第三章 前編 (編集中)
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知っているだろう
その力を
怒りを
感情を
感覚を
本当の使い方を
眠っているそれは
解放の時を
最高の瞬間で待ちわびている
第五話
≪一人目≫
──バキッ!!!
何かがドドリアの横っ面を蹴り飛ばし、家へと叩きつけた。
「お前なんか、ボクがやっつけてやる!!!!」
「………………………あ」
思考が停止いていたレギの脳みそが機能を再開して状況を読み込むまでに数秒。
「な、なんだと、てめえ!?」
──ドガッ!!
起き上がろうとしたドドリアは、二人目の攻撃にまた沈められた。
「っドドリア!何をしている…!!」
「…ばっかやろ…!!!」
誰が来て、何をしたのか。確認するまでもない。
いつから、いたのか……。
不意打ちとはいえドドリアが二度も攻撃を受けたことでザーボンがそれに気を取られ、レギに対する拘束が緩み左腕が解放された。
その隙にレギはすぐさま動いた。ザーボンから距離を取り動く左腕をぐるんと振り回す。
輪にした斬気に高速回転させた掌波を合わせ、凝縮させると渦中のど真ん中へ打ち込んだ。
「「!?」」
どばん!!と爆発と共に凄まじい砂煙が舞い上がりその場にいる全員の視界を奪った。
「レ、レギめ、なんのつもりだ!?」
あっという間に視界から消え失せたレギにザーボンは焦る。またも取り逃がしたとあれば今度こそただでは済まされない……!
しかしどれだけ目を凝らしてもその姿を見付けられない。普段はスカウターに頼って相手の位置を掴むのに慣れている分、今はそのスカウターがない上に視界不良の中で目標を見付けるのは困難なものだった。
だがそれは、レギ達には全く関係のないことで。
「くたばれ!!!!!」
──ッドゴキン!!!!
「💀💀💀💀💀💀!!?」
すぐ側で上がったレギの声に反応する暇(イトマ)もなく、股間を襲った強烈な打撃にたまらずザーボンは膝を着く。
抗いようのない激痛に悶絶していれば、追い討ちをかけるようにその横っ面を鋭い打撃が強襲する。それが、レギの渾身の回し蹴りだったと知る由もなく、ザーボンは砂煙の中へ吹き飛ばされた。
「レ「っおいそこのお前!!」…えっうわ!?」
クリリンは微かに聞こえたレギの声を頼りに所在を確認しようと声を上げかけたが、鋭い言葉と共に砂煙の中から何かが投げ込まれてとっさにそれを受け止めた。見ると半泣きになったナメック星人の子供の一人の方で、投げ込まれた方向に意識を向けると、悟飯とレギが一緒にいるのが気配で確認できたが、
「その子達連れて逃げるぞ!!急げ!!!」
「え……」
一瞬、クリリンにはレギが誰に向けてそれを言っているのかが分からずポカンと立ち尽くす。しかし、
「急げっ!!!!」
「!…あ、わ、分かった…!!」
砂煙の中から自分に向かって出てきたレギに見たことのない剣幕で再度怒鳴られて、ようやく自分に向けられているのだと理解することが出来た。
クリリンの返事と同時にレギが猛スピードで飛び出す。見れば、もう一人のナメック星人の子供を抱えた悟飯がレギに背中を捕まえられた状態で半ば強引に飛んでいた。こちらは、ナメック星人の子供を落とさないようにするので精一杯の様子だった。
勢いで飛び出してしまった上に、切羽詰まった状況で自分と同じ様に子供を押し付けられて、体制を立て直す余裕もなかったのだろう。
クリリンもナメック星人の子供を抱えて急いでその後を追った。
「目一杯飛ばせ!!!追い付かれたら死ぬぞ!!!!」
「あ、ああ……!(…あいつ、なんでさっき…)」
力の限り全速力で飛びながら、クリリンはつい先程のレギの言葉を考えていた。
そんな場合じゃないのに、でもどうしても引っ掛かっていた。
ーー『っおいそこのお前!!』ーー
(なんで……関わるなって言ったのに、ついてきたオレ達に怒ってるのか……)
いや、それこそそんな場合じゃないことは、レギ自身が一番分かっているはずだ。
なら何故、名前で呼ばなかったのか……。
………名前を、呼べなかったのか…?
