第三章 前編 (編集中)
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「クリリン達は…もう奴らと出くわしてるか!!……ん?」
一人出遅れたレギ。
クリリン達の気、というよりギニュー特戦隊の気を追いながら飛んでいると、前方から猛スピードで接近してくる二つの気配があった。
「あ、いたいた!」
「こっから先は行かせないよー!」
──ビュン!!
「…え?」
「…あれ?」
スピードはそのままに、レギは立ちはだかったであろう二人を完全にスルーして通り過ぎる。
アウト・オブ・眼中である(古い)。
「ちょ、ちょっと、そんなのあり!?」
「空気読んでよ!ねえー!?」
背後からきゃんきゃん騒ぐ二人に、レギはようやく止まった。
「…っち、面倒くさい……誰だこいつら…」
着ている物と自分の行く手を阻もうとするところからタイミング的にもギニュー特戦隊関連だとは思ったが、惑星ベジータにいた頃の特戦隊しか知らないレギには見覚えのない二人だった。
見覚えはないが、長い髪や耳などの特徴から何の種族かは大体予想がついた。何の能力を持っているかまでは知らないが…。
「(こんなのまで集めたのか……)で、なんの用?」
「こ、この状況で言うに事欠いて『なんの用』!?」
「み、見れば分かるでしょ!?キミの相手はボクらだよ!!」
「勝手に決めんな。迷惑だから余所へ行け。そっちこそ見れば分かるだろ。こっちは忙しいんだよ」
「お願いだからもうちょっとやる気出してぇー!」
「……お前ら、そんなんで特戦隊か……?」
とうとう泣き出してしまった二人。
レギは溜め息を吐いた。
どうあっても相手をしないといけないらしい。
「分かった分かった。お前達はあたしと戦いたいんだな」
「そ、そうだよ!」
「あの伝説の最強夫婦の子供なんでしょ!?ボクらキミと会える日をずーっとずーっと待ってたんだからね!!」
「(最強夫婦……あたしのお父さんとお母さんのことか?なんでそんなことに……)…まあいい、そしたらこうしよう」
す…とレギは右手を構えた。
「あたしは今、新技の開発中なんだ。イメトレばっかりで実践ではまだ試してなかったから、丁度いい。お前ら、実験台になれ」
「「へ?」」
「泣く子も黙る特戦隊なんでしょ?はい、全力で、かかってきなさい」
にっこり笑って言ったレギの、ぎゅっと握り締めたその拳の周りがほんのり白くなり、それが異様な渦を巻く。
笑顔とは裏腹に押し寄せる途方もないプレッシャーに、今更ながら二人は冷や汗を流した。
(パ、パルメ、…な、なんか、思ってたのと違う様な……)
(ツ、ツフル人って………あれ?メ、メザン……ボクらって…………)
「おーい、来ないんなら、こっちから行くぞー」
…ッボ!!!とパルメとメザンの至近距離で何かが通りすぎた。レギは目の前から動いていないのに、自分達の背後で何かが破壊される音が聞こえる。
恐る恐る振り返ってみれば、結構な大きさの岩に大穴が穿たれていた。
「……ふぅん…あれを貫通までいかなかったか、射程範囲が広すぎて威力が分散されたか、もう少し絞って………」
それを撃った本人は、手をグーパーしながら一人ブツブツ言う。本当に新技の実験をしているようだった。
(い、今の………‼)
(あ………パ、パルメ…これって………)
「次行くぞー」
「「え”!!!?」」
容赦なく宣告されて双子の思考は中断された。
見れば、レギは先ほどの攻撃を放った右腕をぐるんぐるん回して、準備万端状態だ。
「次、連続行くから、ちゃんと避けろよ。死ぬかもよ」
((…じ、実験台って、マジだ……!!))
