「わ、私なんか食べても美味しくないですよ！」
「いや、食べるとは言ってないンだけど。これも科学の探求……！」
「こいつは実験体ではない……」

実験道具を持ったメガネの男と、3段重ねの紙袋を被った長身の男とその後ろに隠れる包帯だらけの少女が睨み合いをしている。
回転扉になっている鏡の向こう側で繰り広げられていた奇妙な光景に有栖院御国は目を凝らす。

「何してんだ……」

あの時、偶々見つけてしまった死にかけの少女に、ジェジェは珍しく自ら足を止めた。自分の置かれている状況に涙することもなく真っ直ぐな瞳でただその時を待つ少女が気に入ったらしく、あろうことかジェジェは彼女を自分の下位吸血鬼にしてしまった。
置いていく訳にもいかず少女を店へ連れ帰り2日ほど、様子を見に来て今に至る。

「……御国。」
「へ？」
「あ、みくみく。」


最初にこちらに気づいたのはジェジェだった。そしてそれに続いて少女とヨハンがこちらを向いた。
さて、何から話そうか。