ザ・キングダムの闇!
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ブラジルエリアの街に行くと、今にもサンバのリズムが聞こえてくるように賑やかだ。すると建物にある巨大テレビから、ザ・キングダムの監督のガルシルド=ベイハンのインタビューが映し出されたので五人は足を止めて見る。
〈ガルシルド監督、決勝トーナメント進出を果たしたお気持ちは?〉
〈責任を感じていますよ〉
〈と、言われますと?〉
〈このFFI世界大会は、私の愛するサッカーを通じ世界平和を目指して開いたもの。そのメッセージを全人類に伝えるために一つでも多く勝ち進むことが、我がチーム――ザ・キングダムの使命ですからな〉
〈なるほど。ありがとうございました〉
そして中継は終わった。瑞貴は微かに眉をしかめたが、ヒロトや土方たちはテレビに注目していたので気づかなかった。
「…………」
「世界平和を目指して、か……」
「ますますわからねぇな。そんなチームなら、間違っても八百長なんか頼んじゃダメだろ」
ザ・キングダムの宿舎を目指しながら、円堂は先ほどインタビューを受けたガルシルドのことをヒロトに訊く。
「ガルシルドって確か……」
「フットボールフロンティアインターナショナルの大会委員長だよ。このライオコット島をサッカーアイランドに改造した大金持ち」
「へぇ~」
「――兄ちゃん!」
土方も感心しているとザ・キングダムの宿舎から小さい男の子の声が聞こえた。それも悲鳴に近いような。気になった瑞貴たちは耳を傾けて集中する。
「とっとと出て行け!」
「待ってください!」
「親父にも仕事をやめてもらうからな」
「そんな……! それじゃ俺たち家族は生きていけないよ!」
「あっ! 何すんだよ!」
男の子の他に、大人の男が二人、先ほど『兄ちゃん』と呼ばれたであろう少年、合計四人が大人と子供に分かれて何か言い争っている。
「何か様子がおかしいね」
「行ってみよう」
瑞貴と円堂たちは原因を知るべく宿舎へ駆け寄って行く。すると男が男の子――少年の弟のボールを奪い取った。
「これはガルシルド様が与えた物だ。もうお前に使う権利はない」
「そんな!」
「恨むなら試合でミスした兄を恨め!」
宿舎からボールが飛んでいった。それを瑞貴たちも見て宿舎の中を見ると、弟が泣いてザ・キングダムのユニフォームを着た少年――ラガルート=カルロスが、男たちに懇願している。
「お願いします! 次の試合、絶対期待に応えてみせます! だからもう一度……もう一度だけチャンスをください!」
「チャンスか……」
「お前たちのミッション成功率は常にチェックしている。それを忘れるなよ」
「はい! 二度とミスはしません!」
「――おい。何を揉めてるんだ」
「「「「!」」」」
「あんたたちは、イナズマジャパン……」
土方が声を上げたことで全員瑞貴たちに気づいた。ラガルートもどこのチームかわかると、土方は泣いている弟の頭を撫でる。
「ほら、もう泣くな」
「だって、僕のボールを……」
「わかった。あとで探してやるから。なっ」
「……チッ。余計なことはしゃべるな」
男たちはラガルートに小声で告げると外に停めてあった車で去って行った。