第三章 前編 (編集中)
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「…見えた!あれが最長老様の家だ!……っ!!」
気を全開にして飛んできたクリリンは、後ろから急接近してくる気に急ブレーキをかけた。
振り返れば、それはもう視認できる程にまで近付いてきていた。
クリリンにとって、一番恐れていたことだった。
「そそ、そんな…ベジータ…!!」
「ちょっと焦っちゃったね二人とも」
「「!?」」
声に、二人は驚いて振り返った。
そこに、困ったように笑いながら腰に手を当てて佇むレギがいた。
「レギ!?」
「レギさん!!」
「まぁ、急がなかったら、このタイミングでここまで辿り着けなかっただろうけどね」
レギは驚く二人に自分の後ろの高い岩を指す。
二人がここに来た目的はとうに知っていたからだ。
「ベジータはあたしに任せて、早く長老様の所へ」
「あ……分かった、頼むぜ!!」
それが、すっかりいつものレギだと確信して、クリリンと悟飯は真っ直ぐ最長老の家へと飛んでいった。
ほぼ同時に、レギの目の前にベジータが現れた。
レギは極普通に片手を挙げて見せる。
「よ。ご無沙汰、王子」
「貴様!?…やはりそうか、地球人共とグルだったわけだな!!」
「んな人聞きの悪い。あたしだってクリリン達がここに来てたのは予想外だったんだよ。すんごいビックリしたんだから」
「白々しい…!あの時ドドリアから逃がしたのもやつらだったんだろうが!ナメック星人のガキ共などと大嘘こきやがって!!」
「嘘は言ってない。ナメック星人の子供達を逃がしたのは本当だよ。クリリン達も一緒だったのは、まあ別に聞かれなかったからねぇ」
「っこんの………!!!」
確かに、レギは嘘は言ってはいない。
なあーんにも、嘘は言っていないのである。
「……ス、スカウターを壊したのも、あいつらの事をオレに探らせないためか…!」
「いやいやいや。言ったでしょ?盗み聞き防止だよ。大体、あんたは自力で『相手の気配を探る能力』使えるようになってたんだから、どのみちいらなかたったじゃん」
(…くっそ、ああ言えばこう言う………!!!!)
話せば話すほど、確実に蓄積していく苛立ちにベジータはわなわなと震えていた。前回対峙した時とは全く違う様相にも気付かないほどに。…だがこれは、悟飯が最長老にパワーアップして貰うためのレギによるただの時間稼ぎだ。
そうとは知らないベジータは、苛立ちをぶつけるようにレギに吠えた。
「オレから奪ったドラゴンボールも返してもらおうか!!!」
「え?いや、それはあたし知らないな…」
「とぼけるなっ!!!」
ベジータは怒りのままレギに掴みかかるも、それにもレギは別段慌てることなく両手を上げて無実を主張する。
「本当だよ、あんたと別れてからあたしはずっとここにいたからね、何もしようがないよ。それにしても、あんたから物を奪ったなんて凄いことしたんだねクリリン達は」
「貴っ様…!!」
「それよりベジータ、気付かないか?」
「はぐらかすな!」
ベジータは乱暴にレギを突き飛ばした。次は気弾の一つでも飛んできそうな雰囲気ではあったが、それでもレギは冷静に、空のある一点を指差す。
「あの辺、探ってごらんよ。確実にこの星に向かってきているぞ」
「…何?……………なっ!!?」
言われた方角を渋々探ってそれを認識した途端、ベジータの顔色はみるみるうちに変わっていった。
それを見て、レギも顔を曇らせる。
ベジータの反応で、自分の気のせいや勘違いではないと確証が取れたからだ。
「……フリーザはかなり焦ってるみたいだな。超ぉー絶面倒な連中を呼び寄せた」
「…ギ、ギニュー特戦隊…!!」
「…奴らが来た意味は、もうドラゴンボール探しのためのスカウターの補充だけじゃない。あたし達の殲滅だ。このままじゃ、フリーザより先にあの変体集団に皆殺しにされる方が早いだろうよ。あたし達も、あんたもね。…だからさベジータ。ここらで一旦休戦しない?連中が来るのはあんたにとってもヤバいだろ?
幸い、お互い目的は違っても利害は一致してる。こっちとしても、あんたが戦力についてくれれば頼もしいんだけど」
「ぐっ……!」
ベジータは、まさに究極の二択を迫られ歯噛みする。
今この星に向かって来ている連中は、確かにレギの言う通り一人では到底太刀打ちできない。だが、それではドラゴンボールは、自分の本来の目的はどうなる……。
だが、悠長に悩んでいる暇もなく、あの独特の存在感を放つ一団の気配がジリジリと確実に迫って来ている状況に、一瞬、…そういえば、気配を読む能力は昔は使えなかったから連中の気配を感じるのは初めてなのに何故すぐに分かったんだ?などと、全く関係のない思考がベジータの脳裏を掠めた。
掠めてしまった。
(くそ!…い、今はそんなことはどうでもいいだろうが……!!)
