別々の心
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――…この辺りのはずじゃ。
ツクヨミの案内でたどり着いたのは、海の側にある草原だった。
「…た、確かにこの海は、わしが電子ジャーを沈めた所ですじゃ…!」
「では、手分けして探しましょう!」
天津飯達がそれぞれに散って探そうとした時だった。
――……ない。
「え…?」
「…な、ないとは」
――死体が…確かに、ここにあったはずなんじゃ。だが、跡形もなくなっておる。
「だ、誰かが見つけて埋葬してくれてたりとか…」
しかし、餃子の意見に亀仙人が首を振った。
「この辺りは近くに街もないし、人など滅多に来んだろう」
雨風に晒されても骨くらいは残っているはず。それが跡形もなくなっているとなれば、獣に食われたか…。
しかし、さすがにそうとは口には出せずみんな黙り込んでしまった。
ツクヨミがふと、天を仰いだ。
――…心当たりなら、一つだけあるな。
「それはまことですかツクヨミ様!?」
――ああ、じゃがお主等はもう来なくてもよい。仲間の所へ戻り大人しく身を隠しておれ。
ツクヨミは穏やかに言い、その瞳が亀仙人の心を捕らえた。
――〔亀よ、そのままで聞け。〕
「…!」
亀仙人の頭の中にのツクヨミ声が直接響く。
――〔魔封波が行使された場におったなら、知っておろう、あの術のすさまじさを。〕
(は、はい…)
――〔お祖父様でさえ命を落とされた。ましてや、今の老いぼれのお主が使えば命を落とす以前に成功する可能性はまずない。
あの術は、何があっても絶対に使うな。世に残してはならんのじゃ。もうこれ以上余計な犠牲者を出してはならん。お主の命もじゃ。〕
(…分かって…おります。)
亀仙人はツクヨミの強い視線から逃れるように顔を背けた。
それを見て、ツクヨミは語調を緩めて続けた。
――〔…お主を責めているのではない。ただわしは、もう誰も死なせたくはないし、悲しませたくはのだ…。〕
「…ツクヨミ様…」
再び見たツクヨミの顔は、今にも泣き出しそうな悲しい目をしていた。
.