◆砂の世界◆
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「もっと飛ばせシーフ追いつかれるぞ!!!」
「目一杯やってますよー!!!!」
怒鳴るベルゼブブに、シーフも叫び返す。
アクセルはこの上ないくらいべったりと踏み込まれているが、猛スピードで爆走しているはずの車の後ろからは、更に凄まじい砂煙を上げて追ってくるものがいた。
ミルナギは、振り落とされないように車の屋根にしがみつき、後方へ向かって叫んでいた。
それは、ラオの聞いたことのない言葉だった。
『お願い見逃して!!私達はここを通るだけだから!!』
時間は少し遡る。
幻の泉を求めて始まった旅は極めて順調だった。
「おっさん、旅にはどれぐらい時間がかかる予定なんだ?」
「ラオと呼んでくれ。…そうだな、順調に行ったとして5日間ぐらいか」
運転をしているラオは正面を向いたまま答えた。
ミルナギが屋根に頬杖を着いてポツリと呟いた。
「5日、かぁ…」
そんなに長く、家を離れたことはなかった。
それから、しばらく走った頃、ベルゼブブがポツリと漏らした。
「退屈だな…ちょっと運転させてくれよ」
「おっ、およしなさい王子!人間の物になぞけがらわしい!!」
「いいじゃんかシーフ。お前固いんだよ」
迷惑そうに言われてシーフはそれ以上何も言えなくなった。
「…え…と、ギアってやつは…ここだな?」
「うむ」
「で?」
「ブレーキを離してゆっくり右のアクセルを踏むんだ」
一つ一つラオに教えてもらうベルゼブブを、ミルナギも屋根から顔を覗かせ興味津々に見ていた。
──ブオォォ…ッ
「おっおおお!!」
「まぁ、オートマチックだから簡単なもんだ」
動き出した車にベルゼブブは少年のように歓声を上げた。
「なるべくデコボコを避けて走るんだ」
「うはははは!!おもしれーっ!!」
「飛ばしすぎてはいけない。オーバーヒートしてしまうぞ」
「おーばーひーと?」
聞いたことのない言葉にミルナギがオウム返しに聞いた。
「エンジンが熱を持ちすぎてしまうことだ。そうなったらしばらく動けなくなってしまうからな」
「へー」
隣で聞いていたベルゼブブが関心の声を漏らした。
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