帝国のスパイ!
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「私と同じ女の子なのに、みんなに負けないくらいサッカーが上手で……でも、とても楽しんでやっている。二人とも、まるで一之瀬くんみたいに」
「――あいつらは、一之瀬とは違う」
「えっ?」
「俺は、いつも見てるしかなかった。一之瀬の背中を……。追いかけても追いかけても追いつけない。でも、円堂と瑞貴ちゃんは違うんだよ。隣を走ってるんだ……! あいつらとなら、いつまでも走ってられそうな気がする……」
「土門くん……」
「みんな、怒ってるだろうな……」
「――土門!」
第三者の声に二人が見上げると、突然ボールが飛んできた。土門はそれをキャッチして振り向く。そこには円堂がいた。
「サッカー、やろうぜ!」
「えっ?」
「ほら早く!」
円堂はそう言いながらグラウンドへ走っていく。土門は唖然とするが、「早く来いよ!」と円堂が言うと嬉しそうに円堂のもとへ駆けて行った。秋は安心するように笑う。
稲妻KFCと一緒にやるはずが、ほとんど土門と円堂のPKになっていた。その様子を土手の上で夏未と豪炎寺が見ている。
「瑞貴のように、あなたも土門くんのこと気づいてたんじゃない?」
「円堂も気づいていたさ。土門の、サッカーへの熱い気持ちをね」
再びグラウンドへ視線を戻すと、土門は稲妻KFCにボールをとられ、円堂は「土門! 何やってんだ! しっかりしろ!」と言う。本当に楽しそうにサッカーをやっていた。
何度もやるとさすがに疲れ、円堂と土門は休憩を取りながら稲妻KFCの様子を見る。
「……そういえばさ、円堂。瑞貴ちゃんはあれからどうなった?」
土門は自分が逃げる前に豹変したような瑞貴のことを聞くと、円堂は顔を曇らせる。
「俺、あんな瑞貴初めて見た。たぶん俺がお前を追いかけたあとも冬海先生に怒鳴っている」
「……瑞貴ちゃんさ、俺がスパイだってことを知ってたよ」
「それでも、瑞貴は土門のことを仲間と思ってるんだ」
「ああ……」
今の土門の心の中は瑞貴でいっぱいだった。スパイだと知りながらも仲間だと思ってくれて、自分のためにあそこまで怒ってくれた。それは感謝してもしきれないくらいだ。
「きっと瑞貴、明日はスゲー落ち込んでるぜ。豪炎寺や染岡にもあんなことを言ったから」
「えっ? なんでわかんの?」
「だって俺とあいつは相棒だからな!」
(いつの間にそこまで発展したんだ!?)
ニカッと笑う円堂とは正反対に、土門はこれからの部活動に冷や汗をかき――同時に複雑な心境でいた。
☆☆☆☆☆
(気まずい……)
瑞貴は頭を抱えて机に突っ伏す。ちなみにここは理事長室。瑞貴は昨日のこともあって部員に顔を合わせづらく、朝早くからここに来ていた。もちろん授業も受けていない。
夏未は瑞貴がこの部屋にいるのを快く許してくれていた。その代わりに瑞貴は夏未の仕事を手伝っているので先生へ言う理由もなんとかなった。
「もう部活の時間よ?」
「だって私、みんなの前でキレたんだよ!? 一人称が変わるくらい! おまけに修也と竜吾になんてことを言ってしまったの……」
ブツブツと言って暗いオーラが出ている瑞貴に、夏未は溜息を吐いて瑞貴の隣に座る。
「あなたにとって、彼らはその程度の存在だったのかしら?」
「でも……嫌われたよ……軽蔑されるよ……」
「土門くんの帰る場所になってあげるんじゃなくって?」
「うぐっ!」
痛い所を突かれた瑞貴は肩をビクッと跳ね上げる。
「――あいつらは、一之瀬とは違う」
「えっ?」
「俺は、いつも見てるしかなかった。一之瀬の背中を……。追いかけても追いかけても追いつけない。でも、円堂と瑞貴ちゃんは違うんだよ。隣を走ってるんだ……! あいつらとなら、いつまでも走ってられそうな気がする……」
「土門くん……」
「みんな、怒ってるだろうな……」
「――土門!」
第三者の声に二人が見上げると、突然ボールが飛んできた。土門はそれをキャッチして振り向く。そこには円堂がいた。
「サッカー、やろうぜ!」
「えっ?」
「ほら早く!」
円堂はそう言いながらグラウンドへ走っていく。土門は唖然とするが、「早く来いよ!」と円堂が言うと嬉しそうに円堂のもとへ駆けて行った。秋は安心するように笑う。
稲妻KFCと一緒にやるはずが、ほとんど土門と円堂のPKになっていた。その様子を土手の上で夏未と豪炎寺が見ている。
「瑞貴のように、あなたも土門くんのこと気づいてたんじゃない?」
「円堂も気づいていたさ。土門の、サッカーへの熱い気持ちをね」
再びグラウンドへ視線を戻すと、土門は稲妻KFCにボールをとられ、円堂は「土門! 何やってんだ! しっかりしろ!」と言う。本当に楽しそうにサッカーをやっていた。
何度もやるとさすがに疲れ、円堂と土門は休憩を取りながら稲妻KFCの様子を見る。
「……そういえばさ、円堂。瑞貴ちゃんはあれからどうなった?」
土門は自分が逃げる前に豹変したような瑞貴のことを聞くと、円堂は顔を曇らせる。
「俺、あんな瑞貴初めて見た。たぶん俺がお前を追いかけたあとも冬海先生に怒鳴っている」
「……瑞貴ちゃんさ、俺がスパイだってことを知ってたよ」
「それでも、瑞貴は土門のことを仲間と思ってるんだ」
「ああ……」
今の土門の心の中は瑞貴でいっぱいだった。スパイだと知りながらも仲間だと思ってくれて、自分のためにあそこまで怒ってくれた。それは感謝してもしきれないくらいだ。
「きっと瑞貴、明日はスゲー落ち込んでるぜ。豪炎寺や染岡にもあんなことを言ったから」
「えっ? なんでわかんの?」
「だって俺とあいつは相棒だからな!」
(いつの間にそこまで発展したんだ!?)
ニカッと笑う円堂とは正反対に、土門はこれからの部活動に冷や汗をかき――同時に複雑な心境でいた。
☆☆☆☆☆
(気まずい……)
瑞貴は頭を抱えて机に突っ伏す。ちなみにここは理事長室。瑞貴は昨日のこともあって部員に顔を合わせづらく、朝早くからここに来ていた。もちろん授業も受けていない。
夏未は瑞貴がこの部屋にいるのを快く許してくれていた。その代わりに瑞貴は夏未の仕事を手伝っているので先生へ言う理由もなんとかなった。
「もう部活の時間よ?」
「だって私、みんなの前でキレたんだよ!? 一人称が変わるくらい! おまけに修也と竜吾になんてことを言ってしまったの……」
ブツブツと言って暗いオーラが出ている瑞貴に、夏未は溜息を吐いて瑞貴の隣に座る。
「あなたにとって、彼らはその程度の存在だったのかしら?」
「でも……嫌われたよ……軽蔑されるよ……」
「土門くんの帰る場所になってあげるんじゃなくって?」
「うぐっ!」
痛い所を突かれた瑞貴は肩をビクッと跳ね上げる。