第二章 (編集中)
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縛鎖で縛り付けて尚、界王と出来るだけ距離を取るレギ。
身の危険から腕を抱いて、もはや界王への警戒心はMAXだった。
「はぁっ、はぁっ…な、なんだっつーの…!」
「…す、すまんかったレギ」
「正気に戻った?界王様」
「わ、わしとしたことがちと取り乱してしまって…、というかこれを外してくれんか!?」
「嫌。今界王様凄く信用できない」
「い、いや、訳ならあるんじゃ!!レギよ、お前さん体に痣のようなものがあるじゃろう!腹から背中にかけて、まるで何かの攻撃を受けたみたいな!」
「…………あ…ある、けど…」
答えながら、無意識のうちにその部分に手を当てがう。
縛鎖が消えて自由になった界王は、今度こそ落ち着いてレギに言った。
「その痣を、見せてくれ」
「………」
レギは言われた通りシャツを脱いでみせる。ハーフトップだけの上半身に丁度指摘された部分が露わになっていた。
左の脇腹。他の所より若干浅黒くなっているその痣に、そっと界王が手を置いた。
ただの痣に……とレギにはただただなんの事なのか分からない。
「………んー、別にこれ、生まれつきあったやつなんだけど…」
「そこが問題なんじゃ。この痣は、お前の前世の魂を持った方が受けたもの…。
本来生命は生まれる時、獣は獣、人は人として、その器にあった魂を受け世に誕生する…。じゃがお前は、そうではなかった……」
手を離した界王は確信を得たように言った。
「レギよ、落ち着いて聞きなさい。お前は器は人でありながら、受けた魂は神の、それもそんじょそこらの星の神ではない…。西の、界王神、…ウェイゼル様の生まれ変わりなのじゃ…!!」
「ふーん」
「……………………」
「で?」
こともなげに脱いだ服を着直しながら先を促すレギに、界王は固まってしまった。
「…ウェイゼル様」
「うん、知らない」
「知………らないとはなんじゃあああああっ!!!!?」
地獄まで届きそうな界王の雄叫びが、小さな界王星を激震させた。
「レギ!そこに直れい!!」
「はい…」
言われるがまま、芝生にちょんと正座をするレギに、どこから持ってきたのかホワイトボードと指し棒で界王の宇宙講義が始まった。
「よいか!この世界は大宇宙を東西南北四つに分けてそれぞれの銀河をわしら界王が管理し成り立っておる!そして、それらを統治しておられるのが大界王様じゃ!」
「うんうん」
眉一つ動かさず界王の話を聞くレギ。適当に頷いているように見えるが、知っていて先を促すようで界王は話を続けた。
「そして、大界王様よりも更に上に立つお方こそ、界王神様なんじゃ」
「…さっき西の界王神って言ったよね」
「そうじゃ、界王神様も東西南北それぞれにおられ、ご自身の銀河を見守っておられた。
西の界王神ウェイゼル様もその一人、それがお前じゃ。これがどういう意味か分かるじゃろう?」
「分かりませーん」
「空気を読めーーっ!!」
まるで聞く気のないレギの即答に、指し棒をボキ折りながら再び界王の雄叫びが響き渡った。
「界王神様だぞ!!お前の魂、いや、存在は、もはや地球という一つの星に収まるものではない!本来転生を成さない界王神様の魂が再び世に現れた……。
異例なことじゃ、二度とこんな奇跡は起きん!もう、わしが何を言いたいか、分かっとるじゃろう!?」
「……戦いに参加するな?」
「そうじゃ!!」
「界王様、あたしがそれに従うと思う?」
「ぐっ……」
それこそ、界王にも分かっていたことだった。
このレギが、たとえ自分が土下座をして頼んだって、言うことを聞くわけがないのだ。
言葉に詰まって厳しい顔をする界王に、レギは少し困ったように肩をすくめて見せた。
「…心配してくれるのはありがたいけどさ、でもそれは、ウェイゼルって人の魂を通してのあたしでしょ?それはちょっと寂しいかな。
生まれ変わりとか、神様の魂だからとか関係ない。
あたしはあたしだ」
怒りは含まれてはいなかったが、絶対に曲げない強い意志を称えて、レギはきっぱりと言い切った。
身も心も、他でもない、自分なのだと。
「…………………そう、じゃな…、今生きておるのはお前だ。わしらの都合を押し付けて…すまんかった……」
長い沈黙の末、うなだれながらも理解を示した界王に、レギは穏やかに明るく笑った。
「ううん、分かってくれたら良いよ」
(………しかし、何か引っかかる…)
レギの笑顔を見ながら、界王は正体不明のわだかまりを覚えていた。
(…わしは…、いやわしらは、何か重大なことを、見落としておるような…)
しかし、それが何なのかはっきりとしないまま無情にも時間は流れ。
あっという間に半年の月日が経った。
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