新監督を探せ!
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「んー……まさかこんなピンチがあるとは思わなかったなぁ。なーんにもいい手が浮かばなーい!」
円堂はうしろに寝そべって叫ぶと、空を見上げる。
「俺たち、やっぱりもういっぺん雷雷軒のおじさんに掛け合ってみる!」
聞き逃せない単語が聞こえた気がして瑞貴以外が驚いた目で円堂を見る。代表として風丸が声をかける。
「ちょっと待て円堂。俺『たち』?」
「ん? ああ。瑞貴も一緒に来てくれるんだろ?」
「副キャプテンだしね。むしろ守だけじゃ心配だし」
「どういう意味だよー!」
「そのまんま」
「「「「うんうん」」」」
「みんなしてなんだよー!」
瑞貴の言葉に染岡と風丸と土門と秋も何度か頷いたので、円堂は騒ぎ出した。
ガチャ。
すると突然、屋上の扉が開いた。反射的に全員そちらを向くと一人の男子生徒がいた。
「あれ? 高野じゃねぇか」
「土門くん、知り合い?」
「俺と同じクラスの奴なんだ」
「こんにちは」
高野と呼ばれた男子は頭を下げると瑞貴たちもつられて頭を下げる。
「あのさ、井上さんを借りてもいいかな?」
「私……ですか?」
「うん。ちょっと一緒に来てほしいんだ。ここじゃなんだから……」
高野は顔を赤くして頬を掻いた。
「わかりました。みんな、またあとで」
瑞貴はそう言って高野と屋上を出た。漂う静寂の中、それを破ったのは染岡だった。
「これでもう三人目だな」
「高野くんって、噂じゃ女子に人気があるバスケ部のレギュラー選手でしょ?」
「ああ。今回は瑞貴もどうするかわかんねぇけどな」
「ん? 何がだ?」
恋愛関係に疎い円堂は首を傾げる。染岡は嫌な予感がして目線を移動すると――後悔した。風丸の髪がゆらりと宙を舞い、土門はぶすーっと不機嫌そうに二人を見ている。秋と染岡は顔を見合わせると溜息を吐いた。
「なぁなぁ何がなんだよー!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ円堂に、秋は説明をしなければ止まらないことを察して円堂に言う。
「瑞貴ちゃんへ告白した男子の数。瑞貴ちゃんはモテるから告白されているの。それで今日で三人目、ってこと」
それに円堂は納得したが、同時に暗い表情をする。秋と染岡は二人をどう抑えるかで頭を悩ませていたので気づかなかった。
(瑞貴……)
――しばらくして瑞貴は帰ってくると屋上には円堂しかいなかった。しかも寝そべったまま。
「どうしたの、守?」
「あっ、いや、なんでもない」
円堂の雰囲気は何故か重かった。これでは監督を頼むどころか話し合うことすらできないだろう。瑞貴はゆっくりと円堂の隣に座る。
「……なあ、瑞貴」
「何?」
「その……さっき来たあの男子なんだけど……えっと……」
なんとなく円堂の言いたいことがわかったので、瑞貴は溜息をついた。
「高野くんのこと?」
「あ、ああ。告白……されたのか?」
瑞貴は目を見開いた。なにせ円堂の口から『告白』なんて出るとは思わなかったからだ。
「されたけど、それがどうしたの?」
「えっと、つき合うのかなぁって……」
もはや目もウロウロしてて一切瑞貴と目をあわせようとしない。
「断ったよ」
「えっ?」
「だから断った」
瑞貴はそう言って円堂のように寝そべって空を見上げる。
「あの人、私のことを外見しか見てなかったんだ。おまけに『サッカー部やめてバスケ部のマネージャーになってよ』って言ったんだよ?」
「えっ!? サッカー部、やめるのか!?」
円堂はガバッと起き上がって瑞貴を見下ろす。
「ンなわけないじゃん。私はサッカーが好きだからサッカー部に入ったの。そりゃあバスケも好きだけど、サッカーが一番好き」
円堂は瑞貴の『一番好き』という言葉に胸が高鳴った。瑞貴は「それに」と言ってゆっくりと起き上がる。
「サッカー部に入部してから、サッカーがさらに楽しくなったんだ。それもこれも守のおかげ。だから辞められないよ。――ありがとう」
「っ!」
満面の笑みで笑う瑞貴に、円堂は胸の高鳴りが強くなって顔を赤くした。
――放課後。いつもなら部活の時間帯だが、円堂と瑞貴は部活を休んだ。雷雷軒に向かって走る。するといきなり前に人が立ち、二人は慌てて止まった。現れたのは鬼瓦だった。
「円堂守だな」
「えっ? はい」
「俺はこういうもんだ」
鬼瓦はそう言って警察手帳を円堂に見せる。
「えっ!? 刑事さん!?」
円堂は目を見開いて驚き、刑事証明と鬼瓦を何度も交互に見る。人相からして刑事より悪人系が合うから驚きは高いだろう。
「こんにちは、鬼瓦さん」
「えっ!? 瑞貴、この刑事さんと知り合いなのか!?」
