決戦! 帝国学園・前編!!
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響木正剛が監督になり、雷門中サッカー部はついにフットボールフロンティア地区大会決勝戦を迎え入れる。決勝の舞台となる帝国学園まで電車で向かっていた。
「いよいよ地区大会決勝だ! あの帝国とまた戦えるんだ! 特訓の成果、見せてやろうぜ!」
「「「「「オ――ッ!!」」」」」
円堂守のかけ声に、部員全員はそれに答えるように声を上げる。
「みんな張り切ってる……決勝だもんね~。私もがんばらなきゃ」
椅子越しに木野秋がうしろを向いて部員を見渡す。彼女もマネージャーの仕事をしっかりやらねば、と張り切っていた。
「守! 椅子に立ち上がるのは行儀よくない!」
「ウッ、ごめん……」
(((((母親だ……)))))
井上瑞貴が円堂に叱る光景はもうすっかり親子だ。
「雷雷軒のオヤジさん――じゃなかった、響木監督!」
円堂に呼ばれて響木は立ち上がる。
「俺からはたった一つ。――全てを出し切るんだ。後悔しないために!」
「「「「「はい!!」」」」」
響木の言葉に選手とマネージャーは同時に返事をする。そして響木は静かに座った。
彼にとっては気がかりなのは、帝国学園総帥・影山零治だ。彼がどんな手を使ってくるかわからない。それに四十年前の悲劇を繰り返さないために響木はみんなの盾になろうとしていた。
「あれ? 夏未さんは……?」
「電車は嫌いなんですって」
雷門夏未がいないことに気づいた音無春奈が訊くと、秋は苦笑しながら答えた。その隣では黒い高級車が走っている。そしてさらにその先には――。
「うわっ! なんスか、あれ!」
「まるで要塞だ……」
壁山塀吾郎の驚きを始め、染岡竜吾も見たままの感想を言う。目金欠流は染岡を押しのけてその建物を見た。
「あれが帝国学園です。そして中央に大きくそびえているのが――決勝を戦うスタジアム!」
瑞貴は別の窓から帝国学園を見る。あそこには自分の友人たちがいるのだ。
――今朝に佐久間次郎から電話があった。
『鬼道くんが?』
〈ああ。総帥のやり方を否定する、俺たちのサッカーをやらないかって〉
影山の指示に従って戦ってきた鬼道を始めとする帝国学園サッカー部。今、その呪縛から離れようとしているのだ。
〈驚いたよ。でも、反対する奴は誰もいなかった〉
『次郎はどうするの?』
〈もちろん俺もやるさ。俺だって本気で雷門と戦いたい。総帥の指示じゃなく、俺たちのサッカーをやる〉
『…………』
この言葉がずっと言葉に留めてほしい、瑞貴は悲しげな顔をしながら心の中で祈った。
〈瑞貴?〉
『あっ、ごめん。それで、鬼道くんは?』
〈今朝から何か仕掛けがないか探しているよ。俺も動きたいんだが、総帥は俺たちの行動を見ているからな〉
『わかった。私たちも気をつけて行くから。全力を尽くして戦おうね』
〈ああ。俺も――〉
〈あー! どうりで瑞貴先輩に繋がらないと思ったら、佐久間先輩がかけてたんっスねー! ズルいっスよー!〉
〈ゲッ!〉
電話から成神健也の声が聞こえてきた。佐久間が声を上げると続いて騒がしい音が聞こえてくる。
〈瑞貴せんぱーい! 決勝、お互いがんば――〉
〈成神ぃぃい! 携帯返せ!〉
〈うっさいスよ。俺だって瑞貴先輩と話したいんですから〉
〈騒がしいが、何かあったのか寺門?〉
〈辺見か。どうやら佐久間が例の雷門の女子選手と話している途中、成神に邪魔されて揉み合いになってるしい〉
〈あー! あのメイド服とドレスの奴な!〉
寺門大貴の答えで辺見渡が納得した言葉に、瑞貴はビシリと硬直した。もはやあれは黒歴史なので、思い出したくないできごとなのだ。
〈いい加減携帯返せ!〉
『……ごめん、次郎。私そろそろ時間だから行くよ。健也にあとで会おうねって言っておいて。幸次郎にもよろしくね』
