奇跡! カッパとの遭遇⁉︎
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「スッゴい! そんなことできるんだ!」
「ああ。お日さま園のみんなとキャンプに行ってて、そのとき覚えたんだ」
「キャンプに?」
「うん」
「キャンプかぁ……楽しそうだなぁ……。俺も一回でいいからキャンプとか行ってみたかったんだよなぁ……」
火を見つめながら木暮は穏やかな表情をすると、ヒロトが尋ねる。
「行ったことないのか?」
「えっ、う…うん……。なんかさ、行く機会がなくてさ……」
「エイリア学園事件じゃ、夕弥が入ったあと森で泊まったりしなかったもんね」
苦笑する木暮に瑞貴は優しく頭を撫でる。……木暮が母親と別れたのは幼い頃だったし、それ以降は人を信じられなかったので共にキャンプに行けなかったのだろう。
エイリア学園事件のとき瑞貴たちは山でキャンプファイヤーをしたことがあったが、木暮はチームに加入する前だ。それからは宿泊施設か敷地内に停めたキャラバンで眠っていた。
「だったら、今度行こうよ」
「えっ、ホントに!?」
「うん。円堂くんたちも誘ってさ。この島ならキャンプできそうなとこ、たくさんありそうだし」
「楽しそうだね。私も賛成!」
ヒロトの提案に瑞貴も賛成すると、木暮は嬉しそうに立ち上がる。
「じゃあ俺、ご飯炊く係! 飯ごうとか使ってさ!」
「うん。でもあれは、なかなかコツがいるからね。最初はたきぎ拾いからだよ」
「えぇ~、たきぎ拾い~?」
ヒロトが言った役に木暮は不満のようだ。
「嫌だよそんな役~。木を拾って来るだけなんて全然面白そうじゃないんだもん」
「でも夕弥、大切な役割だよ。たきぎがないとご飯も炊けないからね」
「うん。キャンプもサッカーと同じ、不要なポジションなんてないんだ」
「そりゃそうかもしれないけど……――あっ! でもそのあとは、みんなでゲームしたり歌を歌ったりして選ぶんだよね!」
「うん。火を囲んでね」
「わぁ~。楽しそうだな~……早く行きたいなぁ~……」
火を見ながら想像してワクワクしている木暮を、ヒロトと瑞貴は微笑ましそうに見ていた。
それから木暮は眠くなったのか欠伸をしたので、瑞貴は地面にハンカチを敷いて正座するとポンポンと太腿を叩く。
「夕弥、おいで。眠いんでしょ?」
「うん……」
眠い故か木暮は大人しく従って瑞貴の太腿に頭を乗せ、そのまま瑞貴が優しく頭を撫でると安心したように眠った。ヒロトもその光景に微笑ましく思ったが、ふと思ったことを瑞貴に尋ねる。
「……ねぇ、瑞貴ちゃん」
「ん?」
「今朝、円堂くんがカッパを見たって言ったとき『カッパの存在を否定したら、私の存在も否定することになる』……あれ、どういうこと?」
ヒロトの問いに瑞貴は言おうかどうか迷った。ヒロトのことは心から信頼しているし、その気持ちに嘘はない。だけど全員が全員で瑞貴のことを信じてくれるわけじゃない。
(頭がおかしいとか、気味悪いとか思われたらどうしよう……)
フットボールフロンティアで円堂たちに言ったのは、ほぼ成り行きだった。しかし円堂だって最初は信じてくれたものの今では半信半疑になっている……豪炎寺たちも同じだろう。
瑞貴は顔をうつむけたまま答えない。ヒロトは優しく微笑んで木暮とは反対側に瑞貴の隣に腰掛けると肩にポンッと手を置く。
「変な質問してごめんね」
「ううん、ヒロトは悪くないよ。私に今言う勇気がないだけ……」
仲間が増えて一緒にサッカーができて、初めて好きな人ができて、幸せだと思うほど不安が募っていた。……その時間がいつか壊れるのではないかと瑞貴は恐れている。
「瑞貴ちゃんも休みなよ。ずっと歩き回ってて疲れたでしょ」
「うん。そうする……」
瑞貴は木暮の頭を少し持ち上げて痺れないように足を崩し、再度木暮を太腿に乗せる。そして目を閉じて眠り始め、完全に寝入った頃にヒロトは瑞貴の頭を自分の肩に乗せた。
