第二章 (編集中)
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「……ここが」
レギはぐるりと見渡して辺りを確認する。
淀んだ空、どこまでも続く雲海、その上を魂の行列が進む。
行き着く先は、雲の上にどっしり構えた城の中。
全ての死者が、行き着くところ。
死んだらみんな、ここに来る。
誰一人として、例外はない。
「あの世、か…」
第十話
≪レギとあの世と≫
「…あ、おーいおーい!!」
「ん?」
下から呼ばれて見下ろせば、魂の列を監視している鬼が拡声器を構えてぶんぶん手を振っていた。
「そんな所で何やってるかオニ!列を乱さないでオニー!ちゃんと順番に並んで下さいオニー!」
「オニー…」
語尾が『オニ』の鬼の所へレギは降り立った。
「あたしまだ死んでないの」
「へ?死んでない!?なぜ生きてる者がここにいるオニ?」
「ちょっと野暮用で、閻魔様に会いたいんだけどお願いできるかな?」
「閻魔大王様は大変ご多忙のため順番待ちになるオニよ」
『…よい、その者を通せ』
唐突に、重く腹に響く声が辺りに響いた。
「え、閻魔大王様!?」
『わしの前に連れて来い』
「わ、分かりましたオニ…」
閻魔の指示とはいえ、死者でもないレギを順番も関係なく連れて行くことにかなり腑に落ちない鬼は、レギへ疑いの眼差しを向けつつ閻魔城に案内してくれた。
閻魔大王が死者に判決を下す大きな部屋で、見上げるような大男がこれまた大きな机にどっしりと構えていた。
「初めまして閻魔様」
「うむ、レギだったな。さっき地球の神と一緒に孫悟空という男が来たが」
「あ、何か無礼なことしましたか?」
「いや、神の申し出だっが界王様の元へ行くと。……お前もその為に来たのだろう?」
「ええ、話が早くて助かります」
笑顔を崩さずレギが答えれば、閻魔は何かの書類を机の上でトントンと揃えて整えながら業務の一環のように話した。
「まぁ止めはせん。言ったところでムダだろうしな。何かあっても自己責任だ。ああそれと、堅苦しい敬語も必要ない。お前達は特別だ」
「本当?よかった。実は敬語あんまり得意じゃないんだよね、助かった」
『お前達』、その複数形の意味は深くは聞かずに、レギはにへらっと笑った。
それから、少し声の調子を落とす。
もう一つの目的のためだ。
「…一つ、聞きたいこともあって来たんだけど」
「なんだ?」
笑顔は引っ込めて、レギは閻魔を真っ直ぐ見上げて続けた。
「40年くらい前、ジープとミラという男女が、ここへ来なかったかな?あたしの、両親なんだけど……」
「40年…ああ、確かに来たぞ。サイヤ人とツフル人の夫婦だったからよく覚えとるよ」
「そっか…ちゃんと来れてたなら、良かった」
ほっとしたように微笑んだレギを見て、閻魔が言った。
「会うか?」
しかし、レギは首を横に振る。
「いいえ、あたしにはまだやることがあるから、まだ会うわけにはいかない。それに…」
と、その時だった。
にわかに奥の方が騒がしくなり、一人の鬼が血相を変えて転がり込んできた。
「た、大変オニー!!」
「どうした!?」
「さっきの死人が…!!」
『さっきの死人』。その姿を見た瞬間、レギの顔が、『ウザい』『めんどい』『くそったれ』を混ぜこぜしたような……まぁ、なんとも形容しがたい顔になった。
そして、取り押さえようとする大勢の鬼達を引きずりながら、『モジャモジャ』が現れた。
「離せ!地獄になど誰が行くか!!」
「……るぁでぃっつぅぅぅ…」(巻き舌)
「ちくしょう!!カカロットめ、自分ごとこのオレを殺しやがって…!!カカロットはどこだ⁉ここにいるんだろう‼」
「ちょいとそこのおにーさん」
「あ!?…あべしっ!?」
とんとんと肩を叩かれ振り返ったラディッツの顔面に、レギの容赦ない拳がめり込んだ。
鬼達はいち早く危険に気付きラディッツから離れていて無事だったが、殴られた本人は結構離れた壁まで面白いくらいに吹っ飛んだ。
「いってぇ!!誰だいきなり!?」
「あたしだバカ」
正面に仁王立ちで宣言すれば、ラディッツは最初に再会した時のようにギョッと目を見張った。
「…レ、レギ!?なんでここに!?」
「喧しい‼くそったれのくそ兄貴。やることやってんだ。黙って地獄に、落ちろ!!!」
──バカンッ
「へ?」
「なっ!?」
レギが親指を一気に下へ振り下ろし言い放つと同時に、ラディッツの足元の床が観音開きに開いた。
それは地獄へ繋がる奈落の穴だ。
「うぉああああ……っ!!?」
閻魔や鬼達が驚愕に固まる中、扉は静かに閉じて元の床に戻った。
その後を見つめながら、レギが独り言のように呟いた。
「地獄のみんなによろしく。…いつかあたしも行くからさ…」
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