第三章 前編 (編集中)
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「止めても無駄だろうな」
「うん」
なんの迷いもなく頷いたレギに妙に納得がいってネイルは苦笑した。
「瞬間移動は使うんじゃないぞ」
「あぁ、最長老様も言ってたね」
ネイルの忠告にレギも頷く。
瞬間移動は元は西の界王神ウェイゼルの扱っていたものだ。その魂をもって生まれたから力の一部を使えたのはレギにとっては棚ぼただったが、力の出所が違えばその分封印にも影響を及ぼしかねない。
そうでなくでも、瞬間移動そのものがエネルギーの消費が大きいため、それを懸念して最長老からも忠告を受けていた。
現に、悟飯達とフリーザの所から脱出する時もレギは瞬間移動を使うのは見送っていた。あの時は負傷していたこともあるが、その状態でも自分一人だけならまだしも自分の他に四人と、一度に移動するには人数が多すぎて失敗する恐れがあったからだった。
飛べるか飛べないかの思考。そして、実行したとして失敗した時のタイムロス。もし、脱出手段に瞬間移動を考慮していたら、あの場からクリリン達を逃がすのは難しかったかも知れない。だからレギは最初から瞬間移動での脱出は視野に入れていなかった。
そして今は、別な理由でその使用を制限しなければならない。
ここからは、飛んで移動するしかない。
「それと、行く前に…」
「?…」
ネイルがレギに手をかざすと、一瞬でレギの着ていた服が変えられた。
ネイルがレギの記憶を追体験した時に地球で見たレギの胴着だった。
「これ…!」
「その方がお前に似合っている」
驚き目を丸くしているその顔がほころんだ。
「…ありがとう!」
「!……」
「じゃ、行ってくる!!」
その笑顔は、ネイルの脳裏に焼き付いて、逆に驚いているネイルに背を向けたレギは、再び戦いの中へ戻っていった。
「…それでは、よろしくお願いしますね」
「お任せください」
フリーザより任命を受けた七人も、同じくフリーザの所を飛び立った。
第十一話
≪VSギニュー特戦隊≫
「「ジャンケン・ポン!あいこでしょ!!あいこでしょ!!」」
目の前でいきなり開かれたジャンケン大会。
ギニュー特戦隊の誰が誰と戦るかで場違いな展開になっていた。
クリリンも悟飯も唖然とその光景を見つめる。
ベジータとの共闘を決め、お互いのドラゴンボールを回収するべくここまで全速力で飛んで来た。
にもかかわらず、ベジータの持っているドラゴンボールの所へたどり着く前に例の一団に先回りされ回収は叶わず目の前で分断されてしまった。ベジータはドラゴンボールを遠くへ投げ飛ばし回収不可能にしようとしたが、相手側の隊員に超スピードであっさり回収されてしまう。
やむなくクリリンにドラゴンボールの破壊を命じるも、一瞬でボールはクリリンの手から消え、相手側の手に渡っていた。
これで手持ちのドラゴンボールは全て奪われてしまったことになる。
絶望的な状況のはずなのに、この目の前で繰り広げられているひたすらなジャンケンは、ある意味悪い夢でも見ているかのようだった。
「…なあおい、今のうちに逃げられないのかな?」
「先に死にたければそうしろ…!」
ベジータは連中から目を離さずクリリンの質問を一蹴する。
この後の展開が分かり切っているだけに、どれだけ場違いだろうと、ベジータは一人脂汗をかいてジャンケン大会を見つめていた。
誰が出てきたところで、結局最悪の状況に変わりはないからだ。
ふと、悟飯はジャンケンに参加していない人物がいることに気付く。
背丈は自分と同じくらいで、それぞれ赤と青の対照的な色の髪を長く三つ編みにした二人組だった。
「…あ、あの人達はジャンケンしないのかな…?」
「ボクらは特別なんだよー♪」
「っ!?」
間近で聞こえた声。
それは悟飯の肩に覆い被さって楽しそうに言った。
「ボクらの獲物は決まってるんだよね♪」
(い、いつの間にこんな近くに…!?)
