新監督を探せ!
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――それから鬼瓦の希望で鉄塔広場に場所を変える。
「話ってなんですか?」
「サッカー部の監督……探してるんだってな」
「ハァ……――まさか! 刑事さんが監督に!? マジ!?」
キラキラした目で円堂は鬼瓦に近づく。その様子に瑞貴は溜息をついた。
「違うでしょうが」
「俺はそんなガラじゃねぇよ」
監督になってくれない、とわかると円堂は鬼瓦から離れる。
「まあ、サッカー好きってことじゃ、お前さんたちが生まれるずーっと前からの筋金入りだ。――ゴッドハンド!」
ゴッドハンドの真似をする鬼瓦に円堂と瑞貴は若干引き気味で同じポーズを取る。
「帝国との練習試合で、お前さんがゴッドハンドを使ったときは鳥肌が立ったね……伝説の、イナズマイレブンが甦ったとな!」
「イナズマイレブンを知ってるの!?」
円堂は憧れている名前が出てきたことで顔を輝かせる。復活早いな、と思う瑞貴の心境。鬼瓦は「おうよ!」と言って体勢を立て直す。
「スゲェ強さだったぜ。なんたって負け知らずだったんだ」
「スッゲー!」
「だがな……」
声のトーンが下がったことに瑞貴は気づき、鬼瓦はここから見える稲妻町を見た後、瑞貴と円堂を見る。
「お前たち、イナズマイレブンの悲劇は知ってるのか?」
「ううん」
「私は……噂くらい」
「そうか」
鬼瓦は悲しそうな顔をして語り始める。
……四十年前のフットボールフロンティアで、全国制覇をかけた決勝戦は雷門中と大会初出場の新生・帝国学園だった。だが、信じられないことに決勝戦へ向かう雷門イレブンのバスがブレーキの故障で事故を起こし、選手たちは怪我をしてしまった。
それでもみんな歩いてでも、這ってでも会場に行こうとした。なのに―試合を棄権するという一本の電話が、会場に入ったという。
「結果……帝国は試合せずに優勝した。その日以来帝国は四十年間無敗だ。夢破れた雷門イレブンの中には問題を起こした者もいてな……」
「誰がそんな電話を……?」
「まだわからん。――あの電話の裏には何かがある。俺はその真相を調べるために刑事になったのさ」
「えっ?」
円堂が驚くと、鬼瓦は真剣な表情と打って変わって優しい顔つきになる。
「急にこんな話で、混乱させちまったかな」
「ううん。びっくりしてなんだかね」
(この電話、影山さんがしたんだっけ。当時は同じイナズマイレブンだったのに……)
苦笑する円堂と思い出すように顎に指をかける瑞貴。次いで円堂は鬼瓦に詰め寄る。
「ねぇ、本当に雷雷軒のおじさんってイナズマイレブンなの?」
「そうとも。大介の教え子さ。ポジションはお前さんと同じ――キーパーだ」
同じGKということで円堂の顔が綻んだ。瑞貴も円堂の様子に微笑ましく見ている。
「スゴかったぜぇ……。大介に鍛えられた鉄壁のキーパーっぷりで、1点もゴールを許さなかった!」
「ありがとう、刑事さん!」
突然円堂の声が遠くなったと思いきや、いつの間にか鬼瓦と瑞貴から離れて手を振っている。
「瑞貴、行くぞ!」
「ちょ、待ってよ守!」
瑞貴は鬼瓦に一つ礼をしてから円堂のあとを追って走り出した。鬼瓦は瑞貴が見えなくなるまで見送った。
しばらく走ってやっと円堂に追いつくと瑞貴はその隣に並ぶ。
「速いよ、守」
「瑞貴! あの刑事さん、じいちゃんがよこしてくれたんだ。キーパーなら俺――話せる!」
いつもの笑顔に戻ったことで、瑞貴も安心した表情を浮かべた。
☆☆☆☆☆
雷雷軒に着いた二人は扉を開けると、テーブル席で響木が新聞を読んでいた。響木も騒がしかったのか、こちらを向いた。
「またお前か」
「また、俺だよ!」
「私もいます」
元気よく入る円堂とは違い、瑞貴は少し控えめに入る。
「何度来ても答えは変わらんぞ」
「だったら、俺と勝負しよ!」
「勝負だぁ?」
「そうだよ!」
響木は呆れるように肘をテーブルに立てて新聞に目を落とす。
「刑事さんから聞いたよ。おじさんキーパーなんだろ?」
「鬼瓦のオヤジか……あのお節介め。ホォ~小麦粉の値上がりか」
バンッ!
