第三章 前編 (編集中)
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『もういいのですよ』
最長老のその言葉で張りつめていた殺気が消え、レギが纏っていた気配ががらりと変わった。
その瞬間、ずっと成り行きを見守っていたネイルの精神は、堰を切ったように溢れかえったレギの心に飲み込まれた。
その時になってネイルは初めて、最長老が『目を背けてはいけない』と言っていた意味を理解した。
第八話
≪無情な焦燥≫
「……ネイル」
「っ……」
静かに呼ばれて我に返る。
まだはっきりとしない頭で視線を動かすと、泣き疲れたレギが最長老の座る椅子にもたれかかり眠っていた。
その涙もまだ乾ききっていないことから、それほど時間は経っていないことが分かった。
レギの精神に飲み込まれた時、ネイルはレギの過去を追体験していた。
未だ酷く余韻が残っていて、流れる涙はそのままに最長老に問う。
「…最長老様、なぜこの方がこれほどまで重く背負わなければならないのですか…?」
その問いに最長老の言葉は重かった。
「運命(さだめ)としか言いようがありません。あの方がこの道を選んだその時から、もう決まっていたのかも知れない。今は何とか落ち着いていますが、乗り越えるのは容易なことではないでしょう。
ですが、それを支える存在がいることもまた必然。…それを、『仲間』と言うものだと、私は思います」
「…それは役目、だからですか?」
理解しかねたネイルの質問に、最長老は穏やかに微笑んで、首を振った。
「いいえ、きっともっとずっと深いところで繋がっているもの…とても言葉では言い表せない。その質問には答えはないのかも知れません」
それから最長老はやんわり苦笑して言った。
「それよりネイル、この方のお顔を拭いて差し上げなさい。お前も外で洗っておいで」
「あ、は、はい!」
言われて慌てて外へ駆けだした。
所変わって。
「…なんだとっ!?」
突然響いた大声に、界王星にいた面々は驚いてその声の主を見た。
地球でナッパに殺されたヤムチャ、餃子、天津飯、そしてピッコロだ。
4人は閻魔に申し出て蛇の道を辿り、悟空よりもずっと短時間で界王の所へ辿り着いていた。
そのことを自慢してやろうと界王が悟空とコンタクトを取ったところだったのだが。
「どうしたんですか界王様?」
「ち、ちょっと待て!今確認するから…!」
悟空に言ったのか天津飯達に言ったのか。とにかく界王は場所を移動すると恐る恐るナメック星の方角にアンテナ(触角)を合わせた。
その途端、禍々しい気が星を満たしているのを感じて息を詰まらせた。
「…こ、この気はまさしくフリーザ…!!悟空よ!間違いなくレギもこの星に来ているのだな!?」
「レギ!?見つかったのですか!?」
「ええい!お前達には後で話す!!」
ベジータに連れ去らた話を聞いていたヤムチャ達が一斉に界王に詰め寄った。
だが相手をしていられない界王は、鬱陶しそうに追い払い再び悟空とのコンタクトに集中する。
――『ああ、悟飯達が会ったって言ってたぞ!そのフリーザって奴とは知っているみたいだったって』
「なんと、もう接触しておったか…!よいか悟空よく聞け!ナメック星に着いたらすぐに先に行った息子達とレギを見つけ出して地球に連れ戻すんじゃ!!何があってもフリーザには手を出すな!!よいか!?」
――『え、レギ達を連れ戻すのは分かっけど、なんでだ?フリーザってやつはそんなにやべぇんか?』
「ヤバいなんてもんではない!!はっきり言ってベジータなんぞ足下にも及ばん恐ろしい奴じゃ!!絶対に関わってはならん!特にレギには…!!」
――『レギ……に、何か関係あんのか?』
さすがの悟空も、何度も釘を刺す界王に疑念が生じる。
天下一武道会でレギが倒れた時や、ラディッツが来た時に感じていた、自分の知らないレギがいるような不安を再発させるものだったからだ。しかし、
「…とにかくだ!頼んだぞ!救い出せるのはお主しかおらんのだからな!!」
ーー『でも界王さ…!』
界王は悟空の質問には答えず強引にコンタクトを打ち切り、アンテナを再びナメック星に向けた。
(…よもやこの様な事態になろうとは…レギよ無事であってくれ…!!)
ナメック星があるのは自分が担当する銀河ではなく、界王には本当に何も出来なかった。せめてレギの無事だけでも確認しようと星中を探っていると、
(……こちらです)
(?……おお!お主はナメック星の最長老か!)
最長老の導きで、界王はレギを見つけることができた。
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