「レギーー!!!」

容赦のないエネルギー弾を浴びて声もなく吹き飛ばされたレギ。
それを見て悟空とピッコロが慌ててラディッツに飛びかかるも、二人がかりの攻撃も全て受け止められ、二人は息を合わせラディッツの後ろへ回り込む。
だが、

「…後ろ!」

確実に背後を取ったのにラディッツはそれを見もせず二人を後方へ蹴り飛ばしたのだった。
二人は瞬時に地面を蹴りもう一度飛びかかろうとするがラディッツは空へとそれをかわす。
おもむろに、両腕を掲げた。

「避けろ二人とも!!」

最初の攻撃から半身を起こしたレギの警告と同時に、光が撃ち落とされた。

「やべえ!!」

「がっ!!」

強大なエネルギー弾は二人を掠めて落ち、地震の様に大地を揺らした。

「地球を壊す気かあのヤロウ…!」

地形が変わってしまったのを見てレギは吐き出した。
力の差が、有りすぎる。

「二人とも無事か!?」

「オラはなんとか…ピッコロ!?」

「ぐぅ…!大丈夫だ。片腕でもなんとか闘える」

見ればさっきのが避けきれなかったのか、ピッコロは片腕を失っていた。
天下一武道会の時のように再生もできるが、それだと体力を消耗してしまう。
そんな状態で闘うには分が悪すぎるというピッコロの判断に、だけど戦況は明らかに不利だった。

「いよいよ貴様達の死が見えてきたな!」

「見えてたまるかそんなもん」

レギはすかさず突っ込んで、意識を別な方に向けていた。

――ピッコロ!

「!?」

ピッコロの頭に突然声が響いた。

――あ、成功した?

(貴様心話が…!)

――まぁ細かいことは後で。
とりあえず悟空と作戦を立てろ。このままじゃ三人ともやられる。あたしが時間を稼ぐから。何か策があってここに来たんでしょ?

(だが…!)

――あんまり保つ自信ないから、早めに頼むよ!

言うと、レギはもうラディッツに向かって駆け出していた。

「レギ!?」

「待て孫悟空!奴は時間稼ぎだ!」

「何だって!?」

「貴様言っていただろう。奴の尻尾が弱点だと。掴むにはその隙を作らねばならん」

「だからレギが…」

「そうだ。それで貴様、新しい技とかないのか?」

「新しい技?…はは、すまねえな。はっきり言ってねえよ」

「ちっ、手を抜きやがって。俺は真面目に修行して新開発したってのによ」

「片腕でもできるんか?」

「それは問題ない。だがこの技は気を溜めるのにやたら時間がかかる。貴様その間あいつと一緒に時間を稼げ」

「ああ分かった。けどおめえ、いつの間にレギとそんな話を?」

「奴から心話で持ちかけてきたんだ。全く、妙な奴だぜ」

「レギが…」

レギがそんなことができるなんて、悟空は今まで聞いたことはなかった。





「ラディッツ!!!」

レギの両腕を後ろに引いた構えに、何をしようとしているのかを読んだラディッツはそれを鼻で笑った。

「掌波か、そんなものは効かんぞ」

完全になめられている。そのことに、レギは口の端を吊り上げ勢いよく両腕を突き出した。

「そうやって舐めてっと、痛い目見るぞ!!!」

「何っ!?」

──ズバババ!!

無数の空気の刃がラディッツを飲み込んだ。

「空気に戦闘力なんてないからね。スカウターじゃ拾えないだろ」

「なんだっ、今のは…!?」

「掌波同士をぶつけて真空を撃ち出す。かまいたちって知ってる?」

「猪口才なまねを!!」

今のでラディッツには多少の傷は負わせたものの、やはり大したダメージにはならない。

(頼むよ二人とも)

レギは祈るように心の中で呟いて再びラディッツに向かっていった。






「レギ…」

離れた所で繰り広げられる攻防を気にかける悟空を呆れた目でピッコロは見た。

「そんなに大事か、あいつが」

「あたり前だ!」

「ふん、残念だな。この技は貴様とあいつをぶっ殺す為のとっておきだったんだがな」

「逆に助けることになっちまうのかな?」

「へっ、もし奴を倒すことができたら、次は貴様等の番だ」

「ははは」

「笑ってる場合じゃなかろう」

そう言いながらも、ピッコロも薄い笑みを浮かべていた。
この奇妙な共闘が、わずかな望みを生み出している。
もしかしたら、本当に勝てるかも知れない、と。




．