見てたでしょ?カリン塔の真下にある村」
『聖地カリンか…』
「変な二人組に襲われてたんだ。見過ごすわけにはいかないでしょ。
んで、そいつら追っ払ったあと、おもしろそうだからついでにカリン塔も登ってみた☆」
『それが余計だろう!!』
声の主が突っ込んだ時、丁度最後の豚まんに手を伸ばし豪快にかぶりつく。
「んな大きな声出さないでよ神様。ところでさ、本当にこの天下一武道会ってのに出れば、あたしの記憶戻るの?」
『…すまんが、可能性はある、と言うだけのものだ。まだ、名前意外は思い出せていないのか?レギ』
「まぁ、ね…」
最後の一口を飲み下し席を立つ。
「おっちゃんごちそうさま!お勘定置いとくよ!」
『…お前、どこからその金を…』
「やだなあ!自分で稼いだんだよっ、失礼な!
なんなら…シェンさん、ご馳走してくれるのかしらあ?」
『いや、そういうことなら構わない』
領収書の束を札束のように振って見せニマニマ言えば、慌てたように声が帰返ってきてレギは勝ち誇った笑みを浮かべた。
「そろそろ会場行こうか。雨も止んだし、悟空ももう着いてるみたいだし」
『レギ、最初にも言ったが、孫悟空にはなるべく正体がバレないように』
「大丈夫だよ。あいつ相当鈍いからちょっとやそっとじゃバレないバレない」
パタパタと手を振り会場へ向かう。
ダボダボのジーンズに白いパーカー。目深に被ったキャスケット帽で顔は伺えないが、これから試合をするような格好には到底見えない。
端から見れば、やけに独り言の多い観客の少年に見えただろう。
選手登録名は『シェン』。
神様がレギの体に入り、大会のために用意した偽名だ。
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