奇跡! カッパとの遭遇⁉︎
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「っ…つつ……がっ……」
「やーいやーい! 引っかかった引っかかった!」
イタズラ成功して木暮は大喜びする。……だけど相手が悪い、物凄く悪い。
「木暮ぇ!!」
「うわぁ!」
「コォラ―――ッ!!」
落とし穴から出てきた染岡の怒りは頂点に達していた。木暮は慌ててボールを置いて逃げだし、染岡は怒鳴りながら追いかけた。
「全く木暮は相変わらずだな……」
「アハハハ……」
鬼道や円堂たちは苦笑するしかなかった。世界大会でサッカーに励んでイタズラが大人しくなったと思ったらこれだ。
「私も追いかけてくるよ。夕弥も悪いけど相手が竜吾じゃやり過ぎないか心配だから」
「わかりました。気をつけてください」
「お昼までには戻って来てね」
「うん」
木暮と染岡に続いて瑞貴も春奈と秋にそう告げて宿舎の敷地から出て行った。しかしすぐに追いかけたわけではないので、やはり途中で二人を見失ってしまった。
「さて、どこに行ったんだろう?」
「木暮ぇ――っ!!」
「あっ」
染岡の怒鳴り声で方向を確認し、先回りしようと森へ入ると霧が出始めた。珍しいなと思いつつ瑞貴は木暮を探して行くのだが……。
「あ、あれ?」
迷ってしまったようだ。いつでも出れるように道路が見える道を走っていたのだが、霧のせいで周りを見ても道路どころか森しか見えない。
「ヤバい、どうしよう……。とりあえず早く夕弥たちと合流……――ん?」
「…………」
瑞貴は視線を感じて顔を向けると、木の陰からボールを持った少年がジーッとこちらを見ていた。
その少年は先ほど練習を見学していたのだ。瑞貴は原作を思い出して少年に近づいてみる。
「あの――」
「くれ」
「えっ?」
質問する前に少年が差し出したのは色紙とサインペンだ。原作ではヒロトにしか求めていなかったので、ヒロトがいるのかと思い周りを見渡すが自分以外誰もいない。念の為に再度聞き直す。
「私のサインですか?」
「うん」
「わかりました」
どうやら勘違いでもなく少年は自分のサインが欲しいらしい。瑞貴は少年から色紙とサインペンを受け取る。
「名前はなんていうんですか?」
「亀崎河童」
「亀崎河童くんですね。……はい、どうぞ!」
「!」
少年――亀崎河童は瑞貴からサインをもらうと頬を赤くして嬉しそうに笑った。喜んでくれたことに瑞貴も思わず嬉しくなると、今度は胡瓜が差し出された。
「やる」
「あ、ありがとうございます」
ズイッと差し出されたのでサインのお礼だろうと瑞貴は受け取った。すると当初の目的であるヒロトと木暮のことを思い出し、河童に訊くことにした。
「そういえば、私と同じユニフォームを着た男の子を見ませんでしたか? この森にいるはずなんですが……」
「あっち」
河童が指差した方向を見ると、少し離れた場所でヒロトと木暮が歩いて行く姿を見つけた。二人を無事に発見できて瑞貴は笑顔になり、片手を振って大声で二人を呼ぶ。
「ヒロト! 夕弥!」
「瑞貴ちゃん?」
「瑞貴姉!」
「亀崎くん、ありがとう――……あれ?」
二人もこちらに気づいて駆け寄って来たので、瑞貴は隣にいる河童に礼を言おうとしたが誰もいなかった。その先をよく見てみると……。
「スーイスイ! スーイスイ!」
なんと河童はいつの間にか遠く離れており、独特なスキップをしながら去って行った。瑞貴が思わず呆然としているとヒロトと木暮がそばに来た。
「なんで瑞貴姉がここにいるの?」
「竜吾が夕弥へのお仕置きをやりすぎないよう止めにね。そこで亀崎くんに会ったんだ」
「瑞貴ちゃんも亀崎くんに会ったんだ」
「俺たちもさっき会ってさ、ヒロトさんのサインはOKなのに俺はダメだったんだ。俺だって日本代表なのに!」
「アハハハ……」
瑞貴は苦笑しながら先ほど自分も河童にサインをあげたなど、木暮には絶対秘密にしようと心に誓った。代わりに胡瓜を半分に割って木暮にあげた。
☆☆☆☆☆
――もらった胡瓜を食べながら森を歩くが川に着いただけで一向に出られない。
仕方なくここで野宿することになったので、薪を拾うために森に戻ったヒロトを瑞貴と木暮は待っていると、空には満月が浮かんで星が出てきた。
「あーあ。夜になっちゃった……」
「仕方ない。円堂くんたちには心配かけることになるけど、今日はここで野宿しよう」
「あっ、お帰り」
「うん。ただいま」
薪を持って帰ってきたヒロトに瑞貴は気づいて声をかけると、ヒロトも笑顔で返して薪を地面に降ろす。
「これ以上進むと迷うかもしれないからね」
「もう迷ってるよ!」
「「アハハハ……」」
涙目になって正論を言う木暮に、瑞貴とヒロトは苦笑を返すことしかできなかった。
「あーお腹空いた……。胡瓜しか食べてないもんなぁ……――ん?」
丸太に座って落ち込む木暮が顔を向けると、ヒロトは岩に座り敷いた木の皮の上に数枚の葉を乗せて枝で擦り合わせる。
「何してんの?」
「火を熾(オコ)そうと思ってね」
「火を……?」
木暮も興味を持って見ると、擦り合わせた枝の先にある落ち葉から火が点いた。
