◆出発◆
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「それにしてもな、こんなちんたらやってないで、ガバッと国王んとこの水源乗っ取っちまえばいいのに」
「我慢しろよ。もっともっと人間が増えてからでも遅くないさ。じゃないとあいつら絶滅しちまうから」
ぼやくケンタウロスにベルゼブブは続ける。
「人間がいなくなってみろ?つまらないぞ~、オレ達魔物はさ…」
その時、一件の人間の家にさしかかった。
人間の子供が羨ましそうにジッとこちらを見ていた。
ベルゼブブは水の入った箱を一つ子供の前に置いてやった。
「水だ。やるよ」
「あ…ありがとう」
一瞬怯えた子供は水をくれたことに嬉しそうに笑った。
それを見てケンタウロスの厳つい顔がますますしかめられたのだった。
「か~!!世も末だなあ~!悪魔の王子ともあろうお方が、人間に水をくれてやるなんて」
「う、うるせぇっ!成長したらいじめてやるんだよっ!」
「オレ達魔物ががいいことしたらおしまいだよ…」
焦ったように憎まれ口を叩くベルゼブブを見てミルナギはクスクスと笑うのだった。
やがて見えてくる、魔物達の家。
岩を切り崩し穴をあけて作られた魔物の根城だ。
「ただいまー!!」
「水持ってきたぞー!!!」
ミルナギとベルゼブブが言えば,家のあちこちから出迎えに出てくる魔物達。
「ごくろうごくろう」
労いの言葉でやってきたのは最高齢のシーフだ。
さっそくペットボトルに手を伸ばしながら留守の間の報告をする。
「王子、ミルナギ様、スライムのやつが死にました…」
「「え?」」
二人は突然の訃報にきょとんとした。
「うっかり日差しの中で眠ってしまったようですな」
「私があげた日傘は!?」
「日の傾きに気付かなかったようですな」
「「………」」
スライム、どうか安らかに…。
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