新監督を探せ!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「俺、思うんだ。キーパーは足を踏ん張ってヘソの下に力入れて! でないと、守れるゴールも守れないだろ?」
円堂が体で表現すると、瑞貴はそれを頭に入れる。GKとして大事なことを教えてもらった気が――いや、教えられた。
「ヘソの下か……ハッハッハッハッ。大介さんも似たようなことを言ってたな。キーパーがゴールを守ってるから、みんな全力で敵にぶつかっていける……」
「それわかります! 私はFWだから、ゴールを守ってくれるGKがいると、安心してシュートを撃ちにいけるんです!」
「瑞貴……そうだよ! だから俺も、全力でおじさんにぶつかる! 勝負だ!」
円堂は響木の正面に立って拳を向ける。
「勝負だと?」
「オウッ! キーパーの俺を見てくれ!」
「ホォ……」
その意気込みに、響木は興味深そうに声を上げる。
「おじさんが三本シュートを撃って、俺が三本とも止めたら監督をやってくれ!」
「ハァ? 三本中三本だと? アホな勝負だな」
「み、身も蓋もない……」
呆れる響木と苦笑する瑞貴。しかし円堂の表情は変わらぬままだ。
「やるの? やらないの?」
円堂が挑発するように言う。響木はちらりと瑞貴を見ると彼女もしっかり頷いた。
「大した自信だな……」
――場所は変わって河川敷のグラウンド。
円堂はユニフォームに着替えて準備をしていると、響木は四十年ぶりとは思えないほど上手にリフティングをしていた。
「おじさん、久しぶりにボールを蹴るんじゃないの?」
「まあ見てるといいさ」
勝負ということで張り切る二人。しかしここで頭を悩ませている少女がいた。
(あ~~……私はどっちを応援したらいいんだろう?)
もちろん監督をしてほしいので円堂を応援すべきなのはわかっている。だが気持ち的にも響木には負けてほしくない。気持ちがごっちゃになっている。
「瑞貴ー! 審判よろしくなー!」
「あっ、はーい」
あーだこーだと考えている内に二人の準備が完了したようだ。瑞貴は慌てて視線をグラウンドに移す。
「よし――来い!」
響木は足でボールを上げ、ゴールギリギリのところにシュートする。見事なコントロールだ。だが円堂も負けておらず、横っ飛びになってボールを跳ね返す。
瑞貴から見ても響木のシュートはスゴいパワーだろう。円堂も取った手の平を見て嬉しそうな顔をしている。
「一本目、止めたぞ!」
「やるな」
響木は感心するように声を上げ、続いて少し後ろに下がり手からボールを投げてシュートをする。今度は逆のゴールを狙っていた。円堂はそれを熱血パンチで止めて響木に返す。返されたボールは響木の手に治まった。
「熱血パンチ……!」
円堂大介の技の一つでもある必殺技を見て響木は少なからず興奮している。
「どうだ! 二本目だ!」
円堂は面白そうに、楽しそうに笑っていた。あと一本ということもあるが強い人と戦えてワクワクしているかもしれない。
「調子に乗るなよ。次の一本を落としたら監督の話はナシだ」
「オウッ!」
とうとう最後の勝負。瑞貴も内心ハラハラし、響木はボールを地面に置く。
「鬼瓦のオヤジが言ったことが本当なら……見せてみろっ!」
響木の渾身のシュートが円堂を襲う。それは強風が吹かれるほどだった。しかし円堂は逃げずに立ち向かう。
「守!」
「ゴッドハンド!」
放たれた最強のキーパー技。準決勝で見られなかったので瑞貴は嬉しそうに顔を綻ばす。――ついに円堂は三本全て止めたのだ。
「この勝負……守の勝ち! やったね守!」
「へっ? うわぁ!」
瑞貴は審判として判断を下したあと、一目散に円堂に飛びついた。抱きついたのではなく飛びついたのだ。
円堂はそれに驚きながらもなんとか受け止めると笑い声が聞こえてきた。
「ハッハッハッハッ。こいつは驚いた。大介さんがピッチに帰ってきやがった!」
二人はそばにやってきた響木に目をやる。その顔はとても嬉しそうな顔をしていた。瑞貴も円堂から離れ、響木と向かい合う。
「おい孫! お前、名前なんていうんだ?」
「円堂守!」
「守かぁ。いい名前だ」
瑞貴と円堂は顔を見合わせて笑った。これで響木が監督になってくれるのだ。
☆☆☆☆☆
――帝国学園サッカー部は鬼道に呼び出され、人気のない廊下にいた。
「どうしたんだ? 部室じゃダメなのか?」
「どこで聞かれてるかわからないからな……」
