決戦! 帝国学園・前編!!
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「それと――必ず君を私の元に連れて行こう」
影山はそう言って去って行った。誰もいなくなった廊下で瑞貴は腰を床に落とした。本当に一気に力が抜けたような感覚が陥ったのだ。
(どうして……!?)
自分が異世界から来たことを知っているのは、この世界に送り込んだ神の神崎シン、監督の響木、刑事の鬼瓦源五郎だけだ。
☆☆☆☆☆
雷門、帝国の両チームはそれぞれグラウンドでウォーミングアップをする。
「遅いぞ瑞貴」
「ごめんごめん。少し迷っちゃって」
風丸に怒られた瑞貴はチラリと帝国学園サッカー部を見ると、源田幸次郎が寺門に引き止められていた。源田は仲間の鬼道が一人で危険なことをしていることを心配しているのだ。それは他の仲間も同じだろう。
「いくぞー円堂ー!」
聞こえた声に瑞貴は振り向くと、染岡と円堂がシュート練習をしていた。しかし円堂は様子がおかしく、その間に染岡のシュートがあっさり入った。
「おい! ボーっとしてちゃ練習にならなねぇだろ!」
「悪い。俺、ちょっと顔洗ってくる!」
「なんだあいつ?」
「「…………」」
そう言って出て行く円堂を目で追いながら染岡は呟いた。豪炎寺も秋も円堂の様子がおかしいことに気づいている。
ここで秋が円堂のあとを追って事情を聞きに行くから、瑞貴は構わず周りを警戒しながらもアップを続けた。
「瑞貴ちゃん」
突然声をかけてきた秋に瑞貴は驚きつつ振り替える。
「どうしたの?」
「円堂くんの様子を見に行ってくれる?」
「えっ、でもそれは――」
秋ちゃんがやるべきじゃ、と言おうとすると手にタオルが乗せられた。
「私より、瑞貴ちゃんが行ったほうがいいと思う。だって二人は――相棒なんでしょ?」
その言葉に瑞貴は目を見開いた。
「ど、どうしてそれを……?」
「土門くんから教えてもらったの。それに――もともと二人には何か強い絆があるって思ったから」
秋はいつもの笑顔で自分を見ている。瑞貴は一つ目を閉じて笑った。
「本当にいいの? 好きな男の子を励まして好感度を上げるチャンスじゃん」
瑞貴はイタズラっぽく笑ってそういうと、秋はキョトンとしたあと、ニッコリと満面の笑みを浮かべる。
「どっちかっていうと、円堂くんより瑞貴ちゃんのほうが大好き」
女の子同士というのはわかっているが、こうも直球で言われるとさすがの瑞貴も照れてしまう。それを誤魔化すかのように円堂の元へ向かうべく走り出した。
――手洗い場で円堂を見つけると、円堂は顔を洗い終えてもずっと手を水に付けていた。
「守」
「ん? 瑞貴……」
瑞貴は黙ったままで円堂にタオルを差し出すと、円堂は微笑を浮かべる。
「ああ。サンキュ」
「何かあった?」
「えっ? いや、何も」
何も話さないままタオルで顔を拭く円堂に、瑞貴は腰に手を当てて溜息をついた。
「顔を見ればわかるよ。相棒の私にも話せない? サッカーなら一人で守りきれないときは二人で、でしょ?」
「……瑞貴には敵わないや」
(本当は秋ちゃんが行くべきだったんだけどね)
少し複雑な心のまま瑞貴だった。
円堂は瑞貴に影山から訊いた鬼道と春奈の関係を話し出す。もちろんこれまで二人の葛藤を案じていた瑞貴は……
「知ってたよ」
「えっ!?」
「春奈ちゃんから聞いた。でも、鬼道くんがそんな思いで戦っていることは知らなかった」
それも本当は知っていたのだが、鬼道に直接話されたわけではないので敢えてそう言う。
影山はそう言って去って行った。誰もいなくなった廊下で瑞貴は腰を床に落とした。本当に一気に力が抜けたような感覚が陥ったのだ。
(どうして……!?)
自分が異世界から来たことを知っているのは、この世界に送り込んだ神の神崎シン、監督の響木、刑事の鬼瓦源五郎だけだ。
☆☆☆☆☆
雷門、帝国の両チームはそれぞれグラウンドでウォーミングアップをする。
「遅いぞ瑞貴」
「ごめんごめん。少し迷っちゃって」
風丸に怒られた瑞貴はチラリと帝国学園サッカー部を見ると、源田幸次郎が寺門に引き止められていた。源田は仲間の鬼道が一人で危険なことをしていることを心配しているのだ。それは他の仲間も同じだろう。
「いくぞー円堂ー!」
聞こえた声に瑞貴は振り向くと、染岡と円堂がシュート練習をしていた。しかし円堂は様子がおかしく、その間に染岡のシュートがあっさり入った。
「おい! ボーっとしてちゃ練習にならなねぇだろ!」
「悪い。俺、ちょっと顔洗ってくる!」
「なんだあいつ?」
「「…………」」
そう言って出て行く円堂を目で追いながら染岡は呟いた。豪炎寺も秋も円堂の様子がおかしいことに気づいている。
ここで秋が円堂のあとを追って事情を聞きに行くから、瑞貴は構わず周りを警戒しながらもアップを続けた。
「瑞貴ちゃん」
突然声をかけてきた秋に瑞貴は驚きつつ振り替える。
「どうしたの?」
「円堂くんの様子を見に行ってくれる?」
「えっ、でもそれは――」
秋ちゃんがやるべきじゃ、と言おうとすると手にタオルが乗せられた。
「私より、瑞貴ちゃんが行ったほうがいいと思う。だって二人は――相棒なんでしょ?」
その言葉に瑞貴は目を見開いた。
「ど、どうしてそれを……?」
「土門くんから教えてもらったの。それに――もともと二人には何か強い絆があるって思ったから」
秋はいつもの笑顔で自分を見ている。瑞貴は一つ目を閉じて笑った。
「本当にいいの? 好きな男の子を励まして好感度を上げるチャンスじゃん」
瑞貴はイタズラっぽく笑ってそういうと、秋はキョトンとしたあと、ニッコリと満面の笑みを浮かべる。
「どっちかっていうと、円堂くんより瑞貴ちゃんのほうが大好き」
女の子同士というのはわかっているが、こうも直球で言われるとさすがの瑞貴も照れてしまう。それを誤魔化すかのように円堂の元へ向かうべく走り出した。
――手洗い場で円堂を見つけると、円堂は顔を洗い終えてもずっと手を水に付けていた。
「守」
「ん? 瑞貴……」
瑞貴は黙ったままで円堂にタオルを差し出すと、円堂は微笑を浮かべる。
「ああ。サンキュ」
「何かあった?」
「えっ? いや、何も」
何も話さないままタオルで顔を拭く円堂に、瑞貴は腰に手を当てて溜息をついた。
「顔を見ればわかるよ。相棒の私にも話せない? サッカーなら一人で守りきれないときは二人で、でしょ?」
「……瑞貴には敵わないや」
(本当は秋ちゃんが行くべきだったんだけどね)
少し複雑な心のまま瑞貴だった。
円堂は瑞貴に影山から訊いた鬼道と春奈の関係を話し出す。もちろんこれまで二人の葛藤を案じていた瑞貴は……
「知ってたよ」
「えっ!?」
「春奈ちゃんから聞いた。でも、鬼道くんがそんな思いで戦っていることは知らなかった」
それも本当は知っていたのだが、鬼道に直接話されたわけではないので敢えてそう言う。