◆砂の世界◆
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「あら!健気ねぃvV血も涙もない太陽の化身が」
「うっせえ。黙れ。それ以上喋ったらお前ら一族二度と地上に出られなくしてやるぞ」
氷のような声と目で言ったベルゼブブ。
普通の魔物であれば、その目で睨まれただけで縮み上がっていただろう。
運転席ではシーフが、自分が言われたわけでもないのに青ざめ、冷や汗を流していた。
だが、このゲジ竜は違った。というより、この土地では、それが全く役に立たないのだった。
城からずいぶん離れたこの土地は大魔王の管轄外。
人間を襲おうが同朋を襲おうがお咎めなし。いわば魔物の無法地帯だ。
そんな土地で、もっとも力が大きかったゲジ竜が、自分達の縄張りとして勝手に住み着いているに過ぎなかったのだ。
だからこそ、ゲジ竜はますます一行をゴミでも見るような目で見下した。
「あっはっはっはっは!ムリムリ!!今だって何も出来ずにそこで見てるだけじゃないのさ!!」
「…そうとも限らんぞ?」
「…へ?」
「「え?」」
意外に口を挟んだのは、いつの間にか前に出ていたラオだった。
「何やってんだおっさん!?」
「わざわざ食われに来たのかーしらー!!」
「こうなってはやむをえんから…な!!」
──ズボッ!!
「あ!」
車と荷台を繋いでいた棒を一気に引き抜いた。
荷台は引っ張られる力を失い失速していく。
「おっさん!」
「…ラオ!!」
ギリギリで車に飛び乗ったラオをベルゼブブとミルナギが手を伸ばし引き上げた。
ほぼ同時に、失速した荷台とゲジ竜が衝突。
「んぎゃ!?なーんなのよぅこれ!?」
視界を遮られ、更に崩れた荷台で悪くなった足場にもつれて一瞬ゲジ竜が止まった。
「今だ!飛ばせシーフ!!!!」
荷台がなくなった分軽くなった車はぐんぐん加速して、アッという間にゲジ竜を引き離した。
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