「点いた!」
ヒロトは集めた薪を入れてさらに火を大きくする。
「やーいやーい! 引っかかった引っかかった!」
イタズラ成功して木暮は大喜びする。……だけど相手が悪い、物凄く悪い。
「木暮ぇ!!」
「うわぁ!」
「コォラ―――ッ!!」
落とし穴から出てきた染岡の怒りは頂点に達していた。木暮は慌ててボールを置いて逃げだし、染岡は怒鳴りながら追いかけた。
「全く木暮は相変わらずだな……」
「アハハハ……」
鬼道や円堂たちは苦笑するしかなかった。世界大会でサッカーに励んでイタズラが大人しくなったと思ったらこれだ。
「私も追いかけてくるよ。夕弥も悪いけど相手が竜吾じゃやり過ぎないか心配だから」
「わかりました。気をつけてください」
「お昼までには戻って来てね」
「うん」
木暮と染岡に続いて瑞貴も春奈と秋にそう告げて宿舎の敷地から出て行った。しかしすぐに追いかけたわけではないので、やはり途中で二人を見失ってしまった。
「さて、どこに行ったんだろう?」
「木暮ぇ――っ!!」
「あっ」
染岡の怒鳴り声で方向を確認し、先回りしようと森へ入ると霧が出始めた。珍しいなと思いつつ瑞貴は木暮を探して行くのだが……。
「あ、あれ?」
迷ってしまったようだ。いつでも出れるように道路が見える道を走っていたのだが、霧のせいで周りを見ても道路どころか森しか見えない。
「ヤバい、どうしよう……。とりあえず早く夕弥たちと合流……――ん?」
「…………」
瑞貴は視線を感じて顔を向けると、木の陰からボールを持った少年がジーッとこちらを見ていた。
その少年は先ほど練習を見学していたのだ。瑞貴は原作を思い出して少年に近づいてみる。
「あの――」
「くれ」
「えっ?」
質問する前に少年が差し出したのは色紙とサインペンだ。原作ではヒロトにしか求めていなかったので、ヒロトがいるのかと思い周りを見渡すが自分以外誰もいない。念の為に再度聞き直す。
「私のサインですか?」
「うん」
「わかりました」
どうやら勘違いでもなく少年は自分のサインが欲しいらしい。瑞貴は少年から色紙とサインペンを受け取る。
「名前はなんていうんですか?」
「亀崎河童」
「亀崎河童くんですね。……はい、どうぞ!」
「!」
少年――亀崎河童は瑞貴からサインをもらうと頬を赤くして嬉しそうに笑った。喜んでくれたことに瑞貴も思わず嬉しくなると、今度は胡瓜が差し出された。
「やる」
「あ、ありがとうございます」
ズイッと差し出されたのでサインのお礼だろうと瑞貴は受け取った。すると当初の目的であるヒロトと木暮のことを思い出し、河童に訊くことにした。
「そういえば、私と同じユニフォームを着た男の子を見ませんでしたか? この森にいるはずなんですが……」
「あっち」
河童が指差した方向を見ると、少し離れた場所でヒロトと木暮が歩いて行く姿を見つけた。二人を無事に発見できて瑞貴は笑顔になり、片手を振って大声で二人を呼ぶ。
「ヒロト! 夕弥!」
「瑞貴ちゃん?」
「瑞貴姉!」
「亀崎くん、ありがとう――……あれ?」
二人もこちらに気づいて駆け寄って来たので、瑞貴は隣にいる河童に礼を言おうとしたが誰もいなかった。その先をよく見てみると……。
「スーイスイ! スーイスイ!」
なんと河童はいつの間にか遠く離れており、独特なスキップをしながら去って行った。瑞貴が思わず呆然としているとヒロトと木暮がそばに来た。
「なんで瑞貴姉がここにいるの?」
「竜吾が夕弥へのお仕置きをやりすぎないよう止めにね。そこで亀崎くんに会ったんだ」
「瑞貴ちゃんも亀崎くんに会ったんだ」
「俺たちもさっき会ってさ、ヒロトさんのサインはOKなのに俺はダメだったんだ。俺だって日本代表なのに!」
「アハハハ……」
瑞貴は苦笑しながら先ほど自分も河童にサインをあげたなど、木暮には絶対秘密にしようと心に誓った。代わりに胡瓜を半分に割って木暮にあげた。
☆☆☆☆☆
――もらった胡瓜を食べながら森を歩くが川に着いただけで一向に出られない。
仕方なくここで野宿することになったので、薪を拾うために森に戻ったヒロトを瑞貴と木暮は待っていると、空には満月が浮かんで星が出てきた。
「あーあ。夜になっちゃった……」
「仕方ない。円堂くんたちには心配かけることになるけど、今日はここで野宿しよう」
「あっ、お帰り」
「うん。ただいま」
薪を持って帰ってきたヒロトに瑞貴は気づいて声をかけると、ヒロトも笑顔で返して薪を地面に降ろす。
「これ以上進むと迷うかもしれないからね」
「もう迷ってるよ!」
「「アハハハ……」」
涙目になって正論を言う木暮に、瑞貴とヒロトは苦笑を返すことしかできなかった。
「あーお腹空いた……。胡瓜しか食べてないもんなぁ……――ん?」
丸太に座って落ち込む木暮が顔を向けると、ヒロトは岩に座り敷いた木の皮の上に数枚の葉を乗せて枝で擦り合わせる。
「何してんの?」
「火を熾(オコ)そうと思ってね」
「火を……?」
木暮も興味を持って見ると、擦り合わせた枝の先にある落ち葉から火が点いた。
「点いた!」
ヒロトは集めた薪を入れてさらに火を大きくする。