その昔、この大地がまだ、緑あふれる豊かな世界だった頃、人も動物も魔物も、互いの距離を保ちながら共存していた頃があった。
しかし、その平和は、一匹の魔物によって突如として壊された。
太陽の化身と呼ばれていた魔獣、サラマンダーが人間の世界へ猛威をふるった。
建物も人も、何もかもがその炎に焼き尽くされ、一夜にして国一つが滅びた大事件。
それは時代を経ても尚、人々の間で忌まわしく悲惨な出来事だったと語り継がれていく。

『太陽の発狂』。

誰もが昔話やおとぎ話で聞いている現在、その出来事を知らない人間はいない。


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