……でも、何故……(ええいくそ!!黙れ!!)…などと、ベジータが一人色々葛藤していると、
「レギさーん!!」
「レギー!!」
悟飯達が慌てた様子で飛んできた。
無事に最長老から潜在能力を引き出してもらえたようだ。
「さ、最長老様がこの星に邪悪な者が近付いてきてるって!」
「それも一つや二つじゃねえんだ!!」
二人からそれを聞いたレギが再度『どうする?』とベジータを見た。
ベジータは、腹を括る。今はとにかく、自分が生き残る確率の高い手段を選ぶ他にないのだ。
「……い、いいだろう。ただし!ドラゴンボールで願いを叶えるのはこのオレ様だ!!」
「え、な、なんだよ!?どういうことだよレギ!?」
ベジータの発言はクリリンと悟飯には寝耳に水だった。
ドラゴンボールをベジータに使われては自分達がこれまでやってきたことが全て水の泡になってしまう。
どういうことかとレギを見れば、くいっとベジータを親指で差す。
「こいつとは一時休戦だ。今から来る奴らはバラバラじゃ太刀打ちできない。ベジータと一緒に戦う」
「で、でもそんなことしたらドラゴンボールは…!?」
「その心配はない」
そう言ったのは、いつの間にかそばまで来ていたネイルだった。
「ドラゴンボールで叶えられる願いは三つだ。それぞれの望みも叶えられるだろう」
「三つ!?一つじゃないの…!?」
地球のドラゴンボールでの願いを叶えられるのは一つだけ。
当然ナメック星のドラゴンボールも同じだと思っていたが、その予想外の事実にクリリンも悟飯も目を見張る。
本場のドラゴンボールは大きさも地球のものよりずっと大きいだけに、叶えられる数も多い。
これなら、ベジータの条件も飲めないものでもない……が、クリリンにとっては大きな懸念が残る。
地球で殺されかけたのは、つい1ヶ月程前のことだ。
そのベジータと手を組み、共闘することにクリリンには抵抗があった。だが、
「決まりだね。ベジータ、叶えられる願いは三つあってそれであんたの望みも叶うなら、問題ないだろ?協力して」
「……わ、分かった。貴様らには危害は加えん」
「「…!?」」
レギがベジータへ促せば、苦渋の決断をするように、それでもしっかりとベジータは約束を口にした。
これまた予想外の状況にクリリンも悟飯も思わずベジータを見つめた。
その視線に気付いてか、ベジータはギッと二人を睨み付けた。
「…た、ただし協力するのは今だけだ!!だからさっさとドラゴンボールの所まで案内しやがれ!ちんたらやっていると奴らが来てしまうぞ!!」
「……わ、分かった。その約束だけは必ず守ってもらうからな!!!」
確実に懸念が払拭された訳ではないが、どのみち今は共闘という形を取るしか他に方法がない。
クリリンも意を決し、急いで自分達が隠し持っているドラゴンボールの所へ飛び立つ。ベジータも後を追いかけていき、レギも続いて行こうとしたが不意に腕を掴まれ引き戻された。
レギの腕を掴んでいたのはネイルだった。
「な、何、ネイル?」
「力は?まだ完全ではないのだろう」
力とは、ツフルの力の制御のことだ。
確かに、レギはまだ完全に制御は出来ていない。部分的な強化は可能になったが、未知数なその力の全てを把握できておらず未だ未完成なままだった。
「でもやらなきゃ。大丈夫、大体コツは掴めてきたところなんだ」
「いや、彼等とは私が一緒に戦おう」
「ダメだよ、ネイルは最長老様の傍にいて。あの人を守って」
最長老の死期が近いのは分かっている。もういつその時が来てもおかしくはない。
もしもの時、誰かが傍にいなければいけない。それはレギではなく、やはり守役のネイルでなければならないのだ。
「もう時間もない。やるしかないよ」
同じ頃。
宇宙を高速で移動する一団は、目的地であるナメック星を目前に控えていた。
「たーいちょー、ギニュー隊長~~!!」
「なんだなんだうるさいぞお前達!」
「だってだって!待ちきれないよ!!」
「早く着かないかなナメック星!!」
「もう見えてきてるじゃねえかよ。本当にガキだなお前ら」
「「ジース先輩ヒドい!」」
「そうだぞジース、お子ちゃまの言うことは多目に見てあげなくちゃあ」
「リクーム、それフォローになってないぜ。チビどもの方がオレ達より歳食ってるんだぞ」
「チビって言わないで下さい!」
「ボクらそういうの関係ないですもん!」
「とにかくみんなー!フリーザ様の所へ着いたら練習通りきちんと挨拶するんだぞー!」
「「はーい!」」
「了解でーす」
この賑やかにバス遠足のようなやり取りは、ナメック星に向かっている邪悪な者達。
和やかそうな雰囲気とは裏腹に、その肩書きはフリーザ軍1凶悪な特戦部隊。
ナメック星を間近に迫り、七つの不吉な光が、
ついに星に落ちた。
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