〈あっ! ちょ、瑞貴――〉
佐久間の制止も聞かずに瑞貴は通話を切った。これ以上あのことを思い出すのは耐えられないからだ。
「いよいよ地区大会決勝だ! あの帝国とまた戦えるんだ! 特訓の成果、見せてやろうぜ!」
「「「「「オ――ッ!!」」」」」
円堂守のかけ声に、部員全員はそれに答えるように声を上げる。
「みんな張り切ってる……決勝だもんね~。私もがんばらなきゃ」
椅子越しに木野秋がうしろを向いて部員を見渡す。彼女もマネージャーの仕事をしっかりやらねば、と張り切っていた。
「守! 椅子に立ち上がるのは行儀よくない!」
「ウッ、ごめん……」
(((((母親だ……)))))
井上瑞貴が円堂に叱る光景はもうすっかり親子だ。
「雷雷軒のオヤジさん――じゃなかった、響木監督!」
円堂に呼ばれて響木は立ち上がる。
「俺からはたった一つ。――全てを出し切るんだ。後悔しないために!」
「「「「「はい!!」」」」」
響木の言葉に選手とマネージャーは同時に返事をする。そして響木は静かに座った。
彼にとっては気がかりなのは、帝国学園総帥・影山零治だ。彼がどんな手を使ってくるかわからない。それに四十年前の悲劇を繰り返さないために響木はみんなの盾になろうとしていた。
「あれ? 夏未さんは……?」
「電車は嫌いなんですって」
雷門夏未がいないことに気づいた音無春奈が訊くと、秋は苦笑しながら答えた。その隣では黒い高級車が走っている。そしてさらにその先には――。
「うわっ! なんスか、あれ!」
「まるで要塞だ……」
壁山塀吾郎の驚きを始め、染岡竜吾も見たままの感想を言う。目金欠流は染岡を押しのけてその建物を見た。
「あれが帝国学園です。そして中央に大きくそびえているのが――決勝を戦うスタジアム!」
瑞貴は別の窓から帝国学園を見る。あそこには自分の友人たちがいるのだ。
――今朝に佐久間次郎から電話があった。
『鬼道くんが?』
〈ああ。総帥のやり方を否定する、俺たちのサッカーをやらないかって〉
影山の指示に従って戦ってきた鬼道を始めとする帝国学園サッカー部。今、その呪縛から離れようとしているのだ。
〈驚いたよ。でも、反対する奴は誰もいなかった〉
『次郎はどうするの?』
〈もちろん俺もやるさ。俺だって本気で雷門と戦いたい。総帥の指示じゃなく、俺たちのサッカーをやる〉
『…………』
この言葉がずっと言葉に留めてほしい、瑞貴は悲しげな顔をしながら心の中で祈った。
〈瑞貴?〉
『あっ、ごめん。それで、鬼道くんは?』
〈今朝から何か仕掛けがないか探しているよ。俺も動きたいんだが、総帥は俺たちの行動を見ているからな〉
『わかった。私たちも気をつけて行くから。全力を尽くして戦おうね』
〈ああ。俺も――〉
〈あー! どうりで瑞貴先輩に繋がらないと思ったら、佐久間先輩がかけてたんっスねー! ズルいっスよー!〉
〈ゲッ!〉
電話から成神健也の声が聞こえてきた。佐久間が声を上げると続いて騒がしい音が聞こえてくる。
〈瑞貴せんぱーい! 決勝、お互いがんば――〉
〈成神ぃぃい! 携帯返せ!〉
〈うっさいスよ。俺だって瑞貴先輩と話したいんですから〉
〈騒がしいが、何かあったのか寺門?〉
〈辺見か。どうやら佐久間が例の雷門の女子選手と話している途中、成神に邪魔されて揉み合いになってるしい〉
〈あー! あのメイド服とドレスの奴な!〉
寺門大貴の答えで辺見渡が納得した言葉に、瑞貴はビシリと硬直した。もはやあれは黒歴史なので、思い出したくないできごとなのだ。
〈いい加減携帯返せ!〉
『……ごめん、次郎。私そろそろ時間だから行くよ。健也にあとで会おうねって言っておいて。幸次郎にもよろしくね』
〈あっ! ちょ、瑞貴――〉
佐久間の制止も聞かずに瑞貴は通話を切った。これ以上あのことを思い出すのは耐えられないからだ。