◆砂の世界◆
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それからしばらく走っていくと、シーフがそわそわしだした。
「…お、王子、わしにもちょっと代わってくだされ」
「え~~、なんだよ反対してたじゃんか!」
「ですから、ちょっとだけ!」
「やだね」
「あっ!ドケチですぞ!王子様っ!!」
「さんざんやるなって言ってたくせに、お前こそ優柔不断だぞ!!」
「老い先短い老人にせめてもの自由を…!!」
~そんなこんなで~
「うほほほほ!!これは痛快!!」
ハンドルを握るシーフは、さっきとはまるで別人のようにはしゃいでいた。
「飛ばしすぎだぞこら」
ベルゼブブの呆れた呆れきった声も全く聞いていない。
「もういいだろ?代われよシーフ」
「いやいや、その前も王子の方がずっと長かったですぞ」
「うそつけ!」
「いいえ!大魔王様に誓ってうそではありません!」
「あ!パパを出すのはズルいぞ!!」
このやりとりが、後でシーフに激しく後悔をさせることになる…とは、今は誰も知らないのだった。
(シーフってば大人気ないなぁ~)
屋根の上でミルナギは苦笑した。
「…ん?」
ふと外へ目を向けた時に、その妙な物を見つけたのだ。
「ねえ!なんか変な穴があるよ!」
「穴?ほんとだ…」
ベルゼブブとシーフも外へ目をやり。
ラオの表情が一変した。
「まずいぞっ、飛ばせー!!!!」
「「へ?」」
──ボウン!!!
「きゃっ!?」
突然車の後ろの地面が爆発。
土煙が舞い上がり、巨大な影が現れた。
ムカデのような体躯、凶悪そうな顔に鋭い牙がぞろりと並ぶ。
車の屋根にいるミルナギが見上げても、その全体を見ることは出来なかった。
「でっか!?」
「ゲジ竜だー!!食われるぞ!逃げろー!!!」
「竜!?」
ラオの叫びにミルナギが反応した。
同じ竜ならもしかしたら…、とわずかな可能性に賭け、ゲジ竜に向き合った。
『ねえ!私の言葉が分かるでしょ!?』
それは竜族の言葉だった。
「ミルナギ…!?」
聞いたことのない言葉にラオは屋根を見上げたが、ミルナギの影だけが見えた。
『お願い見逃して!!私達はここを通るだけだから!!』
「そうはいかなーい!!」
「「「!?」」」
思いがけず、ゲジ竜が口を利いたのだ。
.