第三章 前編 (編集中)
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「…バ、バータまで…!!」
倒れた仲間を見て青ざめるジース。
いきなり現れた自称『地球育ちのサイヤ人』を名乗る男が、ここに来てやったことは…。
ジース得意のクラッシャーボールを弾き飛ばし、その上、宇宙一のスピードを誇るバータの背後をあっさりと取り……。今、そのバータをたったの二発で倒してしまった。
スカウターでも自分達の戦闘力の方が圧倒的に上な筈なのに、なぜこんなにもやられっぱなしなのか、ジースには理解が出来なかった。
グルドも、リクームも、バータも、そして双子のパルメとメザンも……。次々と仲間が倒されていく現状が信じられず、ジースは震えた。
自分達は、全宇宙から精鋭だけを集めた超エリート部隊。ギニュー特戦隊。それを、サイヤ人ごときに手も足も出ずやられていくのは、悪夢そのものだった。
これまでの攻防でも、目の前の男が全く本気を出していないのが嫌でも分かって、自分では適わないという事実になす術なく、ジースは一時その場を離れていった。
その直後、ベジータが動いた。
──ボキッ!!
「「!?」」
音の方を見るとベジータがバータの首を折り砕いた瞬間だった。
それを見たレギは「やっぱりか…」とため息を吐いただけだったが、悟空は驚いて声を上げた。
「ベジータ!?何を…!」
──ドォン!!
「あ……!!」
しかし、止める間もなく続けざまに未だ倒れたままのリクームに手をかざし、エネルギー弾によって消し飛ばしてしまった。
「な、なんてことを!あいつらはもう戦えなかったんだぞ!!」
「悟空、落ち着いて」
「だけどよ!」
非難の目で訴える悟空にレギは宥めるように話してやる。
「こいつらが目を覚ましたらまた襲ってくる。説得に応じて大人しくこの星から出ていったり、味方になってくれるほど甘い連中じゃないのはお前も分かっただろう。敵の戦力は少しでも削っておいて損はないんだよ」
「レ、レギ………」
愕然としている悟空とは対照的に、ベジータが満足そうに鼻を鳴らした。
「……フン、分かっているじゃないか。それで、当然あの双子もちゃんと始末したんだろうな」
「あー、いや?」
「貴様もやっと昔の勘を…………なんだと……?」
少しばかり目を泳がせてから否定したレギに、ベジータは一瞬ポカンとした。
「……ま…まさか、生かして逃がしたのか…⁉やつらの髪を切ってきたのだろう⁉奴らにとって頭髪は命その物なはず……!」
「切ってはきたけど、あの種族にとって髪の毛は年齢を示すだけものでしょ?ちょっと切ったからって極端に寿命が縮むわけじゃないんだし。……縮まないかは知らないけど…でも、切った後だってピンピンしてたよ、自力で飛んでった」
「……ち、縮むかもしれないんだ…寿命…」
言われてみれば、あの双子の髪は確かに長かった。髪の長さが年齢の象徴などという、地球の常識では考えられない生態系にクリリンも悟飯も唖然とする。
レギの言葉に、ベジータはあからさまに舌打ちをした。
「奴らは、瞬間移動のような能力を使って空間を移動していやがった。生きているなら、いつまたここに来るか知れないんだぞ…!!その時、てめえはどうするつもりだ⁉」
「いや、それはたぶんないよ」
「なぜそう言い切れる!!?」
「…だって、あんなに泣かれちゃあねえ……」
バツが悪そうに苦笑いをしたレギに、クリリンは何かいやな予感がして恐る恐る訪ねてみた。
「………なにやったんだ、お前……」
「一空の実験台になってもらった」
それを聞いた瞬間、げっ、と思わずうめいてしまった。
リクームを一撃で倒した『アレ』の実験台とは……聞かなきゃ良かったとクリリンは少し後悔した。
「完全に戦意喪失してたし、あれ以上は…ちょっとね……。今も宇宙のどっかでぴーぴー泣いてるんじゃないかな」
「…っち、相手が泣いたくらいで始末もできんとは、貴様も落ちたもんだな!」
「あのね、なんでもかんでも殺しゃいいってもんじゃないでしょ」
ブチッ、と何かが切れる音がした。レギのその言葉がベジータの逆鱗に触れたらしい。
…ベジータ個人的には、地球での戦いで悟空に生かされた、という最大の屈辱を受けていることなどレギは知る由もないのだが。
「うるせえ!!どいつもこいつも、甘過ぎて反吐が出るぜ!そんなんだからこいつは非道になりきれないんだ!!」
「非道になりきれなきゃなんなの?」
思わぬ方向へ怒りの矛先が行き、本気で訊ねるレギに、とうとうベジータは怒っている自分が馬鹿らしくなって、大袈裟くらいため息を吐いて怒りを吐き出すと顔を背けた。
「…超サイヤ人などと、オレの思い過ごしだったぜ…」
「……超サイヤ人って…」
レギはずいぶん久しぶりにその単語を聞いたと思った。
それは惑星ベジータに昔から言われている伝説の存在だ。
「え?…スーパー…?なんだそれ?」
しかしクリリンには答えずベジータは悟空を見て皮肉な笑みを浮かべた。
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