源田は鬼道の言葉の意味をわからない。それは他のみんなも同じだった。
「俺は総帥のやり方を否定する。みんな――俺たちのサッカーをやりたくはないか」
円堂が体で表現すると、瑞貴はそれを頭に入れる。GKとして大事なことを教えてもらった気が――いや、教えられた。
「ヘソの下か……ハッハッハッハッ。大介さんも似たようなことを言ってたな。キーパーがゴールを守ってるから、みんな全力で敵にぶつかっていける……」
「それわかります! 私はFWだから、ゴールを守ってくれるGKがいると、安心してシュートを撃ちにいけるんです!」
「瑞貴……そうだよ! だから俺も、全力でおじさんにぶつかる! 勝負だ!」
円堂は響木の正面に立って拳を向ける。
「勝負だと?」
「オウッ! キーパーの俺を見てくれ!」
「ホォ……」
その意気込みに、響木は興味深そうに声を上げる。
「おじさんが三本シュートを撃って、俺が三本とも止めたら監督をやってくれ!」
「ハァ? 三本中三本だと? アホな勝負だな」
「み、身も蓋もない……」
呆れる響木と苦笑する瑞貴。しかし円堂の表情は変わらぬままだ。
「やるの? やらないの?」
円堂が挑発するように言う。響木はちらりと瑞貴を見ると彼女もしっかり頷いた。
「大した自信だな……」
――場所は変わって河川敷のグラウンド。
円堂はユニフォームに着替えて準備をしていると、響木は四十年ぶりとは思えないほど上手にリフティングをしていた。
「おじさん、久しぶりにボールを蹴るんじゃないの?」
「まあ見てるといいさ」
勝負ということで張り切る二人。しかしここで頭を悩ませている少女がいた。
(あ~~……私はどっちを応援したらいいんだろう?)
もちろん監督をしてほしいので円堂を応援すべきなのはわかっている。だが気持ち的にも響木には負けてほしくない。気持ちがごっちゃになっている。
「瑞貴ー! 審判よろしくなー!」
「あっ、はーい」
あーだこーだと考えている内に二人の準備が完了したようだ。瑞貴は慌てて視線をグラウンドに移す。
「よし――来い!」
響木は足でボールを上げ、ゴールギリギリのところにシュートする。見事なコントロールだ。だが円堂も負けておらず、横っ飛びになってボールを跳ね返す。
瑞貴から見ても響木のシュートはスゴいパワーだろう。円堂も取った手の平を見て嬉しそうな顔をしている。
「一本目、止めたぞ!」
「やるな」
響木は感心するように声を上げ、続いて少し後ろに下がり手からボールを投げてシュートをする。今度は逆のゴールを狙っていた。円堂はそれを熱血パンチで止めて響木に返す。返されたボールは響木の手に治まった。
「熱血パンチ……!」
円堂大介の技の一つでもある必殺技を見て響木は少なからず興奮している。
「どうだ! 二本目だ!」
円堂は面白そうに、楽しそうに笑っていた。あと一本ということもあるが強い人と戦えてワクワクしているかもしれない。
「調子に乗るなよ。次の一本を落としたら監督の話はナシだ」
「オウッ!」
とうとう最後の勝負。瑞貴も内心ハラハラし、響木はボールを地面に置く。
「鬼瓦のオヤジが言ったことが本当なら……見せてみろっ!」
響木の渾身のシュートが円堂を襲う。それは強風が吹かれるほどだった。しかし円堂は逃げずに立ち向かう。
「守!」
「ゴッドハンド!」
放たれた最強のキーパー技。準決勝で見られなかったので瑞貴は嬉しそうに顔を綻ばす。――ついに円堂は三本全て止めたのだ。
「この勝負……守の勝ち! やったね守!」
「へっ? うわぁ!」
瑞貴は審判として判断を下したあと、一目散に円堂に飛びついた。抱きついたのではなく飛びついたのだ。
円堂はそれに驚きながらもなんとか受け止めると笑い声が聞こえてきた。
「ハッハッハッハッ。こいつは驚いた。大介さんがピッチに帰ってきやがった!」
二人はそばにやってきた響木に目をやる。その顔はとても嬉しそうな顔をしていた。瑞貴も円堂から離れ、響木と向かい合う。
「おい孫! お前、名前なんていうんだ?」
「円堂守!」
「守かぁ。いい名前だ」
瑞貴と円堂は顔を見合わせて笑った。これで響木が監督になってくれるのだ。
☆☆☆☆☆
――帝国学園サッカー部は鬼道に呼び出され、人気のない廊下にいた。
「どうしたんだ? 部室じゃダメなのか?」
「どこで聞かれてるかわからないからな……」
源田は鬼道の言葉の意味をわからない。それは他のみんなも同じだった。
「俺は総帥のやり方を否定する。みんな――俺たちのサッカーをやりたくはないか」