さっきも、似たようなことがあった。ベジータのドラゴンボールの隠し場所に先回りをしていたのがこの二人だったが、その場所に飛んできた様子もないのにボールのそばからいきなり出てきていたのだ。
接近してきた気配も全くなかったのにどこから…、と戸惑っている間に他の隊員達が到着し、回収するはずだったドラゴンボールと分断されてしまったのだ。
そして今、またその動きは全く見えなかった。クリリンもベジータでさえも二人の接近には気付けなかった。
(…い、一体、どうやって……!!)
考えても、本人達に聞いても、分かるわけもない。このギニュー特戦隊と言う特殊部隊の本当の実力は、ベジータでさえ噂程度にしか知らなかった。
ましてやこの二人は最近入隊したという。何の能力を持っているかなど知る由もなかった。
悟飯は、肩に覆い被さる得たいの知れない存在に、いつでも殺せるその距離に置かれ金縛りにあったように動けなくなった。
「ねぇキミ、名前は?」
「え…あ……っ」
そんな質問に答えられる訳もなく、それを分かっている上で意地悪そうに歯を見せて笑う。
「大丈夫だよー。キミ達の相手は先輩達だからね。ボクらは何もしない」
「あぁそっか、先に名乗るべきだったかな?ボクはメザン」
「ボクはパルメ」
悟飯の肩を抱いていた青い髪の方が離れると、赤い髪の方もそれに習い二人で悟飯の前に並んで名乗った。
髪の色以外は双子のようにそっくりだった。実際に、これだけ似ていれば双子なのだろう。
揃いの金色の目が悟飯を見つめ、面白そうに細くすがめられる。
「…ふぅん、キミも半分だけサイヤ人なんだねぇ」
「あの子と同じなんだね」
「…あ、あの子…?」
「今こっちに向かって来ているよ」
「……レ、レギさん…のこと…?」
その時歓声が上がり、メザンとパルメと名乗った二人のその特徴的な長い耳が跳ね上がる。
どうやらジャンケン大会の勝者が決まったようだ。
「うおー!オレがベジータだー!!」
「ちっ、オレは試合会場のゴミ片付けかよ!」
「隊長っ!!」
途端に二人は、もう悟飯には目もくれず『隊長』の所へ駆け寄った。
「もういいでしょ!?」
「ねえ!?」
「分かった分かった。ただし、奴のことはフリーザ様は生け捕りをご要望だ。殺すんじゃないぞお前達」
「「はい!!」」
返事と共に空へと飛び上がる。
「うーん、結構なスピードで移動してるね。これだとずれるからこっちも飛んで行った方が良さそう」
「よーしメザン!どっちが先に着くか競争だ!」
「あー!ズルいよパルメー!!」
「あ、あいつらレギの所に行くんだ!!」
「そ、そんな!行かせてたまるか!!」
「よせ!余計な体力を使うんじゃない!!」
双子を追いかけようとした悟飯をベジータが鋭く制した。
「で、でも…!」
「奴ならあれくらい自力で何とかする!それより自分達の心配をしやがれ!!
本当の地獄はこれからだ…!!」
「おほほ~。さすがに分かってるじゃないのベジータちゃん♪」
悟飯、クリリンの相手は頭部に複数の目を持つグルド。さっきクリリンの手から一瞬でドラゴンボールを奪ったのがこのグルドだ。
そしてベジータの相手、モヒカンの大男リクームが不気味に笑う。
「さあて、たっぷり可愛がってあげちゃうからね~♪」
「可愛がると言ってもよしよしと頭を撫でたり高い高いをする訳じゃないぞ。思いっきり痛めつけてやると言うことだ!」
「いちいち説明せんでもいい!」
ジースのボケ発言に隊長のギニューが突っ込む。
「…こ、こいつらのキャラクターが掴めない…」
先のジャンケンといい、妙な雰囲気に今一つ危機感が持てず一行に振り回され気味なクリリン達。
だが、ベジータの言う通り、本当の地獄はこれからだった。
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