第二章 完結
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「…べ、ベジータ様…!!」
「そいつが目を覚ましたらまずオレに知らせろと言っておいたはずだが?」
「あ、い、いえ!た、たった今目を覚ましたばかりでして!」
「こ、これからお知らせに伺おうとしていたところでして…!!」
「ふん、そうか…」
殺されまいと必死に言い訳をする二人にベジータはつかつかと歩み寄る。
何も言ってこないから余計に恐ろしいのか、見張りの二人は冷や汗を流し震えながらも、ベジータの方を見ないようにするのに必死になっていた。
二人の目の前まで来て、ベジータはようやく口を開いた。
「ここはもういい、失せろ」
「「は、はいっ!!!」」
「それから」
「「ひぃっ!?」」
ようやく解放される、と急いで離れようとしたところへ呼び止められ、見張りは情けない声を上げる。
ゆっくりと振り返って、二人の冷や汗が脂汗に変わった。
そこには『ぶっ殺す』と無言のプレッシャーを撒き散らすベジータがいたからだ。
「勝手なことしやがってたら、オレが貴様等を殺してやるところだった。行け」
「「はひぃぃぃ!!!」」
「っち、使えん奴らめ」
逃げるように立ち去った見張りへ吐き捨てて、ベジータは扉のロックを解除した。
「ずいぶんといい格好だな?」
開いた扉から明かりが入って、眩しさにレギは目をすがめた。
「この星は、アレの趣味の一つか?」
レギの質問に、ベジータは面白そうに口角を吊り上げる。
「アレとは、フリーザのことか?よほど個人的な恨みがあるようだな」
「あれからどれくらい経った?地球は…みんなはどうした!!?」
「皆殺しにしてやった」
「っ!!!」
「…と言いたいところだが、色々邪魔が入ったんでな、一旦立て直すことにした。安心しろ、貴様の大事な大事な『ソンゴクウ』はまだ生きている」
「…なら、なぜあたしをここへ連れてきた?」
「本当のことを聞くためだ」
「あたしからは話すことは何もないと言ったはずだ」
「そう言うと思ったぜ。じっくり聞き出してやりたいが、あまり時間もない」
ベジータが入り口付近のスイッチを操作すると、レギの両手足の拘束具が解除された。
それから、ドサッと何かを投げて寄越す。
「そいつに着替えろ。今の格好のままでは目立ちすぎるからな」
「……これもずいぶん目立つと思うけど…」
「なかなか似合うと思うがな」
皮肉を言って部屋を出て行った。
それは繋ぎになった真っ黒な服。
囚人服だった。
「…まあ、戦闘服着せられるよりマシか」
地球から着たままの胴着に手を掛けて脱ぎ捨てる。
真っ黒な袖に腕を通すと、触れたそばから刺すような冷たさが伝わってきたが、レギは構わず着用を進めた。
着替えて外に出ると、壁に寄りかかり待っていたベジータがレギの格好をひと通り眺めてから付いて来いと目配せする。
さっさと歩き出すその後をついて行きながら、ひとまず疑問を投げた。
「時間がないって言ってたけど、何かあるのか?」
「まぁな、もう一度地球へ行く前に寄る所がある。貴様も一緒に来い」
「それにあたしが素直に従うと思う?あと今更だけど、手錠もちゃんとかけなくていいのか?」
先を行く背中に向けてわざと手首を合わせて振って見せるが、ベジータはそれを肩越しにチラリと見ただけで足は止めなかった。
「これは命令だ。貴様の命はオレが握っていることを忘れるな。なんなら、それの使い方も覚えているなら自分でやったらいいだろう」
「……いつでもあたしを殺せるってか」
「そういうことだ」
囚人服の手首と足首部分にあるプレートと同じ色の輪っかを見せられて、レギは大人しく腕を下ろした。
皮肉ったつもりだが、逆に皮肉で返された。
ベジータがあえてレギへ手錠をかけないのは、この星で『裏切り者』であるレギを拘束せずに連れていることで、他の連中へ自分の有利さを誇示するのと、本当に拘束する必要もないという絶対の自信からだ。
レギとしてはそんなことはどうでも良かったが、こんな見ず知らずの星に未練も何もない。
ひと暴れして逃げることも考えたが、無駄な体力は使わないに越したことはなかった。
ただでさえ動きにくい服装で手錠をかけられては、いざという時にそれこそ余計な枷になりかねない。
現状を鑑みて、レギは黙って従うことにした。
「……それに、」
ベジータは足は止めずに思い出したように続けた。
「行き先を聞けば貴様も行く気になるはずだ」
「……行き先?」
「地球での会話を、奴にも聞かれていた。当然ドラゴンボールのこともだ。しかも、オレ達がこの星に戻った時にはすでに奴は『お出かけ』になった後だった。
奴が向かうとなれば、一つしかないだろう?」
思わせぶりなベジータの説明に、レギは思わず立ち止まった。
もう、考える必要はなかった。
「……ナメック星か…!!」
それは思いもよらぬ形で、レギの予定が急速に早まった瞬間だった。
ナメック星。
そこに、奴がいる。
しかし同じ頃、地球からもブルマ、クリリン、そして悟飯がナメック星へ向かっていることを、レギは知らない。
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