(瑞貴ちゃんは最近変わり始めた……)
ヒロトは瑞貴に想いを寄せているので自然と瑞貴を見ていた。だからこそ瑞貴が誰を見ているのかも知っている。
ヒロトにとって瑞貴も円堂も自分を救ってくれた恩人だ。彼らと吉良瞳子のおかげで吉良星二郎が昔みたいに優しくて穏やかになり、自分たちもサッカーを侵略の道具ではなく再び大好きで楽しいものだと思うことができた。
恩人には幸せになってほしいし、二人が両想いになったときは喜ぶべきなのに……。
(その瞳を、俺だけに向けてほしいって思うのは……俺のワガママかな)
☆☆☆☆☆
翌日。日が昇ったのにいつもと違う場所で寝てるせいか瑞貴も目を覚まさず、ヒロトも木暮も眠ったままだ。
バシャ。
「ん……朝か……。あれ、いつの間にヒロトの肩に乗ってたんだろ? ――ん?」
水をかける音と蒸発した匂いに瑞貴は目が覚めるとヒロトの肩に乗せていたことに気づいた。周りを見ると、昨日出会った河童が焚き火のあとに水をかけていた。
「まだ火のあとが残っていたのかな。ありがとうございます、亀崎くん」
「どういたしまして」
すると河童のうしろに人がいたことに気づいて目を向けると、容姿は河童と同じだが少し小柄で髪の色が黄緑色だ。
「亀崎くんの仲間…ですか?」
「亀崎小河童」
「小河童くんですね。井上瑞貴です。よろしくお願いします」
「よろしく」
「……ん」
河童が亀崎小河童を紹介したので瑞貴も挨拶すると、木暮が目を覚ましたので河童は少し顔を木暮に近づけると……。
「うわあ!」
当然木暮は驚いて飛び起きた。だけどよく見て河童だと気づいて安堵する。
「なんだ昨日の奴か……。あー、びっくりした!」
「おはよう、夕弥」
「お、おはよう瑞貴姉……って、えぇっ!?」
小河童の存在に気づいた木暮は慌ててヒロトを起こしにかかる。
「ヒロトさん! ヒロトーん!」
「ん……どうかしたのか……?」
「見て!」
「あっ!」
木暮が指差しヒロトも河童の存在に驚いたが、そっくりな小河童にさらに驚いた。
「ああ。お日さま園のみんなとキャンプに行ってて、そのとき覚えたんだ」
「キャンプに?」
「うん」
「キャンプかぁ……楽しそうだなぁ……。俺も一回でいいからキャンプとか行ってみたかったんだよなぁ……」
火を見つめながら木暮は穏やかな表情をすると、ヒロトが尋ねる。
「行ったことないのか?」
「えっ、う…うん……。なんかさ、行く機会がなくてさ……」
「エイリア学園事件じゃ、夕弥が入ったあと森で泊まったりしなかったもんね」
苦笑する木暮に瑞貴は優しく頭を撫でる。……木暮が母親と別れたのは幼い頃だったし、それ以降は人を信じられなかったので共にキャンプに行けなかったのだろう。
エイリア学園事件のとき瑞貴たちは山でキャンプファイヤーをしたことがあったが、木暮はチームに加入する前だ。それからは宿泊施設か敷地内に停めたキャラバンで眠っていた。
「だったら、今度行こうよ」
「えっ、ホントに!?」
「うん。円堂くんたちも誘ってさ。この島ならキャンプできそうなとこ、たくさんありそうだし」
「楽しそうだね。私も賛成!」
ヒロトの提案に瑞貴も賛成すると、木暮は嬉しそうに立ち上がる。
「じゃあ俺、ご飯炊く係! 飯ごうとか使ってさ!」
「うん。でもあれは、なかなかコツがいるからね。最初はたきぎ拾いからだよ」
「えぇ~、たきぎ拾い~?」
ヒロトが言った役に木暮は不満のようだ。
「嫌だよそんな役~。木を拾って来るだけなんて全然面白そうじゃないんだもん」
「でも夕弥、大切な役割だよ。たきぎがないとご飯も炊けないからね」
「うん。キャンプもサッカーと同じ、不要なポジションなんてないんだ」
「そりゃそうかもしれないけど……――あっ! でもそのあとは、みんなでゲームしたり歌を歌ったりして選ぶんだよね!」
「うん。火を囲んでね」
「わぁ~。楽しそうだな~……早く行きたいなぁ~……」