「うん。それに冬海のことを記録したレコーダーを鬼瓦さんに渡したの」
「えぇー!」
円堂はうしろに寝そべって叫ぶと、空を見上げる。
「俺たち、やっぱりもういっぺん雷雷軒のおじさんに掛け合ってみる!」
聞き逃せない単語が聞こえた気がして瑞貴以外が驚いた目で円堂を見る。代表として風丸が声をかける。
「ちょっと待て円堂。俺『たち』?」
「ん? ああ。瑞貴も一緒に来てくれるんだろ?」
「副キャプテンだしね。むしろ守だけじゃ心配だし」
「どういう意味だよー!」
「そのまんま」
「「「「うんうん」」」」
「みんなしてなんだよー!」
瑞貴の言葉に染岡と風丸と土門と秋も何度か頷いたので、円堂は騒ぎ出した。
ガチャ。
すると突然、屋上の扉が開いた。反射的に全員そちらを向くと一人の男子生徒がいた。
「あれ? 高野じゃねぇか」
「土門くん、知り合い?」
「俺と同じクラスの奴なんだ」
「こんにちは」
高野と呼ばれた男子は頭を下げると瑞貴たちもつられて頭を下げる。
「あのさ、井上さんを借りてもいいかな?」
「私……ですか?」
「うん。ちょっと一緒に来てほしいんだ。ここじゃなんだから……」
高野は顔を赤くして頬を掻いた。
「わかりました。みんな、またあとで」
瑞貴はそう言って高野と屋上を出た。漂う静寂の中、それを破ったのは染岡だった。
「これでもう三人目だな」
「高野くんって、噂じゃ女子に人気があるバスケ部のレギュラー選手でしょ?」
「ああ。今回は瑞貴もどうするかわかんねぇけどな」
「ん? 何がだ?」
恋愛関係に疎い円堂は首を傾げる。染岡は嫌な予感がして目線を移動すると――後悔した。風丸の髪がゆらりと宙を舞い、土門はぶすーっと不機嫌そうに二人を見ている。秋と染岡は顔を見合わせると溜息を吐いた。
「なぁなぁ何がなんだよー!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ円堂に、秋は説明をしなければ止まらないことを察して円堂に言う。
「瑞貴ちゃんへ告白した男子の数。瑞貴ちゃんはモテるから告白されているの。それで今日で三人目、ってこと」
それに円堂は納得したが、同時に暗い表情をする。秋と染岡は二人をどう抑えるかで頭を悩ませていたので気づかなかった。
(瑞貴……)
――しばらくして瑞貴は帰ってくると屋上には円堂しかいなかった。しかも寝そべったまま。
「どうしたの、守?」
「あっ、いや、なんでもない」
円堂の雰囲気は何故か重かった。これでは監督を頼むどころか話し合うことすらできないだろう。瑞貴はゆっくりと円堂の隣に座る。
「……なあ、瑞貴」
「何?」
「その……さっき来たあの男子なんだけど……えっと……」
なんとなく円堂の言いたいことがわかったので、瑞貴は溜息をついた。
「高野くんのこと?」
「あ、ああ。告白……されたのか?」
瑞貴は目を見開いた。なにせ円堂の口から『告白』なんて出るとは思わなかったからだ。
「されたけど、それがどうしたの?」
「えっと、つき合うのかなぁって……」
もはや目もウロウロしてて一切瑞貴と目をあわせようとしない。
「断ったよ」
「えっ?」
「だから断った」
瑞貴はそう言って円堂のように寝そべって空を見上げる。
「あの人、私のことを外見しか見てなかったんだ。おまけに『サッカー部やめてバスケ部のマネージャーになってよ』って言ったんだよ?」
「えっ!? サッカー部、やめるのか!?」
円堂はガバッと起き上がって瑞貴を見下ろす。
「ンなわけないじゃん。私はサッカーが好きだからサッカー部に入ったの。そりゃあバスケも好きだけど、サッカーが一番好き」
円堂は瑞貴の『一番好き』という言葉に胸が高鳴った。瑞貴は「それに」と言ってゆっくりと起き上がる。
「サッカー部に入部してから、サッカーがさらに楽しくなったんだ。それもこれも守のおかげ。だから辞められないよ。――ありがとう」
「っ!」
満面の笑みで笑う瑞貴に、円堂は胸の高鳴りが強くなって顔を赤くした。
――放課後。いつもなら部活の時間帯だが、円堂と瑞貴は部活を休んだ。雷雷軒に向かって走る。するといきなり前に人が立ち、二人は慌てて止まった。現れたのは鬼瓦だった。
「円堂守だな」
「えっ? はい」
「俺はこういうもんだ」
鬼瓦はそう言って警察手帳を円堂に見せる。
「えっ!? 刑事さん!?」
円堂は目を見開いて驚き、刑事証明と鬼瓦を何度も交互に見る。人相からして刑事より悪人系が合うから驚きは高いだろう。
「こんにちは、鬼瓦さん」
「えっ!? 瑞貴、この刑事さんと知り合いなのか!?」
「うん。それに冬海のことを記録したレコーダーを鬼瓦さんに渡したの」
「えぇー!」