決戦! 帝国学園・前編!!
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「そっか……。でも雷門が勝てば、二人は一緒に暮らせないんだ」
「――待ちなさいよ!」
突如聞こえてきた声に、瑞貴と円堂はコッソリと様子を見る。そこには鬼道と春奈がいた。
「アップもせず、こんな所で何をしていたのって聞いてるのよ!」
「春奈ちゃん……」
「鬼道……」
「お前には関係ない」
鬼道はそう言って春奈の横を通り過ぎようとするが――。
「あなたは……あなたは鬼道家に行ってから変わった。私たちが別々の家に引き取られてから、一切私と連絡を取ろうとしなかった!」
「…………」
鬼道は立ち止まったまま何も言わない。春奈は悲しげな表情を浮かべる。
「どうして? 悪いことを企んでいるから? それとも……私が邪魔だから?」
「!」
その言葉に鬼道は焦ったように初めて振り返った。春奈の瞳には涙が溜まっていた。
「私が邪魔なんでしょ!? だから連絡もくれなくて……! あなたはもう優しかったあのお兄ちゃんじゃない――他人よ!」
「っ……!」
春奈はそう言って走り去ってしまい、残った鬼道はキツく歯を噛みしめて拳を握り、そのまま歩いて行った。瑞貴と円堂も、二人に気づかれないように逆の道からその場を去る。
わかっていたとはいえ目の当たりにするとキツくなる。あのとき春奈は一度も鬼道を『お兄ちゃん』と呼ばなかったのだ。雷門に来たときは呼んでいたのに。
「……辛いね。鬼道くん、春奈ちゃんを引き取ろうと思ってがんばっているのに……。春奈ちゃんにはそれが伝わってないなんて」
「うん……」
すると瑞貴が急に立ち止まると、円堂もつられて足を止める。
「でも、鬼道くんは試合をわざと負けてほしいなんて望んでないと思う」
「わかってる……わかってるよ。俺だって勝ちたいしさ」
「うん。さっ、戻ってアップを――あれ? 守、あそこ」
瑞貴がふと振り向くと円堂も目を凝らす。そこには響木と鬼瓦がいた。
「やはり影山は何か仕掛けていると?」
「「!」」
響木の言葉に円堂は驚いた顔をし、原作を知っている瑞貴は顔をしかめて、二人は顔を見合わす。
「今も部下が調べているが、まだ何も……」
「手伝おう」
「いや面倒ごとは俺が引き受ける。瑞貴嬢ちゃんたちは任せた。いい試合にしろよ」
「感謝する」
鬼瓦は響木の肩に手を置き響木は礼を言って、二人はそのまま去って行った。
「――わかった!」
「守!?」
突然走り出した円堂に瑞貴は慌てて追いかけて円堂の隣に並ぶ。
「わかったんだ! 鬼道が探していたものが!」
「鬼瓦さんと同じ、スタジアムに仕掛けられていた罠でしょ」
「えっ!?」
「鬼道くんの行動と、監督と鬼瓦さんの話の内容を聞いてたらわかるよ」
「……っ! やっぱり、お前には敵わないや」
瑞貴と円堂は一度顔を見合わせて笑う。向かった先は観客席だ。
観客席に行くとすでに大勢の人で満員になっていた。瑞貴と円堂は注意しながら通路を歩く。
「どう?」
「怪しい物は何も……。それにしても、こんなにお客さんが多くちゃ……」
続いて円堂は手擦りをつかんでグラウンドを見ると、瑞貴も隣に立つ。
「鬼道くん。私たちのために、ずっと前から調べてくれていたんだ」
「ああ」
「本当なら放っておけば自分たちに有利なのに……鬼道くんは正義感が強いね」
「そうだな。卑怯な真似をして、音無を引き取りたくないんだ。正々堂々と、自分の力で勝ちとりたいんだ。そのために死ぬほどがんばってる……だからあいつのプレーはスゴいんだ!」
「鬼道くんのこと、よくわかってるんだね。――でも、戦える?」
急に重みが帯びた声に円堂は振り向くと、瑞貴は真剣な顔をしていた。
「私はこうなることを予測していたから覚悟はできている。正々堂々と戦って、雷門中が勝ったら、鬼道くんと春奈ちゃんは――」
「それでもだ」
円堂はそう言って再びグラウンドへ目を向けて手擦りを強く握る。
「気持ちには気持ちで答えなきゃ。それが本気での相手への礼儀……。俺も正々堂々、本気で戦う!」
「……わかった。私も約束したんだ。――全力で戦おうって」
「鬼道とか?」
「ううん。友達と」
