新監督を探せ!
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冬海卓が帝国学園のスパイと知り追い出したのはいいが、フットボールフロンティア大会規約書によれば『監督がいないチームは試合に出られない』ということだった。
「こうなったら、みんなで監督を探すんだ!」
「「「「「…………」」」」」
元気よく言う円堂守とは反対に、他のみんなは先日までのやる気がなかったかのように脱力していた。井上瑞貴は溜息をつきながら円堂の隣に並ぶ。
「こんなことでフットボールフロンティアをあきらめたくないもんね」
「ああ! みんな、やろうぜ!」
勢いよくサッカーボールを突き出す円堂。
「誰か、運動部の顧問で頼めないかなぁ……?」
「ああ! それいい考えっスよ!」
半田真一の提案に賛成の意を表す壁山塀吾郎を始め、みんなの表情も和らいだ。
「雷門夏未が頼めば、誰かやってくれるんじゃないか?」
「…………」
そう言う染岡竜吾に雷門夏未は眉を寄せる。
「そもそも、あんたが冬海を追い出さなきゃこんなことにはならなかったんだよ。責任とってもらおうじゃないか」
「「「「「おぉ~!」」」」」
染岡の言葉に歓声と拍手が沸き起こるが、夏未はそれをものともせず笑う。
「冬海先生を顧問にしたままで、みんな試合なんかできて?」
「おぉ~!」
ごもっともな意見に染岡も押し黙り、今度は瑞貴が夏未に歓声と拍手を送った。
「とはいえ、いささか短絡的でしたねぇ。せめて、代わりの監督を立ててから追放してもよかったんじゃないでしょうか?」
「っ!」
バチバチッ!!
目金欠流の異論に夏未は口許が引きつり、二人の間に火花が飛び散っていた。
「わーわー言っても時間のムダだ! みんな、手分けして新監督を探すんだ!」
「誰でもいいってわけじゃないぞー? 帝国と戦える人間じゃないと……」
「…………」
元気よく部室を出て行った円堂だが、風丸一郎太が当たり前のことを言うと、スゴスゴとうしろ歩きで戻って来た。
「そうだな。慎重になるべきだ」
「また冬海のときのように、弱みを握られて元通りになったら意味ないしね」
風丸の言葉を土門飛鳥が付けたし、瑞貴も肩をすくめて溜息を吐く。
「まあ向こうが何やろうとも警察が黙ってないから安心して」
「お前、結局あのレコーダーを警察に届けたのかよ!?」
「知り合いの刑事さんに渡したの。なんだかんだ言って、結局は殺人未遂だし。また向こうが何かしてきても、ここにもテープはあるから」
瑞貴は小型レコーダーに冬海が自白した内容を録音し、弱みを握った。彼女の行動に部員一同は唖然としていた。
「じ、じゃあどうしろってんだよ!」
「ンフフフ……」
「「「「「!?」」」」」
痺れを切らした円堂が話を変えるために叫ぶと、部室内に不穏な声が漂う。その主は影野仁で両隣にいた壁山と少林寺歩は飛び退く。
「どんなに存在感がなくても…先生がいることで俺たちが試合に出られていたんだな…見事に存在理由があったのか……フフフフ……」
「「「「「…………」」」」」
先ほどの不穏な空気とは違い、影野から出る不気味な空気が部室に漂った。
「瑞貴ちゃん。神崎さんに頼めない?」
木野秋が声を上げる。瑞貴は一瞬誰のことかわからなかったが、すぐに思い出した。
「シンのこと?」
「うん。どうかな?」
「聞いてみる」
瑞貴は携帯を取り出した。正直原作が変わってしまうが、秋の頼みとあれば仕方ない。いくつかコールすると通信が繋がった。
〈もしもし。瑞貴が電話するなんて珍しいね。何かあった?〉