火を見ながら想像してワクワクしている木暮を、ヒロトと瑞貴は微笑ましそうに見ていた。
それから木暮は眠くなったのか欠伸をしたので、瑞貴は地面にハンカチを敷いて正座するとポンポンと太腿を叩く。
「夕弥、おいで。眠いんでしょ?」
「うん……」
眠い故か木暮は大人しく従って瑞貴の太腿に頭を乗せ、そのまま瑞貴が優しく頭を撫でると安心したように眠った。ヒロトもその光景に微笑ましく思ったが、ふと思ったことを瑞貴に尋ねる。
「……ねぇ、瑞貴ちゃん」
「ん?」
「今朝、円堂くんがカッパを見たって言ったとき『カッパの存在を否定したら、私の存在も否定することになる』……あれ、どういうこと?」
ヒロトの問いに瑞貴は言おうかどうか迷った。ヒロトのことは心から信頼しているし、その気持ちに嘘はない。だけど全員が全員で瑞貴のことを信じてくれるわけじゃない。
(頭がおかしいとか、気味悪いとか思われたらどうしよう……)
フットボールフロンティアで円堂たちに言ったのは、ほぼ成り行きだった。しかし円堂だって最初は信じてくれたものの今では半信半疑になっている……豪炎寺たちも同じだろう。
瑞貴は顔をうつむけたまま答えない。ヒロトは優しく微笑んで木暮とは反対側に瑞貴の隣に腰掛けると肩にポンッと手を置く。
「変な質問してごめんね」
「ううん、ヒロトは悪くないよ。私に今言う勇気がないだけ……」
仲間が増えて一緒にサッカーができて、初めて好きな人ができて、幸せだと思うほど不安が募っていた。……その時間がいつか壊れるのではないかと瑞貴は恐れている。
「瑞貴ちゃんも休みなよ。ずっと歩き回ってて疲れたでしょ」
「うん。そうする……」
瑞貴は木暮の頭を少し持ち上げて痺れないように足を崩し、再度木暮を太腿に乗せる。そして目を閉じて眠り始め、完全に寝入った頃にヒロトは瑞貴の頭を自分の肩に乗せた。
(瑞貴ちゃんは最近変わり始めた……)
ヒロトは瑞貴に想いを寄せているので自然と瑞貴を見ていた。だからこそ瑞貴が誰を見ているのかも知っている。
ヒロトにとって瑞貴も円堂も自分を救ってくれた恩人だ。彼らと吉良瞳子のおかげで吉良星二郎が昔みたいに優しくて穏やかになり、自分たちもサッカーを侵略の道具ではなく再び大好きで楽しいものだと思うことができた。
恩人には幸せになってほしいし、二人が両想いになったときは喜ぶべきなのに……。
(その瞳を、俺だけに向けてほしいって思うのは……俺のワガママかな)
☆☆☆☆☆
翌日。日が昇ったのにいつもと違う場所で寝てるせいか瑞貴も目を覚まさず、ヒロトも木暮も眠ったままだ。
バシャ。
「ん……朝か……。あれ、いつの間にヒロトの肩に乗ってたんだろ? ――ん?」
水をかける音と蒸発した匂いに瑞貴は目が覚めるとヒロトの肩に乗せていたことに気づいた。周りを見ると、昨日出会った河童が焚き火のあとに水をかけていた。
「まだ火のあとが残っていたのかな。ありがとうございます、亀崎くん」
「どういたしまして」
すると河童のうしろに人がいたことに気づいて目を向けると、容姿は河童と同じだが少し小柄で髪の色が黄緑色だ。
「亀崎くんの仲間…ですか?」
「亀崎小河童」
「小河童くんですね。井上瑞貴です。よろしくお願いします」
「よろしく」
「……ん」
河童が亀崎小河童を紹介したので瑞貴も挨拶すると、木暮が目を覚ましたので河童は少し顔を木暮に近づけると……。
「うわあ!」
当然木暮は驚いて飛び起きた。だけどよく見て河童だと気づいて安堵する。
「なんだ昨日の奴か……。あー、びっくりした!」
「おはよう、夕弥」
「お、おはよう瑞貴姉……って、えぇっ!?」
小河童の存在に気づいた木暮は慌ててヒロトを起こしにかかる。
「ヒロトさん! ヒロトーん!」
「ん……どうかしたのか……?」
「見て!」
「あっ!」
木暮が指差しヒロトも河童の存在に驚いたが、そっくりな小河童にさらに驚いた。