意味あり気に笑う瑞貴に円堂は首を傾げるばかりだった。瑞貴は踵を返し、少し振り向いて笑う。
「――待ちなさいよ!」
突如聞こえてきた声に、瑞貴と円堂はコッソリと様子を見る。そこには鬼道と春奈がいた。
「アップもせず、こんな所で何をしていたのって聞いてるのよ!」
「春奈ちゃん……」
「鬼道……」
「お前には関係ない」
鬼道はそう言って春奈の横を通り過ぎようとするが――。
「あなたは……あなたは鬼道家に行ってから変わった。私たちが別々の家に引き取られてから、一切私と連絡を取ろうとしなかった!」
「…………」
鬼道は立ち止まったまま何も言わない。春奈は悲しげな表情を浮かべる。
「どうして? 悪いことを企んでいるから? それとも……私が邪魔だから?」
「!」
その言葉に鬼道は焦ったように初めて振り返った。春奈の瞳には涙が溜まっていた。
「私が邪魔なんでしょ!? だから連絡もくれなくて……! あなたはもう優しかったあのお兄ちゃんじゃない――他人よ!」
「っ……!」
春奈はそう言って走り去ってしまい、残った鬼道はキツく歯を噛みしめて拳を握り、そのまま歩いて行った。瑞貴と円堂も、二人に気づかれないように逆の道からその場を去る。
わかっていたとはいえ目の当たりにするとキツくなる。あのとき春奈は一度も鬼道を『お兄ちゃん』と呼ばなかったのだ。雷門に来たときは呼んでいたのに。
「……辛いね。鬼道くん、春奈ちゃんを引き取ろうと思ってがんばっているのに……。春奈ちゃんにはそれが伝わってないなんて」
「うん……」
すると瑞貴が急に立ち止まると、円堂もつられて足を止める。
「でも、鬼道くんは試合をわざと負けてほしいなんて望んでないと思う」
「わかってる……わかってるよ。俺だって勝ちたいしさ」
「うん。さっ、戻ってアップを――あれ? 守、あそこ」
瑞貴がふと振り向くと円堂も目を凝らす。そこには響木と鬼瓦がいた。
「やはり影山は何か仕掛けていると?」
「「!」」
響木の言葉に円堂は驚いた顔をし、原作を知っている瑞貴は顔をしかめて、二人は顔を見合わす。
「今も部下が調べているが、まだ何も……」
「手伝おう」
「いや面倒ごとは俺が引き受ける。瑞貴嬢ちゃんたちは任せた。いい試合にしろよ」
「感謝する」
鬼瓦は響木の肩に手を置き響木は礼を言って、二人はそのまま去って行った。
「――わかった!」
「守!?」
突然走り出した円堂に瑞貴は慌てて追いかけて円堂の隣に並ぶ。
「わかったんだ! 鬼道が探していたものが!」
「鬼瓦さんと同じ、スタジアムに仕掛けられていた罠でしょ」
「えっ!?」
「鬼道くんの行動と、監督と鬼瓦さんの話の内容を聞いてたらわかるよ」
「……っ! やっぱり、お前には敵わないや」
瑞貴と円堂は一度顔を見合わせて笑う。向かった先は観客席だ。
観客席に行くとすでに大勢の人で満員になっていた。瑞貴と円堂は注意しながら通路を歩く。
「どう?」
「怪しい物は何も……。それにしても、こんなにお客さんが多くちゃ……」
続いて円堂は手擦りをつかんでグラウンドを見ると、瑞貴も隣に立つ。
「鬼道くん。私たちのために、ずっと前から調べてくれていたんだ」
「ああ」
「本当なら放っておけば自分たちに有利なのに……鬼道くんは正義感が強いね」
「そうだな。卑怯な真似をして、音無を引き取りたくないんだ。正々堂々と、自分の力で勝ちとりたいんだ。そのために死ぬほどがんばってる……だからあいつのプレーはスゴいんだ!」
「鬼道くんのこと、よくわかってるんだね。――でも、戦える?」
急に重みが帯びた声に円堂は振り向くと、瑞貴は真剣な顔をしていた。
「私はこうなることを予測していたから覚悟はできている。正々堂々と戦って、雷門中が勝ったら、鬼道くんと春奈ちゃんは――」
「それでもだ」
円堂はそう言って再びグラウンドへ目を向けて手擦りを強く握る。
「気持ちには気持ちで答えなきゃ。それが本気での相手への礼儀……。俺も正々堂々、本気で戦う!」
「……わかった。私も約束したんだ。――全力で戦おうって」
「鬼道とか?」
「ううん。友達と」
意味あり気に笑う瑞貴に円堂は首を傾げるばかりだった。瑞貴は踵を返し、少し振り向いて笑う。