第二章 (編集中)
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タイムリミット
来たる日に向けて
各々に課せられた重圧の課題
背負うものはそれぞれに
運命を受け入れろ
…さあ、覚悟はいいか?
第九話
≪宿題≫
「悟空しっかりしろよ!」
手を取って必死に呼びかけるクリリンに、悟空が弱々しく笑った。
「ク、クリリン…死ぬってのは、結構…嫌なもんだな…」
「まぁな、でも安心しろ。すぐに生き返らせてやるからな」
「…へへ、たの…む…」
悟空が息を引き取った直後、悟空の体が忽然と消えた。
「あ!」
「消えおった!!」
「神の仕業だな」
勘のいいピッコロはすぐに見抜いていた。
「奴め、孫悟空を使ってまた下らんことを考えていやがるな」
「神様が…」
一方ブルマは、
「…レギ、こっち向いて」
「……」
自分達が来てから避けるように離れていたレギと対面していた。
言われたとおりブルマの方を向いたレギの苦しそうな顔を見て、ブルマの右手が振り上げられる。
「ブルマさ…っ」
──ぎゅむっ。
「Σひぎょ!?」
「……へ?」
殴られる!!と肝を冷やしたクリリン達の予想を裏切り、ブルマの右手はレギの頬をガッチリ摘んでいた。
そのレギの口から奇声が飛び出したのも構わずもう片方の頬もつまみ上げこれでもかと引っ張った。
「ひ…ひだい(痛い)んでふけど…!!」
「なんで私が怒ってるか分かる?」
「……」
頬を離されて、レギはちょっと赤くなったほっぺたをさすりながらブルマを見た。
「バカレギ」
「ごめん…」
「分かれば良いわよ」
そんなレギとブルマのやり取りを聞きながら、ピッコロは戦いのために脱ぎ捨てていたマントを着けながら、
(…奴は明らかに変化が生じている…五年前にはあんなものはなかった…)
考えにふけりながら、さっきの戦いでのことを思い出す。
一瞬だけ現した。レギのあの、触れば全てを切り裂くような殺気……。
思い出して尚も冷や汗が滲む。
あのまま、レギが正気に戻らなければどうなっていたのか……。
「ところでさぁ、孫君のアニキってやつ、なんでいる場所が簡単に分かったのかしら?」
ブルマのそんな疑問が聞こえてきてピッコロの意識は現実に引き戻された。
「奴が耳に付けている機械だ。それで相手の場所を知ることが出来るらしい」
「……スカウターって言って、あれで仲間同士で通信もできるんだよ」
ピッコロの説明にレギも補足する。
あの星連中の御用達アイテムで、それによって今回、遠く離れた他の生き残りのサイヤ人に目を付けられてしまったわけだが…。
「あ、あれかな?クリリン君取ってよ」
「え⁉……い、生き返ったりしませんよね…」
まさかのご指名にクリリンは恐る恐るラディッツの死体に近付きスカウターを取った。
ブルマに渡せば、すぐに慣れた手付きでいじり始めて、いくらも見ない内に耳に当てる部分の外装をパカッと躊躇無く外す。
「ふーん、ここがこうなって……うん、持って帰って改造したら何とかなりそうだわ」
「……マジっすかブルマさん…………」
「凄いんですねブルマさんて…」
ちょっと見ただけであっさり言ってのけたブルマにレギですら軽く引いていて、クリリンはただただ呆れるばかりだった。
「……どちらにしてもここにいても始まらんだろう」
亀仙人の言葉に、ブルマも頷く。
「そうね、一旦亀ハウスに戻りましょう。レギあんたも…」
「あたしは」
ブルマの言葉を遮るように、レギは口を開いた。その目線がラディッツの方へ向く。
「あいつを片付けなきゃ。このままにしておけないし」
「あ……」
その事には、誰も反論も口出しも出来なかった。恐らくこの場においてレギにしか出来ないであろうし、レギ自身も誰かに任せるつもりもなかった。
その代わりのように、レギは目線をラディッツから今は亀仙人に抱かれている悟飯へと移して、
「悪いんだけど、悟飯のことお願いできるかな。お母さんの所に帰して上げて」
「あ………ええ、分かったわ」
ブルマの返事に軽く微笑んでから、レギはラディッツの体へ軽く触れると、シュンッという空気を割く様な音を残して消えてしまった。
「…え⁉き、消えた⁉」
「……こ、これも神様の仕業なのか……⁉」
「……ブ、ブルマさん、レギはどこに……」
「…私が知るわけないでしょ……」
驚くブルマ達を尻目に、ピッコロはレギが消えた後をじっと見つめていた。
(……奴が消えたことに神は関与していない)
神の気配は今地球にない。レギをどうこう出来るわけがないのだ。
(………まあいい、今はそんなことよりも…)
考えていても答えは出ない。
レギへの疑問は一旦中断して、ピッコロは思考を次の段階へと移していた。
「ピッコロよ、お主はどうするつもり…」
「…ぬあああっ!!」
「…ひぇ…トカゲの尻尾みたい…」
亀仙人の問いかけを遮って、ピッコロは戦いで失っていた腕を再生させた。いつか大会でも見たものだが、いつみても気持ちのいいものではない。
ピッコロは再生した腕を確かめるように動かしながら、口を開いた。
「貴様等はドラゴンボールを探せ。神の奴とて命を甦らせるほどの力はない。
だが、その孫悟空の息子はオレが預かる」
「「「ええ!!?」」」
突然の申し出……と言うにはあまりにも高圧的な発言は、当然ブルマ達を驚愕させた。
そんな一同の反応など意に介さず、ピッコロは今しがた自分の中で決めた予定を淡々と告げる。
「その悟飯とかいうガキは訓練次第で強力な戦力になる。一年後にやって来る二人のサイヤ人を迎え撃つには、このオレが鍛えてやるしかなかろう」
有無を言わせず亀仙人の腕から悟飯を取ると荷物の様に脇に抱えた。
「そ、それはちょっとまずいんじゃないかしら…?だ、だってほら!レ、レギにもお母さんの所に帰してくれって頼まれたし…!」
「そ、そうだよ、まずチチさんに聞いてからじゃないと」
「そんなことをしている時間はない。ガタガタ抜かすと、貴様等を殺してでも連れて行くぞ!」
(((こいつなら、やりかねない……‼)))
三人はほぼ同時に思っていた。
こうなっては誰も逆らえず、
勝手に決めて悟飯をかっさらって行ったピッコロをただ見送ることしか出来ず、ブルマはレギとチチに心の中で手を合わせて謝罪するしかなかった。
(……ごめんね、レギ……チチさん……。私達じゃ、あれは止められないわ…!)
せめて、ピッコロが人並みに加減が出来ることを祈るしかないが、その望みは限りなく薄かった。
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