(そうか…!レギ、お前……)
「追うんですよドドリアさん!捕まえなさい!!」
「はっ!」
突然の乱入者により拘束が解けたレギもろともその場から逃げられてしまった現状に、フリーザは直ちにドドリアに後を追わせた。
「……何者でしょうねあの二人は…。レギさんの仲間…の様にも見えませんでしたし……。先ほど偵察に行かせた兵を倒した連中、と見るのが妥当でしょうか……」
考えに耽りながらも、フリーザはこの現状には特に焦りは感じていなかった。
レギがこの場から逃げおおせたところで、この星から出ていくことなどまずあり得ない。
こちらが所持しているドラゴンボールも全て無事であることから、いずれまた必ず自分の前へ現れる。
それまでは、本来の目的を遂行すればいい。
ただそのためには、フリーザとしても今一度体制を建て直す必要があった。
スカウターを全て破壊されてしまった今、これまでのようにナメック星人を探すのは困難だからだ。
多少のイレギュラーがあったとはいえ、ナメック星人ごときにこれほど手こずるとは……。
そう、この状況においてフリーザにとって強いて困ることと言えば、そのくらいのものだった。
「…こんなことになろうとは。少し甘く見ていましたね。予備のスカウターくらい持ってくるんでした……」
すっかり砂煙も収まり視界が戻れば、フリーザの手勢でこの場に残っているのはアプールと、未だ踞ったまま動けないでいるザーボンだけだった。やれやれ、とフリーザは嘆息を吐く。
「レギさんとあの妙な二人組はドドリアさんに任せましたし、我々はドラゴンボール探しの続きをいたしましょうか。ザーボンさん、いつまで寝ているんですか?」
「…は、…も、申し訳…ありません………!!」
「………あなたともあろう者が、まただいぶ手酷くやられましたね……」
よろよろと、頑張って立ち上がったザーボンに、さすがのフリーザも僅かばかりの同情が湧く。
余程恨みのこもった一撃だったのだろう。股間…のものもそうだが、美意識の高い彼の左頬はアザになり、裂傷から出血もしていた。それを手の甲で拭い、付いてきた血を見てザーボンの目の色が変わった。しかし、そんなザーボンの自分に傷を負わせたレギに対する執念は、フリーザにはどうでもいいことだった。
「あなた達は残りのドラゴンボールを探しなさい。ドドリアさんは用を済ませたら勝手に宇宙船に帰ってくるでしょうから、私はこの五個のドラゴンボールを持って先に戻って待っていますからね」
「「は!」」
即座に下された命令にアプールは勿論、ザーボンもすぐに返事をし浮かび上がる。
ザーボンがアプールに指示をし二手に分かれるのを見送ってから、そういえば…とフリーザは今更ながらに思った。
「ベジータは一緒じゃなかったですね。あいつがナメック星へレギさんと一緒に来たと言うことは、私に対する戦力目的だと思っていましたが…まあ、どちらも大した問題ではありませんけど」
ベジータを始末するべく向かったキュイがやられた時、レギの反応は既にスカウターにはなかった。
どこにいたかと思えば、自分達より先回りしてドラゴンボールの破壊を目論んでいた。地球でドラゴンボールの情報を受けた時はベジータも願いを叶えるつもりであったことは明白だったことから、レギの『破壊』というのはベジータの行動には即していない。
(……どうも、あの二人が組んで私を殺しに来た、ということでは無さそうですね……)
あくまでも、ベジータの目的はドラゴンボール。レギはベジータと手を組んだというわけでもなく完全に単独行動。
それでもベジータは一人でも動いて、いずれ自分達のドラゴンボールを狙ってくるはず。
そこまで考えても、フリーザは全く焦ってはいなかった。むしろ、それはそれで手間が省けて好都合だとさえ思っていた。
先にベジータが残りの二個を見付けてから自分達の五個を奪いに来たら、ただ返り討ちにすればいいだけなのだから。
「ほほほ…!永遠の命が私に授かるわけですか」
念力で五個のドラゴンボールを浮かせると、フリーザは宇宙船へ向けて飛び立った。
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