不死鳥の決意!
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そんな彼らの姿を見ながら、冬花は秋から一之瀬の事情を知る。
「そうだったんですか……。一之瀬さんが、そんな思いで試合してたなんて……」
「相手が円堂くんと瑞貴ちゃんだから、辛さを乗り越えて本気で戦えたのよ」
「マモルくんと瑞貴ちゃん……だから?」
「奴らは仲間の思いを全て受け止める。どんな思いでもな」
「それが――円堂守と井上瑞貴なんだよ」
響木とシンの言葉に、秋と冬花は顔を見合わせて笑った。
「秋ちゃん、一哉くんはアメリカの僕の病院で治療する。最新設備に加えて、前回以上の一哉くんの気迫もあるし、今度こそ後遺症もなく必ず治るよ」
「はい!」
☆☆☆☆☆
夕方――イナズマジャパン対ユニコーンの試合を終えたクジャクスタジアムの観客席では、一之瀬と瑞貴だけがいた。
「秋には謝らないとな。俺のせいで悩ませちゃったから」
「ホントだよ。秋ちゃんスゴく悩んでいた。ちゃーんと謝るんだね」
イタズラっぽく笑う瑞貴に一之瀬は苦笑した。しかし次いで瑞貴は優しく微笑む。
「でも、私は嬉しかったよ。連絡をくれたとき」
「えっ?」
「やっぱり仲間なんだなって。だって、アメリカに戻ってから全然連絡くれなかったもん。もう私たちのことなんか忘れちゃったんじゃないかって」
「瑞貴……」
「スゴかったよ、今日の一哉。今までで一番輝いていた。だから私も負けられないって心から熱くなれたんだ」
「ああ。今の俺ができる最高の試合だった。――だけど、これが終わりじゃない」
「えっ?」
今度は瑞貴が聞き返して顔を向けると、一之瀬は清々しい表情で空を見上げる。
「この世界にサッカーがある限り、その最高峰を目指して羽ばたき続けてみせる。そして俺は約束を果たしに戻ってくる。――プロリーグのデビュー戦に、瑞貴を招待するためにね」
「待ってる! そして一緒にサッカーできる日も!」
必ずフィールドに戻ると一之瀬は誓い、瑞貴はそれを待ち続けることにした。
すると一之瀬が真剣な顔になり瑞貴に顔を向けた。その姿を見た瑞貴は彼が何を言おうとしているのか察し、顔をうつむける。
「瑞貴……この間の告白の返事、聞かせてくれるかな?」
「うん……。一哉の気持ちは戸惑ったけど心から嬉しかったのは本当だよ。でも……私は一哉と同じ気持ちじゃないんだ。だから一緒にアメリカに行けない……ごめんなさい」
深々と頭を下げる瑞貴は一之瀬の表情が見えない。だが、一之瀬が肩に手を置いたので、それに反応して顔を上げると一之瀬は苦笑していた。
「円堂、だよね。瑞貴の好きな人」
「えっ……えぇっ!? なんで!?」
一之瀬の口から出た名前に瑞貴は盛大に驚き、思わず一歩あとずさった。
「実は昨日、ジャパンエリアに行ってたんだ。円堂に体のことを伝えるか迷ってて……そんなとき早朝特訓する瑞貴と円堂と綱海を見かけたよ」
「あのとき!」
「うん。瑞貴と円堂の言葉を聞いて結局そのまま帰ったけどね。だけど瑞貴が円堂を見たとき、いつもと表情が違っていた」
瑞貴が聞いた草むらの音は一之瀬が去ったあとだった。好きな子のことなら些細な変化もわかるのだろう。一之瀬は瑞貴の気持ちが固まったことに気づいていた。
「恋する女の子の表情をしていた瑞貴は、とても可愛くて綺麗だった。それを向ける相手が俺じゃないことはとても悔しいな」
一之瀬はジャージのチャックを少し下げると、首にかけていた紐を出した。その紐には鍵をペンダントのように通してあり、瑞貴は鍵の正体に気づいた。
「それ!」
「うん、瑞貴の家の合鍵。御守りとして日本を出る前からずっと付けていたんだ。瑞貴がそばにいる気がして、心の支えになっていた……。だけど、それも終わりにするよ」
「終わりって……」
一之瀬は紐を首から外し、さらに鍵を外すと瑞貴に差し出す。彼の意図を瑞貴は気づいた。
「もう、うちには帰って来ないんだね……」
「ああ。俺は手術が終わってもアメリカに残る。瑞貴が俺を家族として見てくれたけど、俺は瑞貴のことをずっと好きな女の子として見ていた。ちゃんと気持ちを伝えてしまった以上、あの頃には戻れない」
「でも、遊びには来てね。私たちはサッカーで繋がっている仲間なんだから」
「もちろんだよ」