話に一つも興味を持たない響木に円堂は顔をしかめると、スクールカバンをテーブルに叩きつけた。これには瑞貴も驚いて肩を跳ね上がった。
「おい! ――っ!」
響木は怒鳴ろうとするが、円堂の真剣な目に言葉を失くす。
「キーパーなら、どんな球でも受け止めるもんだろ」
最初と同じように何も言わない響木だが、今度は円堂の話を真剣に聞いてくれる。
「昔のこと聞いたよ。いっぺん試合できなくなったからってそれがどうした!」
「むしろ私たちなんて、最初は試合すらできなかったもんね」
「ああ! ――人生まだまだ終わってねーぞ!」
「フンッ。このガキンチョが」
ビシッと円堂は響木を指差す。しかし響木はその手を払いのけた。
「話ってなんですか?」
「サッカー部の監督……探してるんだってな」
「ハァ……――まさか! 刑事さんが監督に!? マジ!?」
キラキラした目で円堂は鬼瓦に近づく。その様子に瑞貴は溜息をついた。
「違うでしょうが」
「俺はそんなガラじゃねぇよ」
監督になってくれない、とわかると円堂は鬼瓦から離れる。
「まあ、サッカー好きってことじゃ、お前さんたちが生まれるずーっと前からの筋金入りだ。――ゴッドハンド!」
ゴッドハンドの真似をする鬼瓦に円堂と瑞貴は若干引き気味で同じポーズを取る。
「帝国との練習試合で、お前さんがゴッドハンドを使ったときは鳥肌が立ったね……伝説の、イナズマイレブンが甦ったとな!」
「イナズマイレブンを知ってるの!?」
円堂は憧れている名前が出てきたことで顔を輝かせる。復活早いな、と思う瑞貴の心境。鬼瓦は「おうよ!」と言って体勢を立て直す。
「スゲェ強さだったぜ。なんたって負け知らずだったんだ」
「スッゲー!」
「だがな……」
声のトーンが下がったことに瑞貴は気づき、鬼瓦はここから見える稲妻町を見た後、瑞貴と円堂を見る。
「お前たち、イナズマイレブンの悲劇は知ってるのか?」
「ううん」
「私は……噂くらい」
「そうか」
鬼瓦は悲しそうな顔をして語り始める。
……四十年前のフットボールフロンティアで、全国制覇をかけた決勝戦は雷門中と大会初出場の新生・帝国学園だった。だが、信じられないことに決勝戦へ向かう雷門イレブンのバスがブレーキの故障で事故を起こし、選手たちは怪我をしてしまった。
それでもみんな歩いてでも、這ってでも会場に行こうとした。なのに―試合を棄権するという一本の電話が、会場に入ったという。
「結果……帝国は試合せずに優勝した。その日以来帝国は四十年間無敗だ。夢破れた雷門イレブンの中には問題を起こした者もいてな……」
「誰がそんな電話を……?」
「まだわからん。――あの電話の裏には何かがある。俺はその真相を調べるために刑事になったのさ」
「えっ?」
円堂が驚くと、鬼瓦は真剣な表情と打って変わって優しい顔つきになる。
「急にこんな話で、混乱させちまったかな」
「ううん。びっくりしてなんだかね」
(この電話、影山さんがしたんだっけ。当時は同じイナズマイレブンだったのに……)
苦笑する円堂と思い出すように顎に指をかける瑞貴。次いで円堂は鬼瓦に詰め寄る。
「ねぇ、本当に雷雷軒のおじさんってイナズマイレブンなの?」
「そうとも。大介の教え子さ。ポジションはお前さんと同じ――キーパーだ」
同じGKということで円堂の顔が綻んだ。瑞貴も円堂の様子に微笑ましく見ている。
「スゴかったぜぇ……。大介に鍛えられた鉄壁のキーパーっぷりで、1点もゴールを許さなかった!」
「ありがとう、刑事さん!」
突然円堂の声が遠くなったと思いきや、いつの間にか鬼瓦と瑞貴から離れて手を振っている。
「瑞貴、行くぞ!」
「ちょ、待ってよ守!」
瑞貴は鬼瓦に一つ礼をしてから円堂のあとを追って走り出した。鬼瓦は瑞貴が見えなくなるまで見送った。
しばらく走ってやっと円堂に追いつくと瑞貴はその隣に並ぶ。
「速いよ、守」
「瑞貴! あの刑事さん、じいちゃんがよこしてくれたんだ。キーパーなら俺――話せる!」
いつもの笑顔に戻ったことで、瑞貴も安心した表情を浮かべた。
☆☆☆☆☆
雷雷軒に着いた二人は扉を開けると、テーブル席で響木が新聞を読んでいた。響木も騒がしかったのか、こちらを向いた。
「またお前か」
「また、俺だよ!」
「私もいます」
元気よく入る円堂とは違い、瑞貴は少し控えめに入る。
「何度来ても答えは変わらんぞ」
「だったら、俺と勝負しよ!」
「勝負だぁ?」
「そうだよ!」
響木は呆れるように肘をテーブルに立てて新聞に目を落とす。
「刑事さんから聞いたよ。おじさんキーパーなんだろ?」
「鬼瓦のオヤジか……あのお節介め。ホォ~小麦粉の値上がりか」
バンッ!
話に一つも興味を持たない響木に円堂は顔をしかめると、スクールカバンをテーブルに叩きつけた。これには瑞貴も驚いて肩を跳ね上がった。
「おい! ――っ!」
響木は怒鳴ろうとするが、円堂の真剣な目に言葉を失くす。
「キーパーなら、どんな球でも受け止めるもんだろ」
最初と同じように何も言わない響木だが、今度は円堂の話を真剣に聞いてくれる。
「昔のこと聞いたよ。いっぺん試合できなくなったからってそれがどうした!」
「むしろ私たちなんて、最初は試合すらできなかったもんね」
「ああ! ――人生まだまだ終わってねーぞ!」
「フンッ。このガキンチョが」
ビシッと円堂は響木を指差す。しかし響木はその手を払いのけた。