さっきのを見せられて、その上今度は連続と聞いて、双子は青ざめる。
何故か一気に勝てる気ゼロになった双子の心境を知ってか知らずか、レギはこの後自分が納得できるまで新技の改良にとことん勤しんだ(なる早で)。
奇しくも双子は、その格好の的(エジキ)となったのだった。
一方ベジータ達の方では……。
ジャンケンで対戦相手が決まった後ドラゴンボールはギニューが持ち去ってしまい、当然それを追いかけることは許されず、ベジータ達は黙って見ているしかなかった。
そしてその後のグルドとの戦いは、クリリン達に金縛りの術をかけているグルドの背後からベジータがその首を撥ね飛ばしなんとか勝利はしたものの、問題はその後に出てきたリクームだった。
巨躯に違わぬパワーとタフさで、ベジータが最初から全力をぶつけてもせいぜいがプロテクターを破壊した程度。反面、ベジータはリクームとの攻防で数撃受けただけで立っていられるのもやっとの状態だった。
破れたアンダーシャツから尻が半分見えている相手に、まるで歯が立たない。
この星に来てから幾度目かの『死』をベジータは覚悟した。
クリリンの機転で、口から大技を放ったリクームに不意打ちをしてベジータを救い出すも、リクームの標的がベジータからクリリン達に移っただけだった。
そしてクリリンも、リクームの攻撃をたった一撃受けただけで骨を砕かれ動けなくなってしまった。ベジータはこんな攻撃を受け続けて戦っていたのかと思うと、今更ながら次元の違う強さにクリリンはもう笑うしかなかった。
そして、一人立ち向かう決心をした悟飯も懸命に戦ってはいたが、力の差は歴然。
遊び半分でまともに悟飯のことを相手にもしていないリクームに、当然適うはずもなく、
「…ボ、ボクは、お父さんの…孫悟空の息子なんだ…!」
「まだ訳の分からんことを言う元気があるようだなぁ」
「お、お前なんかに…負けてたまるかーー!!」
「相手が悪かったなあガキ!!」
──ボキン!!
「ご、悟飯…!!」
リクームの足が悟飯の顎を捉え、嫌な音が響く。
クリリンとベジータの目の前で、首の骨を折られ倒れていく悟飯。
しかし、地面に落ちる寸前、誰かがその体を受け留めた。
「おっと?…おやおや、こいつは驚いたな」
「誰かと思えば裏切り者のレギ君じゃないの!」
「ごめんな悟飯。来るのが少し遅くなった」
リクーム達を無視してレギは悟飯の体をそっと横たえる。折れた首に斬気で添え木をして固定してやる。
「もうすぐ悟空が来る。それまで死ぬんじゃないよ」
「おおい裏切り者!お前の所にはメザンとパルメの双子ちゃんが行ったはずだが!?」
「……」
リクームの問いにレギは立ち上がって、無言で持っていたものを投げた。
パサリと落ちたのは、赤と青の髪の房。
その途端、特戦隊側の顔色が変わる。
「そ、そいつは…!!」
「あの二人の髪を、切ったてきたのか…!?」
「じゃあパルメとメザンは…」
「口ほどにもなかったな」
吐き捨てたレギは、リクームを睨んだ。
「そんなことより、あたしの可愛い愛弟子をこんなにしてくれて、…覚悟は出来てんだろうなあリクーム」
「はーっはっはっは!口ほどにもなかったのはこっちのセリフだぜ!レギ君よ、お前さんまさかオレ達に勝てると思っちゃってんのかな?」
ふんぞり返るリクームにバータもジースも見物席からうんうん頷く。
「あの二人をやっちまったのは正直信じられんが、現状に変わりはねぇさ」
「そうだな。お前達ごときがオレ達ギニュー特戦隊に適うはずがない」
それを聞きながら、レギはリクームから目を離さずにそっと悟飯から距離を取る。
「相変わらずごちゃごちゃ煩い連中だな。やってみれば分かるだろ。来いよ、『おっさん』」