「久しぶり。実はね――」
瑞貴はこれまでの経緯をシンに話す。部員一同はハラハラとその様子を見ていた。
〈……事情はわかった。とりあえずみんなに聞こえるようにしてくれる?〉
「あっ、うん」
瑞貴はスピーカーボタンを押して携帯をみんなに向ける。
〈雷門イレブンのみんな、久しぶり〉
「お久しぶりっス、神崎さん!」
シンの声にいち早く反応したのは壁山だった。彼は野生戦のとき弟とその友達と一緒にいたので鮮明に覚えている。
〈おっ、その声は壁山くんだね。サクくんたちは元気かな?〉
「はいっス。また神崎さんに会いたいと言ってました!」
〈そうか。僕も機会があったら会いたいなぁ〉
「……シン、本題を言って」
いつまでも続きそうなので瑞貴がそれを制した。いつもと変わらぬ調子に瑞貴は肩を落とす。
〈円堂くんはいるかな?〉
「あっ、はい」
名前を呼ばれたので円堂はそばに行き、瑞貴から携帯を受け取る。
〈事情は瑞貴から聞いたよ。でも僕、仕事で海外にいるんだ〉
「神崎さんって社会人なんですか? 大学生かと思いました」
〈神崎財閥って聞いたことない? 夏未ちゃんか豪炎寺くん辺り知ってそうだけど〉
円堂は夏未と豪炎寺を振り向くと、二人は神妙な顔をして頷く。
「神崎財閥は我が雷門財閥と同じくらいの権力をもつ企業よ。一つのことに執着せず、様々な分野があって幅広い企業をやってるわ。神崎シンさんはその社長なの」
「「「「「社長ぉ――っ!?」」」」」
「名前を聞いたときに、もしかしてと思ったけど……。まさか本人とはね」
夏未が話す新事実に豪炎寺を以外の瑞貴を含む雷門中サッカー部は驚いた。
「俺の父も世話になっている。あそこは医療関係もやってるからな」
(シンって、この世界でどんだけ有名なの!?)
瑞貴は複雑な心情だ。若くして神様になったくせに、この世界でも天才らしい。
「ということは、瑞貴ちゃんは社長令嬢……?」
秋が恐る恐る振り向いてそう言う。もちろん瑞貴は身に覚えがないので首を大きく振った。
〈瑞貴は確かに僕が養っているけど、神崎財閥に入れるつもりはないよ。のびのびとサッカーをやってほしいからね〉
会話を聞いたシンが助け舟を出す。瑞貴はホッと安堵の溜息をついた。
「こうなったら、みんなで監督を探すんだ!」
「「「「「…………」」」」」
元気よく言う円堂守とは反対に、他のみんなは先日までのやる気がなかったかのように脱力していた。井上瑞貴は溜息をつきながら円堂の隣に並ぶ。
「こんなことでフットボールフロンティアをあきらめたくないもんね」
「ああ! みんな、やろうぜ!」
勢いよくサッカーボールを突き出す円堂。
「誰か、運動部の顧問で頼めないかなぁ……?」
「ああ! それいい考えっスよ!」
半田真一の提案に賛成の意を表す壁山塀吾郎を始め、みんなの表情も和らいだ。
「雷門夏未が頼めば、誰かやってくれるんじゃないか?」
「…………」
そう言う染岡竜吾に雷門夏未は眉を寄せる。
「そもそも、あんたが冬海を追い出さなきゃこんなことにはならなかったんだよ。責任とってもらおうじゃないか」
「「「「「おぉ~!」」」」」
染岡の言葉に歓声と拍手が沸き起こるが、夏未はそれをものともせず笑う。
「冬海先生を顧問にしたままで、みんな試合なんかできて?」
「おぉ~!」
ごもっともな意見に染岡も押し黙り、今度は瑞貴が夏未に歓声と拍手を送った。
「とはいえ、いささか短絡的でしたねぇ。せめて、代わりの監督を立ててから追放してもよかったんじゃないでしょうか?」
「っ!」
バチバチッ!!
