第二章 (編集中)
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『おかえり』だとか
『ただいま』だとか
言えることが、普通で
普通なことが、日常で
当たり前にある
そんな幸せを
ずっと……
第十二話
≪お願い≫
界王星から帰ると、地球はまだ夜明け前だった。
神の神殿の縁に立って下界を見下ろすと、雲の合間に見える世界は、光も少なく深い闇に包まれていた。
それでも、思う。
「…やっぱ、きれいな星だね」
日の出にもまだ時間はあって、神殿でも辺りは仄暗い。
しんと静まり返ったその場所に、静かな声が響いた。
「お戻りに、なられましたか…」
「神様」
レギが神の方へ向き直るといきなり膝を折り深々と頭(コウベ)を垂れた。
その予想通りの態様にレギの顔が思いっきりしかめられたのにも気付かずに神は恭しく口を開く。
「これまでの数々のご無礼、どうかお許し下さ」
「頭が低い!!」
「…はい?」
意味が分からずこてんと首を傾げる神に、レギはまくし立てた。
「頭上げろって言ってんの!神様がぽんぽん頭下げるなって前にも言ったじゃん!それからその態度も気持ち悪い!」
「い、いやしかし…」
「やめろっつったらやめろ」
「はひ!!」
それはもう条件反射と言っていいほど、神はシャキーン!!と立ち上がった。
神のこの様子から自分が何を求められているのか概ね予想が出来てしまって、レギはダメ元で言ってみる。
「どーせ神様も戦いに出るなとか言うんでしょ」
「………」
図星だったのか、神は黙り込んだ。
その沈黙に、やっぱりな、とレギは盛大にため息を吐いた。
………まったく疲れる。界王神の生まれ変わりだからとこの扱い。なら、これまで自分の身に起きたことは何だったのか……。
それを思うと一層げんなりした。
――『死ぬんじゃねぇぞ』――
(…少なくとも、あの人達はただ純粋にそう望んでくれていたはずだ。
こんなのは、何か間違ってる。
界王様は分かってくれたのに(不服そうだったけども)なんでこの神はこうも頭が固いかなぁ~…)
心の中でぶつくさ文句を垂れていると、押し黙っていた神がようよう口を開いた。
「……レ…レギ…よ、お前は分かっておるのか…?ドラゴンボールは、私の力を超える願いは叶えられない。つまり、もし今回の戦いでお前が命を落とせば、二度と生き返ることは出来ないということだ…!!」
ドラゴンボールは本来、作った者の力を超える願いは叶えられない。
普通の人間や動物等の命ならいざ知らず、界王神の魂は神の力を遥かに凌駕している。
レギの魂がそれなら、悟空や他の地球人のように生き返らせることは出来ない。
正(マサ)しく、一度きりの人生なのだ。
だからこそ、レギはキッパリと言った。
「そんなの当たり前じゃん」
「な…」
レギの言葉にあんぐり口を開けて硬直してしまった神に構わず続ける。
「ドラゴンボールは、特別なだけ。死んじゃいけない魂なんて、命の大切さはみんな同じなんだよ。あたしも神様も、ここにいるみんなも、この星の人達も、みんなね」
「……」
レギの言葉をただただ聞いているだけの神に、レギは宣戦布告のように断言する。
「あたしは戦う。例え生き返れなくったって、その時が来るまでは、絶対死なない」
「レギ…」
「クリリン達には、このこと黙っておいてね。変に気を遣わせたくない。それだけで、命取りになるから」
それから、レギはおもむろに右手に斬気をまとった。
今も後ろに長く三つ編みにしていた髪を持つと、
──ザン…!
「!……」
躊躇いなく三つ編みを根本から切り落とす。
ぱさり、と短くなった髪が定位置に落ちた。
「…結構重いんだな…」
切り落とした髪を見つめながら、レギがぽそりと言った。
「…これでいいかレギ?」
「うん、こんな感じでいいよ」
鏡を見て、レギが満足げに頷くと、ポポは手際よく片付けを始める。
三つ編みを根元からぶった切っただけでざんばらな髪をポポに整えてもらったところだったのだ。
「ごめんねこんな時間にこんなこと頼んで」
「構わない。もうすぐ夜明け、ポポ、朝ご飯の支度するところだった」
「ポポのご飯美味しいもんな~、いいな~みんな」
「レギ、食べていかないか」
「行かなきゃいけないところがあるから。みんなが起きる前に行くよ」
「相変わらず、微妙に忙しい」
「そうだね」
笑いながらポポの所を後にする。
外へ出ると、もう空が白み始めていた。
「…レギ」
「…あれ、クリリン?」
今にも飛び立とうとした時、静かに呼ぶ声がして振り返ると、いつの間にそこにいたのかクリリンが立っていた。
「何だよ、もう行っちゃうのか?せっかくみんなで宿題の成果見せてやろうと思ってたのによ」
「参考になった?」
「あぁ、かなりな」
ニッと笑ったクリリンは、ふとあることに気付いて目を丸くした。
「…あれ?お前髪切っちゃったのか!?」
「うん」
「なんでだよ勿体ねーなー!」
「戦闘には邪魔だったんだよ。…まぁ、さすがにハゲは無理だけど……」
「オレは剃ってんだよ!」
「冗談冗談」
ケタケタと全く普段通りに楽しそうに笑うレギを、クリリンは内心少し複雑な思いで見つめた。
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