「!…いいだろう、少しは楽しませてくれよ!!」
ドカン!と飛び出したリクーム。
レギは慌てることなく半歩横へ移動し瞬間的に体を捻った。そのままリクームの突進を躱しながら通過したその後頭部へ足を引っかけ、相手の勢いを利用して地面へ叩きつける。
更に、既に構えていた右手から特大のエネルギー弾をぶち込んでやった。
「イレイザー・ガン!!」
「っ!」
爆発の煙の中から間髪入れずリクームの攻撃が飛んできて、それを後ろに反り返ることで回避。そのままバク転を繰り返し距離を取るレギを追って再びリクームが猛突進。
「いいねいいねぇ!相変わらずいい動きじゃないのレギ君!」
「相変わらずタフ過ぎて気色悪いったらない……!」
言い合いながらの攻防で、レギはリクームの脇腹に蹴りを入れ、リクームはレギの左頬を殴り飛ばし、双方カウンターを食らって吹き飛び距離を取った。
(…こ、これがレギの戦い…!?す、凄すぎて、ほとんど何をやってんのか見えなかった…)
初めて見るレギの戦い振りにクリリンは唖然としていた。
「どうしたどうしたあ?掌波とか斬気とか、全然使って来ないじゃないの!!防御にすら使わないなんてなめられたもんだぜ……。久しぶりに見せてくれよツフル人のお家芸!観客も見たいって言ってるぜえ!!」
「そうだそうだー!出し惜しみするなー!」
「どーんとかましてみろよ!そんなんじゃ『おっさん』にすぐにやられちまうぞー!」
「おいおいバータ、どさくさに紛れて言ってくれちゃうじゃねえの‼お前も大して変わんねえじゃねえか!」
ブーブー不満を漏らすリクームと挑発的な外野のヤジ。しかしレギは、苛立ちと一緒に口の中の血を吐き捨てる。
(悟空まだか!?悟飯が死んじゃうぞ!)
「…ふん、使う気がないなら、その気にさせるまでだ!得意の帳で防ぎきれるかな⁉リクーーーム!!!」
「…!(来た!悟空だ!)」
何やら構え始めたリクームを尻目に、ずっと追っていた気配がようやくこの星に降り立ったのを感じて、レギは一人笑みを浮かべた。
「や、ヤバいぞレギ…!!」
リクームのオーバーアクションな構え。そこから繰り出そうとしている技がベジータと戦っていた時、星の形を変えてしまったものの倍の威力なのを悟ってクリリンが叫ぶ。
しかしレギは焦ることもなく、静かに右腕を構えた。
「は?…あの構え……掌波か…!?」
「リクームを掌波でだと…⁉寝ぼけてんのかあの女!」
「外野がうるさいな。お望み通りに使ってやるんだから文句言うな」
「はっはっはあ‼そこまでなめられていたとはな!いいぜ、やってみなあ!!!」
不相応とばかりに文句を言うジース達に構わず、リクームは構えを解かない。更にエネルギーをためる。しかし、
「ウルトラ…!ファイティング…!」
「『一空』」
──ッズドン!!!!
「「「!!?」」」
「え……」
重い衝撃音と共に、リクームの体が九の字に曲がり、崩れ落ち、そのまま動かなくなった。
レギは腕を振り抜いただけ、最初の位置から動いていない。
地球での『ツミハ』より格段に威力を増したそれを使ったレギは、確かめるように腕をぐるぐると回す。
腕、肩に痛みなどは全くなく、異常なし、と力強く拳を握りしめて見せた。
「な…なんだ、奴は今、な、何をしたんだ…!?」
「…掌波…?あ、あれが……!?だ、だがそんなものでリクームがやられるわけないぜ!?」
「…いっ…くう…?そ、そうかレギ、新しい技を完成させてたんだ…!」
希望を感じてクリリンの顔に少しだけ笑みが戻った。
そしてようやく、悟空もその場に到着した。
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