第三章 前編 (編集中)
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それは
『変わった』のか
『戻った』のか
どちらが本当の己だと
思ってる?
第六話
≪暗黙の真相≫
「貴様にしてはお粗末なやり方だな」
かけられた声にレギはゆっくりと振り返った。
そこに、自分と同じく空中に佇むベジータがいた。
「あんた程じゃないよ」
「貴様と一緒にいた連中はなんだ?ナメック星人か?」
「そうだよ。襲われた村の子供達だ。放っておいてやれ、あの村のドラゴンボールはもうフリーザの手に渡ったんだからあんたにはなんの価値もないだろ」
「……どうやってポッドから抜け出しやがった?」
「そんなことより、この星のドラゴンボールを狙ってるなら急いだ方がいいと思うけど?フリーザはさっきの村の分でもう五個のボールを手に入れたみたいだし」
レギの指摘にベジータが舌打ちする。
向こうが先に着いている分予想はしていたつもりだったが、それ以上にフリーザ達の行動が早かったのだ。
「ここまで来てあんたがあたしを殺してもなんのメリットもない。あたしは、もう自由に動かさせてもらう」
「…なら、一つだけ答えろ。惑星ベジータ消滅の本当の理由を…!」
その言葉に、レギの目が冷ややかに細められた。
「聞いたところで無意味だ。ただあんたを煽るだけになるかもよ?」
「構わん!話せ、貴様が隠しているもの…全てだ!」
ベジータの追求に、レギはやれやれと面倒臭そうに嘆息を吐いた。
「……いいよ、そんなに聞きたいなら教えてやるよ。あの時、あの星で何が起こっていたのか。……その前に」
レギが、ぴ!と人足し指と親指で作った輪をデコピンの要領で弾くと、ベジータの耳に付けていたスカウターが弾け飛んだ。
「っ何しやがる…!?」
ベジータはなんの前触れもなくスカウターを吹き飛ばされて、付けていた方の耳を押さえながら抗議する。
レギとしては、せっかくムーリがフリーザの手持ちのスカウターを破壊してくれたのにベジータが持っていては意味がなくなってしまう。いずれクリリン達の事が見付かってしまう恐れもあるし、それを防ぐためだけの事だったが、
「それがあるとどこで誰が聞いてるか分かんないからね。ラディッツの時みたいに盗み聞きされるのは気持ち悪いし」
「…っち」
とりあえず適当に理由をでっち上げると納得はしたのか、ベジータは舌打ちをしただけでそれ以上は追求してこなかった。
「あ、ドラゴンボール集めには必要だったかな?」
「なめるなよ。貴様らだって使っているんだろうが、相手の気配を読み取る能力。貴様らに出来てこのオレに出来ない道理はない!さあ、さっさと話せ!!」
「はいはい……」
少し皮肉ってみたら思ってもみない返答が返ってきた。
相手の気配を読み取る能力。ベジータもそれが出きるようになっていたのは予想外だったが、
(……まあ、クリリンが付いてるし、大丈夫だろう…)
そして、レギはゆっくり語り出した。惑星ベジータ消滅の真相を。
レギの口調は、一つの報告書を読み上げているだけのように淡々と、声はどこまでも落ち着いていて一切の感情もない。
だが、先に進むに連れ、ベジータの表情は変わっていった。
最初は何の話をしているのかと思いながら聞いていたが、次第にそれが一つの事柄として繋がっていき、覆される過去と忌まわしい現実にベジータの体は困惑と怒りでわなわなと震えたが、止めようもなく。
レギが話した内容によって、ベジータの中で空白だった部分が、全て埋まったのだ。
パズルのように、欠如していたピースが、全てのつじつまと疑問が、真っ黒な額に収まった。
出来上がったのは、底知れない奈落の闇だ。
「…これで満足か?」
「……き、貴様は…全て知っていながら、ここへ来たというのか…?あ、あの……『サイヤ人狩り』も…」
絞り出した声は震えていたが、ベジータの問いにレギの表情は変わらない。
「知ってるから、ここに来たんだ。礼を言うよベジータ。あたしをここへ連れてきてくれたこと。
ドラゴンボールのことは好きにしたらいい。だがフリーザはあたしが殺る」
そうレギが言った直後、圧倒的な殺気をぶつけられてベジータは全身が強張るのを抑えられなかった。
未だかつて感じたことのない底冷えのする感覚を目の前のレギから突き付けられて、小さく喉を鳴らす。
動揺、あるいは怯え、それらを悟られまいとするので精一杯だった。
「もし邪魔するなら、たとえあんたでも容赦しない」
「っ……!!」
言い返すこともできずに黙ったままのベジータにレギは興味をなくしたように背を向け、そのまま姿を消した。
しばらくの間、ベジータはその場から動くことができなかった。
それでも、息苦しさでそろそろと息を吸って、ようやくいつの間にか呼吸を止めていたことに気付いた。
何度も大きく息を吐き、酸素が行き届いていくらか冷静さを取り戻した頭で先ほどの話を反芻する。
当時伝えられた事を、全て信じていたわけではなかった…。そのはずなのに、それでもレギから語られた真相は想像を絶する内容だった。
聞かなければ良かったと、今更ながら後悔さえしていた。
当時自分もそこにいながら、何一つ気付けなかった。だが、殆どの者がそうだっただろう。フリーザとその直下の配下以外は。
ふと痛みを覚えてずっと握り締めていた手を開くと、手袋越しに血が滲んでいた。
その手をまた力一杯握り締める。
その痛みで身体の震えを紛らわすように。
「…礼を言うだと?……なぜあんな平然としてやがるんだ…!惑星ベジータが消える13年も前から、奴らがそれを計画していた事実を知っていながら…!!」
レギからぶつけられた狂気じみた殺気を思い出して、吐き捨てた。
「イカレてやがるぜ…!!」
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