◆出発◆
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「…行っちゃったなぁ」
「本当に大丈夫かな?ミーちゃん…」
不安を拭えないまま、魔物達は土煙を上げながら遠ざかる車を、見えなくなるまで見送っていた。
大王の間。
「…しかし驚いたね。あなた様があの子の同行を許すなんて」
「…うむ」
みんなからは『ウィッチおばぁ』などと呼ばれ親しまれている老婆が大王の下を訪れていた。
柔和な笑みを浮かべ、言葉には、大王を責めるようなものはない。
むしろ、嬉しそうだった。
「あれから800年余りかい…、こうなったのも、運命(さだめ)なのかね」
「いずれは向き合わなければならないことだ。いつまでも目を背けてはいられない。
…時が、来たのだ…」
目を閉じて、大王はその脳裏に、旅立った子供達を思い浮かべているようだった。
そんな大王を見上げて、ふとウィッチおばぁが口を開く。
「時に大王様、一つよろしいかね?」
その頃、
──ゴゴゴゴゴ…ッ
「うわわわっ!?」
「な、なんだ!?」
魔物の家、その周辺が激しく揺れていた。
ミルナギ達の大事な門出の日に突然の地震。
不吉さを感じさせる大地震に魔物達はもう右往左往の大騒ぎ。
所戻って、再び大王の間。
外より揺れが激しく、天井から砂埃が振り落ちていた。
この地震の原因…。
大王を見上げ、ウィッチおばぁはピシャリと言った。
「大王、その貧乏揺すりやめなされ」
「……………うむ」
目の前で激しく揺すられる大王の足。
子供達の安否を気にするあまり足が勝手にやってしまう貧乏揺すりも、その巨体故に大地を揺るがす大地震を招いていた。
「はぁ…やれやれ」
そんなに心配なら止めりゃあ良かったのに…。と、呆れてため息を吐くウィッチおばぁであった。
旅は始まった。
この世界の未来を
運命を
変える。
太陽が見守る。
砂漠の果て。
そこに何が待ち受けているのか…。
太陽にも、知る由はない。
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