決戦! 帝国学園・前編!!
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響木は影山と接触するために総帥室にいた。
「俺は戻って来た。決着をつけるため、あいつらの未来を守るために」
「傭兵は死なず、ただ去るのみ。だが去らねばどうなる」
「脅しか。今の俺にはもちろん、あいつらにも通用はしない」
響木と影山はお互いのサングラス越しに相手を睨むと、緊迫した空気が漂っている。
「……惨めに負けることになるぞ」
影山の言葉に響木は何も言わずに部屋を出ると、影山はそれを見届けた。
「ただし、試合ができればの話だがな」
影山は画面に映る一人の少女に目を移す。雷門サッカー部の女子選手・井上瑞貴――。
先日たまたま街へ出たとき、ひったくりに向かって強烈なシュートを放つスピード、コントロール、パワー。全てに可能性を秘めていた。影山はその才能に惹かれた。だからあとをついていき、雷雷軒での会話を聞いたときは驚いた。
「異世界の少女……」
根も葉もないほどの話だろうが、影山には興味深かった。初めて自分を見たとき、どことなく悲しげな瞳をしていた。
それから興味を持ち始めたので調べると、神崎家に引き取られる前の消息が一切不明だった。それなら異世界から来たということは充分ありうる。
「必ず、手に入れる」
影山は口の端をつり上げて面白げに笑っていた。
――雷門中サッカー部は全員ユニフォームに着替える。もちろん瑞貴たちは一緒に着替えるわけにはいかないのでシャワールームで着替えることになった。扉があるので開けない限り着替えを見られることはない。
「みんな~もういいかな?」
「お~。もう開けて大丈夫だぞ」
半田真一の声が聞こえたので瑞貴は扉を開ける。着替え終わった部員を見渡していると、一人足りないことに気づく。
「一郎太、守は?」
「あいつならトイレだよ。さっ、俺たちはグラウンドへ行こう」
風丸一郎太を始め、雷門中サッカー部はグラウンドへ向かって走って行く。しかし瑞貴は円堂のことが気がかりだった。原作が間違っていなければ、彼は影山に会うからだ。
「ごめん。私もトイレ!」
「あっ、おい!」
「瑞貴!?」
瑞貴は風丸や半田が止めるまもなく瑞貴は部屋から出て行った。
間に合うかわからないが、円堂が気がかりのままでいると試合にも支障ができる。鬼道は本気の雷門と戦いたいのだ。そんな状態で鬼道が勝っても嬉しくない。むしろチームメイトにも失礼だ。
廊下の角を曲がろうとすると、目の前の誰かにぶつかった。
「あっ、ごめんなさ――」
「雷門中サッカー部、副キャプテンの井上瑞貴さんだね」
「!」
その声に瑞貴は体を硬直させた。顔を上げるとそこには影山がいた。
「先ほど君たちのキャプテンの円堂守くんと会ったよ」
すでに円堂と接触していたらしい。瑞貴は内心苦虫を噛み潰したような感覚になる。
「この試合で――」
「春奈ちゃんと鬼道くんの関係なら知っています。でも私は本気で戦います。鬼道くんなら大丈夫と信じていますから」
瑞貴は間髪入れずに話す。影山はサングラス越しで表情はわからないが、次いでフッと笑う。
「井上瑞貴。どうだ? 私に付いてくる気はないか」
「なっ!」
瑞貴は驚きのあまり目を見開いたが、首を横に振る。
「私は雷門中サッカー部の一員ですから。チームを抜けるようなことはしません。では、私はこれで。失礼します」
瑞貴はグラウンドへ向かうべく影山を通り過ぎようとすると――。
「――君が異世界の者だということを知らないのにか?」
ドクン……ッ!
一気に冷や汗が出てきた瑞貴はすぐに止まって振り向くと、影山はニヤリと笑っていた。
「二つほど忠告をしてあげよう」
「……なんですか」
「フィールドには入らないほうがいい。怪我をしたくなければな」
瑞貴は目を見開いた。彼は雷門を潰すことが目的なら、雷門である自分に向けてそういうのはおかしいからだ。