帝国のスパイ!
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「ローリングキック!」
次に半田がドリブルをしたボールを高く上げて体を回転させて必殺シュートを放つ。そのシュートは見事にゴールに入った。
それから松野空介がヘディングしたボールを栗松が取り、そのうしろを少林寺が付いて上がって行く。彼らの様子を円堂と瑞貴は並んで見ていた。
「みんな、気合い入ってんな!」
「次は地区大会決勝戦だもん。あれくらいの気合いがなくちゃね」
「勝てば全国、負けても全国。何がなんでも全国だー!」
手の平に拳を当て次いでその拳を高く上げて言う円堂に、瑞貴は溜息をついた。
「守。負けてもじゃなくて私たちは絶対勝つんだよ。いいね?」
「オウッ! ん~……俺もジッとしちゃあいられない!」
「あっ、守! まったくもう」
そう言って円堂はグラウンドに飛び出す。瑞貴は呆れながら、でもどこか楽しそうに笑って自分もグラウンドに入った。
「ほら、パスパス!」
その声にチラッと土門を見ると彼は昨日と違って絶好調だった。影野仁が出した少し遠めのパスでも受けとってドリブルをする。その表情はまるで何かがふっきれたように。
瑞貴が彼の表情にホッとするのも束の間――。
「――バ、バスをですか!?」
焦った叫び声に雷門中サッカー部は何事だと思って声のした方向に向くと、そこには冷や汗をしながらごますりしている冬海卓と雷門夏未がいた。二人の緊迫した空気に雷門中サッカー部は無視できずに様子を見る。
「い、いきなりそんなことを言われましても、私は大型免許を持っていませんし……」
「それは問題ありません。校内は私有地ですから免許などいりませんわ。それにちょっと動かしてくれればいいだけですし」
「し、しかし……」
「あら。断る理由はなかったんじゃなくて?」
「ハ、ハァ……」
それでも折れずに冬海は汗を拭く。
「冬海先生」
「は、はい!」
円堂たちは様子が只事ではないと察して着いて行く。瑞貴は自分の荷物からある物を取り出してから合流した。
――バスがある車庫で冬海は運転席に乗り込む。瑞貴は夏未の隣に並んで様子を見る。
「発進させて、止まるだけでいいんです」
夏未の指示は簡単なものだった。それでもなかなか動こうとしない冬海に、雷門中サッカー部も不審に思い始める。
「どうなさったんですか? 冬海先生」
「えっ、いや、その……」
「早くエンジンをかけてください」
「は、はい……」
冬海はそう言ってバスのキーに手を伸ばし、エンジンを掛けるフリをした。
「あれ? おかしいですねぇ。バッテリーが上がってるのかな――」
「ふざけないでください!」
「誤魔化すのも大概にしてくださいね」
「は、はい!」
夏未の叱咤と瑞貴の睨みに冬海は肩を震わせ、やっとエンジンをかける。
「さあ、バスを出して」
夏未がそう言っても冬海はバスを出さない。夏未は瑞貴をチラリと見ると、視線に気づいた瑞貴も頷いた。
「どうしたんです? 冬海先生」
「――できません!」
ついに尻尾をつかんだ。冬海はハンドルに当てた手へ顔を当てる。
「どうして?」
「どうしてもです!」
冬海の態度を見た夏未は懐から一通の手紙を取り出す。
「ここに手紙があります。これから起きようとしたであろう、恐ろしい犯罪を告発する内容です。冬海先生、バスを動かさないのはあなた自身がバスを細工したからではありませんか? ――この手紙にあるように!」
そう言うと冬海は観念したかのように脱力し、顔をうつむける。
次に半田がドリブルをしたボールを高く上げて体を回転させて必殺シュートを放つ。そのシュートは見事にゴールに入った。
それから松野空介がヘディングしたボールを栗松が取り、そのうしろを少林寺が付いて上がって行く。彼らの様子を円堂と瑞貴は並んで見ていた。
「みんな、気合い入ってんな!」
「次は地区大会決勝戦だもん。あれくらいの気合いがなくちゃね」
「勝てば全国、負けても全国。何がなんでも全国だー!」
手の平に拳を当て次いでその拳を高く上げて言う円堂に、瑞貴は溜息をついた。
「守。負けてもじゃなくて私たちは絶対勝つんだよ。いいね?」
「オウッ! ん~……俺もジッとしちゃあいられない!」
「あっ、守! まったくもう」
そう言って円堂はグラウンドに飛び出す。瑞貴は呆れながら、でもどこか楽しそうに笑って自分もグラウンドに入った。
「ほら、パスパス!」
その声にチラッと土門を見ると彼は昨日と違って絶好調だった。影野仁が出した少し遠めのパスでも受けとってドリブルをする。その表情はまるで何かがふっきれたように。
瑞貴が彼の表情にホッとするのも束の間――。
「――バ、バスをですか!?」
焦った叫び声に雷門中サッカー部は何事だと思って声のした方向に向くと、そこには冷や汗をしながらごますりしている冬海卓と雷門夏未がいた。二人の緊迫した空気に雷門中サッカー部は無視できずに様子を見る。
「い、いきなりそんなことを言われましても、私は大型免許を持っていませんし……」
「それは問題ありません。校内は私有地ですから免許などいりませんわ。それにちょっと動かしてくれればいいだけですし」
「し、しかし……」
「あら。断る理由はなかったんじゃなくて?」
「ハ、ハァ……」
それでも折れずに冬海は汗を拭く。
「冬海先生」
「は、はい!」
円堂たちは様子が只事ではないと察して着いて行く。瑞貴は自分の荷物からある物を取り出してから合流した。
――バスがある車庫で冬海は運転席に乗り込む。瑞貴は夏未の隣に並んで様子を見る。
「発進させて、止まるだけでいいんです」
夏未の指示は簡単なものだった。それでもなかなか動こうとしない冬海に、雷門中サッカー部も不審に思い始める。
「どうなさったんですか? 冬海先生」
「えっ、いや、その……」
「早くエンジンをかけてください」
「は、はい……」
冬海はそう言ってバスのキーに手を伸ばし、エンジンを掛けるフリをした。
「あれ? おかしいですねぇ。バッテリーが上がってるのかな――」
「ふざけないでください!」
「誤魔化すのも大概にしてくださいね」
「は、はい!」
夏未の叱咤と瑞貴の睨みに冬海は肩を震わせ、やっとエンジンをかける。
「さあ、バスを出して」
夏未がそう言っても冬海はバスを出さない。夏未は瑞貴をチラリと見ると、視線に気づいた瑞貴も頷いた。
「どうしたんです? 冬海先生」
「――できません!」
ついに尻尾をつかんだ。冬海はハンドルに当てた手へ顔を当てる。
「どうして?」
「どうしてもです!」
冬海の態度を見た夏未は懐から一通の手紙を取り出す。
「ここに手紙があります。これから起きようとしたであろう、恐ろしい犯罪を告発する内容です。冬海先生、バスを動かさないのはあなた自身がバスを細工したからではありませんか? ――この手紙にあるように!」
そう言うと冬海は観念したかのように脱力し、顔をうつむける。