目金欠流の異論に夏未は口許が引きつり、二人の間に火花が飛び散っていた。
「わーわー言っても時間のムダだ! みんな、手分けして新監督を探すんだ!」
「誰でもいいってわけじゃないぞー? 帝国と戦える人間じゃないと……」
「…………」
元気よく部室を出て行った円堂だが、風丸一郎太が当たり前のことを言うと、スゴスゴとうしろ歩きで戻って来た。
「そうだな。慎重になるべきだ」
「また冬海のときのように、弱みを握られて元通りになったら意味ないしね」
風丸の言葉を土門飛鳥が付けたし、瑞貴も肩をすくめて溜息を吐く。
「まあ向こうが何やろうとも警察が黙ってないから安心して」
「お前、結局あのレコーダーを警察に届けたのかよ!?」
「知り合いの刑事さんに渡したの。なんだかんだ言って、結局は殺人未遂だし。また向こうが何かしてきても、ここにもテープはあるから」
瑞貴は小型レコーダーに冬海が自白した内容を録音し、弱みを握った。彼女の行動に部員一同は唖然としていた。
「じ、じゃあどうしろってんだよ!」
「ンフフフ……」
「「「「「!?」」」」」
痺れを切らした円堂が話を変えるために叫ぶと、部室内に不穏な声が漂う。その主は影野仁で両隣にいた壁山と少林寺歩は飛び退く。
「どんなに存在感がなくても…先生がいることで俺たちが試合に出られていたんだな…見事に存在理由があったのか……フフフフ……」
「「「「「…………」」」」」
先ほどの不穏な空気とは違い、影野から出る不気味な空気が部室に漂った。
「瑞貴ちゃん。神崎さんに頼めない?」
木野秋が声を上げる。瑞貴は一瞬誰のことかわからなかったが、すぐに思い出した。
「シンのこと?」
「うん。どうかな?」
「聞いてみる」
瑞貴は携帯を取り出した。正直原作が変わってしまうが、秋の頼みとあれば仕方ない。いくつかコールすると通信が繋がった。
〈もしもし。瑞貴が電話するなんて珍しいね。何かあった?〉
「久しぶり。実はね――」
瑞貴はこれまでの経緯をシンに話す。部員一同はハラハラとその様子を見ていた。
〈……事情はわかった。とりあえずみんなに聞こえるようにしてくれる?〉
「あっ、うん」
瑞貴はスピーカーボタンを押して携帯をみんなに向ける。
〈雷門イレブンのみんな、久しぶり〉
「お久しぶりっス、神崎さん!」
シンの声にいち早く反応したのは壁山だった。彼は野生戦のとき弟とその友達と一緒にいたので鮮明に覚えている。
〈おっ、その声は壁山くんだね。サクくんたちは元気かな?〉
「はいっス。また神崎さんに会いたいと言ってました!」
〈そうか。僕も機会があったら会いたいなぁ〉
「……シン、本題を言って」
いつまでも続きそうなので瑞貴がそれを制した。いつもと変わらぬ調子に瑞貴は肩を落とす。
〈円堂くんはいるかな?〉
「あっ、はい」
名前を呼ばれたので円堂はそばに行き、瑞貴から携帯を受け取る。
〈事情は瑞貴から聞いたよ。でも僕、仕事で海外にいるんだ〉
「神崎さんって社会人なんですか? 大学生かと思いました」
〈神崎財閥って聞いたことない? 夏未ちゃんか豪炎寺くん辺り知ってそうだけど〉
円堂は夏未と豪炎寺を振り向くと、二人は神妙な顔をして頷く。
「神崎財閥は我が雷門財閥と同じくらいの権力をもつ企業よ。一つのことに執着せず、様々な分野があって幅広い企業をやってるわ。神崎シンさんはその社長なの」
「「「「「社長ぉ――っ!?」」」」」
「名前を聞いたときに、もしかしてと思ったけど……。まさか本人とはね」
夏未が話す新事実に豪炎寺を以外の瑞貴を含む雷門中サッカー部は驚いた。
「俺の父も世話になっている。あそこは医療関係もやってるからな」
(シンって、この世界でどんだけ有名なの!?)
瑞貴は複雑な心情だ。若くして神様になったくせに、この世界でも天才らしい。
「ということは、瑞貴ちゃんは社長令嬢……?」
秋が恐る恐る振り向いてそう言う。もちろん瑞貴は身に覚えがないので首を大きく振った。
〈瑞貴は確かに僕が養っているけど、神崎財閥に入れるつもりはないよ。のびのびとサッカーをやってほしいからね〉
会話を聞いたシンが助け舟を出す。瑞貴はホッと安堵の溜息をついた。