第二章 (編集中)
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「よくここまで頑張ったね、悟飯」
さっきまでの緊迫した状況からの切り替わりに付いていけず悟飯はぽかんとするばかりだったが、名前を呼ばれてさらに困惑する。
「…え、どうしてボクの名前を……」
「あたしだよ、覚えてる?」
狐面がそのお面を取ると、悟飯は『あ!』と声を上げた。
「お、おねぇちゃん!?」
「その呼び方はなんか照れるなぁ」
「ど、どうして…?じゃあピッコロさんは!?」
「全然元気だよ。おーいピッコロー、もう出てきてもいいよー」
呼びかけられて少し離れた岩影からピッコロが出てきた。
新しく出したのかターバンも着用していて、全くピンピンしている。
「…むちゃくちゃしやがるな」
「人のこと言えるか」
「あの……一体どういうことなの…?」
時間は少し戻って。
「ぃよう」
「……………………」
「ちょっと、何硬直してんの」
早朝、突然のレギの訪問に、ピッコロは唖然とした。
いきなり来たこと…も、そうだが、レギの出で立ちが突っ込みどころ満載だった。
「…お前、尻尾…」
「神様に生やしてもらったんだ、変かな?」
しゅるりと腰に巻いていた尻尾をほどく。
服装もがらりと変わって、黄色地に赤い縁取りの簡素な服に、髪も少年のように短く切っていた。
そして、
「…その面はなんだ?」
「顔隠すためにさ。ちょっと手伝って欲しいんだ、確認するために。今の悟飯の実力と覚悟を」
「覚悟?そんなものは必要ない。あいつは戦力だ。使えるようにしごいてやれば良い」
その一方的なやり方に、レギはこめかみを引く付かせながらも反論する。
「あのね、そうもいかないでしょうが。悟飯はまだ子供なんだ。実力に精神が伴わなければ実戦で必ず……………あ、ていうか、」
言葉を切り、レギはピッコロを恨めしそうに睨んだ。
「お前、なに幼児誘拐してるんだよ」
「なんの事だ」
「この状況だよ!」
すっとぼけるというより、本当に自覚のない様子のピッコロにレギは思わず突っ込んでいた。
時間を、もう少し戻して。
神殿でレギが髪を切った後の事。
神が「……そう言えば」と口を開いた。
「あの孫の息子だが、あの後ピッコロが連れて去って修行を付けているぞ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・な ん で す と ?」
目を点にしてレギが固まる。
聞いた言葉が、頭に浸透してこない。
「……か、神様……今、なんて?」
「ピッコロが、あの後孫の息子を連れ去り、修行を付けている、と言ったのだ」
「……………な…なんでそんなことに……‼」
神が、一つ一つ言い聞かせるように言い直したのに、ようやく言葉の意味が理解できて、レギは崩れ落ちた。
「…チチぃ…………ごめん……‼」
あんな状態で親と離ればなれにされた挙げ句、半年間も大魔王などと一緒に修行なんて……!と、頭を抱えるレギを見下ろしながら、
「……見てみるか?」
「お願いします‼」
神のその提案に、もはやレギはすがり付いていた。
そして神の肩に手を……と思ったがレギの身長では届かず神の手を取った。
そうして神の目を遠し悟飯の修行の様子を見ることになったが、そこで見た悟飯は半年前の面影などどこにもなく、実に逞しく荒野で生き延びていた。
「………………」
「……あいつのやり方はともかく、孫の息子は見込みはあると思うぞ」
何も言わないレギに代わって神が言う。
その言葉の通り、悟飯のその成長ぶりはレギにも意外で、暫し言葉をなくして立ち尽くした。
「レギ、私も孫の息子の戦力は今度の戦いに必要だと思う。現に、あのラディッツとの戦いでもあの子供がいなければ、恐らくお前達は負けていただろう」
「……………分かってる」
沈黙の後、何かを決心したようにレギは目を開けた。
「行かなきゃ。ポポ起きてるかな?髪少し直してもらいたいんだけど」
「ああ、そろそろ朝食の準備をする頃だろう」
「そっか。ありがとう」
いつかのように神に礼を言ってレギは神殿へと足を向けた。
レギが何を思ったか、神には概ね分かっていたが、あえて口にはしなかった。
今の自分にはもう『神』という存在であること以外に出来ることはない。
立場上、下界でのことにこれ以上関与も出来ない。
もはや、ドラゴンボールを維持するために存在する他になく……。
「……ドラゴンボールか、因果なものだ」
一人ごちて、神は再び下界へ目をやった。
(悟飯……)
神殿の中をポポの所へ歩きながら、レギは先ほど神の目を通して見た悟飯の姿を思い出していた。
擦り傷だらけになりながら、荒野のど真ん中でぐうぐう寝こける様子は、相当きつい日々を送ってきたであろうことは想像に固くなかった。
だいぶ荒療治ではあるが……、
(今回の戦いでどうにかやつらを退いたとしても、)
サイヤ人という血を引いているからには、悟空の所へラディッツが来た様に、今後も何もないとは断言できない。
そう、『もしも』の時のために。
(せめて、あの子が自分で自分の身を守れる様には……)
そのために、自分がやるべきことを成すために、レギは動いた。
「乱暴してごめんね悟飯。どうしても今のお前の覚悟が知りたかったんだ」
「…ボクの、覚悟…」
「そう。あたしはさっき、本気でお前を殺すつもりで殺気を向けた、でもお前はそれを受け止めた。
だから今日からあたしも一緒に修行するよ!」
「本当!?」
「…初耳だな。それから貴様、その尻尾はどうするつもりだ?」
喜びに顔を輝かせた悟飯に反して、ピッコロは不満そうに言ってレギの尻尾に目をやる。
地球の月は以前悟飯が大猿になった時にピッコロが破壊してしまっていたが、掴まれれば力が弱まるという弱点は変わらない。
レギがそれを克服しているかは知らないが、ピッコロには尻尾はあってもあまりいい気のするものでもなかった。
そしてそれはレギも同じで、
「ああこれ、いらないからもう」
──ブチッ
「「!!」」
顔色一つ変えずに引きちぎってしまった。元々すぐに取るつもりだったから、神には予め簡単に取れるようにとお願いしていたのだ。
とはいえ、尻尾を持った経験のある悟飯はお尻を押さえて、ちょっと涙目になった。
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