瑞貴は一之瀬から鍵を受け取った。次にあの家で会うのは『家族』としてじゃなく、『仲間』としてだ。
「そうだったんですか……。一之瀬さんが、そんな思いで試合してたなんて……」
「相手が円堂くんと瑞貴ちゃんだから、辛さを乗り越えて本気で戦えたのよ」
「マモルくんと瑞貴ちゃん……だから?」
「奴らは仲間の思いを全て受け止める。どんな思いでもな」
「それが――円堂守と井上瑞貴なんだよ」
響木とシンの言葉に、秋と冬花は顔を見合わせて笑った。
「秋ちゃん、一哉くんはアメリカの僕の病院で治療する。最新設備に加えて、前回以上の一哉くんの気迫もあるし、今度こそ後遺症もなく必ず治るよ」
「はい!」
☆☆☆☆☆
夕方――イナズマジャパン対ユニコーンの試合を終えたクジャクスタジアムの観客席では、一之瀬と瑞貴だけがいた。
「秋には謝らないとな。俺のせいで悩ませちゃったから」
「ホントだよ。秋ちゃんスゴく悩んでいた。ちゃーんと謝るんだね」
イタズラっぽく笑う瑞貴に一之瀬は苦笑した。しかし次いで瑞貴は優しく微笑む。
「でも、私は嬉しかったよ。連絡をくれたとき」
「えっ?」
「やっぱり仲間なんだなって。だって、アメリカに戻ってから全然連絡くれなかったもん。もう私たちのことなんか忘れちゃったんじゃないかって」
「瑞貴……」
「スゴかったよ、今日の一哉。今までで一番輝いていた。だから私も負けられないって心から熱くなれたんだ」
「ああ。今の俺ができる最高の試合だった。――だけど、これが終わりじゃない」
「えっ?」
今度は瑞貴が聞き返して顔を向けると、一之瀬は清々しい表情で空を見上げる。
「この世界にサッカーがある限り、その最高峰を目指して羽ばたき続けてみせる。そして俺は約束を果たしに戻ってくる。――プロリーグのデビュー戦に、瑞貴を招待するためにね」
「待ってる! そして一緒にサッカーできる日も!」
必ずフィールドに戻ると一之瀬は誓い、瑞貴はそれを待ち続けることにした。
すると一之瀬が真剣な顔になり瑞貴に顔を向けた。その姿を見た瑞貴は彼が何を言おうとしているのか察し、顔をうつむける。
「瑞貴……この間の告白の返事、聞かせてくれるかな?」
「うん……。一哉の気持ちは戸惑ったけど心から嬉しかったのは本当だよ。でも……私は一哉と同じ気持ちじゃないんだ。だから一緒にアメリカに行けない……ごめんなさい」
深々と頭を下げる瑞貴は一之瀬の表情が見えない。だが、一之瀬が肩に手を置いたので、それに反応して顔を上げると一之瀬は苦笑していた。
「円堂、だよね。瑞貴の好きな人」
「えっ……えぇっ!? なんで!?」
一之瀬の口から出た名前に瑞貴は盛大に驚き、思わず一歩あとずさった。
「実は昨日、ジャパンエリアに行ってたんだ。円堂に体のことを伝えるか迷ってて……そんなとき早朝特訓する瑞貴と円堂と綱海を見かけたよ」
「あのとき!」
「うん。瑞貴と円堂の言葉を聞いて結局そのまま帰ったけどね。だけど瑞貴が円堂を見たとき、いつもと表情が違っていた」
瑞貴が聞いた草むらの音は一之瀬が去ったあとだった。好きな子のことなら些細な変化もわかるのだろう。一之瀬は瑞貴の気持ちが固まったことに気づいていた。
「恋する女の子の表情をしていた瑞貴は、とても可愛くて綺麗だった。それを向ける相手が俺じゃないことはとても悔しいな」
一之瀬はジャージのチャックを少し下げると、首にかけていた紐を出した。その紐には鍵をペンダントのように通してあり、瑞貴は鍵の正体に気づいた。
「それ!」
「うん、瑞貴の家の合鍵。御守りとして日本を出る前からずっと付けていたんだ。瑞貴がそばにいる気がして、心の支えになっていた……。だけど、それも終わりにするよ」
「終わりって……」
一之瀬は紐を首から外し、さらに鍵を外すと瑞貴に差し出す。彼の意図を瑞貴は気づいた。
「もう、うちには帰って来ないんだね……」
「ああ。俺は手術が終わってもアメリカに残る。瑞貴が俺を家族として見てくれたけど、俺は瑞貴のことをずっと好きな女の子として見ていた。ちゃんと気持ちを伝えてしまった以上、あの頃には戻れない」
「でも、遊びには来てね。私たちはサッカーで繋がっている仲間なんだから」
「もちろんだよ」
瑞貴は一之瀬から鍵を受け取った。次にあの家で会うのは『家族』としてじゃなく、『仲間』としてだ。