アラバスタ編 第一話
ワンピースアラバスタ編
オカマの弟子アラバスタで暗躍する組織、その一員でありながら恩師の教育で仁義を貫く。オカマの弟子でも身も心も女の子。師匠一筋。愛情一発。変化(ヘンゲ)は出来ても心は変わらない。砂漠を飛び出し大海原へ⁉
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ここに、
誰も知らない戦いがあった。
己の運命に背く一人の女性と、その全てを見てきた男の、
決別の闘いが…。
「…いーったい、ドゥーいうつもりなのよぅトリニカ…いや、ミス・ハロウィン…!?」
吹き荒れた砂風に、マントと白鳥が揺れた。
反乱軍が通り過ぎた後の荒野で対峙しているのは、バロックワークスのオフィサーエージェント。
Mr.2ボン・クレーとそのパートナー、Mr.2の弟子トリニカ。
コードネームは、ミス・ハロウィン。
件の国の王女ビビは、戦争を止めるためアルバーナヘ。
本来なら今この場で抹殺し、任務完了となるはずだった…。
Mr.2ボン・クレーはあえてコードネームで弟子を呼んだ。
己のやっていることが、どういうことなのかを問うために。
「…あんた、自分が何をやっているのか、わーかってんのう!?」
「そのつもりです師匠」
一切の迷いもなく答えたトリニカに、ボン・クレーの怒りが爆発した。
「ジョーーッッッダンじゃないわよーう!!ここで王女様を始末しなきゃ任務は失敗!アチシ達だってヤバいことになんのよーう!?」
「ですが…」
「ですがもナニワなーいのよーう!!今すぐッ、王女を追うのよぅ!!まだ間に合うわ!!」
「嫌です!」
「ッアンタいい加減に…!!」
「師匠私は!!!…っ」
トリニカは声を張り上げた。
ボン・クレーの剣幕に負けないように。
本当は、とてつもなく怖い。
今まで、こんな風に逆らったことなんてなかった。
それでも、震える体を無理やり押さえ込む。
…今回は…今だけはどうしても、
「…私は、もう誰かが苦しんでいるところなんて…人が、誰かに虐げられるところなんて、見たくありません!!!」
「っ……トリニカ…」
「身勝手なのは承知しています。けじめを、つけさせて下さい」
「…!」
手の甲を相手へ突き出す構え。それを見て、ボン・クレーの目の色が変わった。
自分が教えたトリニカの、それは戦闘態勢だった。
「私があなたをここで食い止めます」
ボン・クレー直伝のオカマ・ケンポー。
しかし、師匠と弟子では力の差は分かり切っていた。
「邪魔だというなら、私など斬って捨てて下さっても構いません」
「…それがあんたの覚悟、けじめってわけねぃ…。
上等じゃこらああああ!!!」
ボン・クレーも構え、二人は同時に地面を蹴る。
お互いに、能力は一切無し。
蜃気楼が立ち上る熱い砂漠の大地に、二羽の白鳥が舞った。
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